• "任命権者"(/)
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  1. 長野県議会 2022-02-22
    令和 4年 2月定例会本会議-02月22日-02号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    令和 4年 2月定例会本会議-02月22日-02号令和 4年 2月定例会本会議 令和4年2月22日(火曜日)  出席議員(57名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 清水正康    30 番 小池久長   5 番 加藤康治    31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦    32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜    33 番 石和 大   8 番 大井岳夫    34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人    35 番 山岸喜昭   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   53 番 平野成基    56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦    57 番 望月雄内   55 番 萩原 清         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     観光部長      渡辺高秀   副知事       関昇一郎     農政部長      小林安男   危機管理部長    中村宏平     林務部長      井出英治   企画振興部長    伊藤一紀     建設部長      田下昌志   総務部長      玉井 直     公営企業管理者   県民文化部長    中坪成海     企業局長事務取扱  小林 透   県民文化部こど            財政課長      矢後雅司   も若者局長     野中祥子     教育長       原山隆一   健康福祉部長    福田雄一     警察本部長     小山 巌   環境部長      猿田吉秀     人事委員会委員   産業政策監兼産            長         青木 悟   業労働部長     林 宏行   産業労働部営業   局長        金井伸樹         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長      小山 聡     議事課主査     水澤まゆみ   議事課長      百瀬秀樹     総務課課長補佐   川村亜由美   議事課企画幹兼   丸山俊樹     兼庶務係長   課長補佐               総務課担当係長   青木武文   議事課担当係長   矢島修治         ───────────────────  令和4年2月22日(火曜日)議事日程    午前10時開議    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    諸般の報告    知事提出議案    各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △諸般の報告 ○議長(宮本衡司 君)次に、諸般の報告は、お手元に配付したとおりであります。朗読は省略いたします。       〔議案等の部「2 諸般の報告」参照〕          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案の報告 ○議長(宮本衡司 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                令和4年2月22日   長野県議会議長 宮 本 衡 司 様                           長野県知事 阿 部 守 一         令和4年2月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 60 号 令和3年度長野県一般会計補正予算(第13号)案 第 61 号 令和3年度長野県公債費特別会計補正予算(第1号)案 第 62 号 令和3年度長野県国民健康保険特別会計補正予算(第1号)案 第 63 号 令和3年度長野県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第1号)案 第 64 号 令和3年度長野県農業改良資金特別会計補正予算(第1号)案 第 65 号 令和3年度長野県県営林経営費特別会計補正予算(第1号)案 第 66 号 令和3年度長野県林業改善資金特別会計補正予算(第1号)案 第 67 号 令和3年度長野県高等学校等奨学資金貸付金特別会計補正予算(第1号)案 第 68 号 令和3年度長野県流域下水道事業会計補正予算(第1号)案 第 69 号 令和3年度長野県電気事業会計補正予算(第1号)案 第 70 号 令和3年度長野県水道事業会計補正予算(第1号)案 第 71 号 教育委員会委員の選任について 第 72 号 令和3年度長野県一般会計補正予算(第14号)案       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(宮本衡司 君)以上であります。  次に、お手元に配付いたしましたとおり、地方自治法第122条及び地方公営企業法第25条の規定に基づき知事から予算説明書の提出がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。  本案を一括して議題といたします。  提出議案の説明を求めます。  阿部守一知事。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)ただいま提出いたしました追加議案につきまして、御説明を申し上げます。  提出いたしました議案は、令和3年度一般会計補正予算案など予算案12件、事件案1件です。  一般会計補正予算(第13号)案は、71億6,574万8千円の増額であります。  増額する主なものは、減債基金、「信州学生協会・信濃寮」大学修学等支援基金及び国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会開催基金等の積立てに要する経費、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関に対する病床確保事業補助金、コロナ禍で厳しい経営環境にあるFDA(フジドリームエアラインズ)に対する松本空港定期便運航特別支援事業補助金、特別教室等の教育環境の充実を図るための県立高校空調設備整備事業費、昨年8月の大雨災害により上高地線の一部が不通となっているアルピコ交通に対する代替輸送支援事業補助金などであります。  減額となりますのは、国庫支出金の決定及び事業の確定などに伴うものであります。  歳入につきましては、県税235億4,107万円、地方交付税206億8,350万4千円、地方譲与税95億1,200万円を増額する一方、県債270億8,460万円、繰入金129億934万2千円、諸収入68億9,395万円、国庫支出金56億6,483万円を減額するなどしております。  一般会計補正予算(第14号)案は、63億4,901万5千円であり、まん延防止等重点措置の適用の延長に伴い、新型コロナウイルス拡大防止協力金及び第6波対応事業者支援交付金を増額するものであります。  この補正予算案の財源として、国庫支出金などを見込み計上しました。  本年度の一般会計予算は、今回の補正により、1兆2,504億9,410万1千円となります。  特別会計補正予算案は公債費特別会計など7会計、企業特別会計補正予算案流域下水道事業会計など3会計であり、事業計画の変更などに伴う補正であります。  事件案は、教育委員会委員の選任についてであります。  以上、追加提出いたしました議案につきまして、その概要を申し上げました。何とぞよろしく御審議の程お願い申し上げます。 ○議長(宮本衡司 君)以上であります。  これらの議案は、本日から行う質疑の対象に供します。
             ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △各党派代表質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、各党派代表質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から各党派代表質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  自由民主党県議団代表丸山栄一議員。       〔41番丸山栄一君登壇〕 ◆41番(丸山栄一 君)おはようございます。自由民主党県議団の丸山栄一であります。会派を代表いたしまして質問させていただきます。  初めに、新型コロナ感染拡大によって、私たちのこれまでの日常生活が一変いたしました。影響を受けた全ての皆様方、今なお厳しい環境の中で新型コロナ感染症と闘っておられる方々へ、感謝とお見舞いを申し上げる次第であります。我々も、この難局を乗り越えるべく、現場の声を伺いながら県民の皆様と共に様々な課題に取り組んでまいります。  本年は、阿部県政3期目の最後の年となります。これまでの間、阿部知事は、県勢の発展、県民の幸せを実現するため、県議会との議論を踏まえながら県政運営に励んでいると受け止めております。  その県政運営に当たって最も基本となる計画は、県総合5か年計画・しあわせ信州創造プラン2.0であります。計画を改めてひもときますと、本県を取り巻く状況として、急激な人口減少、技術革新とグローバル化の急速な進展、人生100年時代など時代の潮流を捉え、長野県の特性としては、豊かな自然環境、大都市圏からのアクセスのよさ、多様な個性を持つ地域、全国トップレベルの健康長寿など、優れた特徴、個性が挙げられております。こうした時代の潮流や本県の特性を踏まえて、計画の基本目標に「確かな暮らしが営まれる美しい信州~学びと自治の力で拓く新時代~」を掲げ、基本方針は、学びの県づくり、自治の力みなぎる県づくりなど六つの政策を「学びと自治の力」を推進エンジンに展開していくとしています。  プラン策定当時の課題が現在はどのようになっているのか考える必要がございます。  まず、人口に関する課題であります。  急激な人口減少と東京圏への人口流出を食い止めるため、我が国の人口が減少する中、国、県、市町村が地方創生に取り組んできましたが、東京一極集中は依然止まりません。本県では、信州創生戦略に沿って政策を講じ、出生率を県民の希望出生率である1.84とし、社会増減がゼロとなった場合でも人口は減少し、150万人で定常化する見込みでありました。しかしながら、懸命な取組に反して、2022年の目標出生率1.76に対し2020年は1.53と減少、さらに、コロナ禍で出生数は大幅に減少し、希望出生率から遠い数字となりました。今までの少子化のための子育て支援重視政策だけでは不十分だと改めて感じます。  一方、コロナ禍で地方回帰の動きがあり、国内の移動による577人減と、悪化し続けた近年より社会減は大幅に縮小しました。国外移動に目を向けますと、コロナ禍による入国制限による大幅な社会減に転じています。また、県内においても人口の減少が見られており、中山間地域の一層の過疎化が進み、高齢化も相まって、地域コミュニティーの存立などの大きな課題となっています。  昨年の11月議会で少子化対策の一層の強化を求める決議が行われましたが、知事にはさらなる対応をお願いしたいと思います。少子化に対しては、皆さんの危機感は感じられるのですが、現実に解決できる問題として扱われていないように感じます。目標と施策の乖離があるということは、目標を達成するための手段として適切かどうかという評価をそれぞれの施策の中でしていないということであります。少子化の克服に本気になれば、合計特殊出生率への各施策の寄与度を考慮していく必要がありますし、これを積み上げたものが目標値になっていなければなりません。  全国的にも、今までは環境整備や子育て支援に重点が置かれてきました。効果はなかったわけではなく、合計特殊出生率は2005年には下げ止まっています。しかし、これだけ国を挙げて少子化対策の必要性がうたわれているにもかかわらず、成功というには程遠いのが現状です。その中で成功を収めろというのは、難題であることは承知しております。この問題は、もはや常識的な手法では克服できないほど深刻で、根深い問題です。  こうした状況の中、このほど、少子化対策推進条例の議員提案に向けて大詰めを迎えております。県民の希望をかなえるとして、この条例の制定は、希望出生率の実現に向かうための条件整備と考えています。そして、条例が求める行動計画こそが少子化克服の希望であり、既存の常識的な手法にとどまらない施策を埋め込んでいく必要があります。これは、議員の役割でもあろうというふうに思います。  そこで、知事にお伺いいたします。  これまでの少子化対策、施策の中で、効果が高かったと思われるものや、長野県独自の取組にはどのようなものがあったのか。また、効果が高かった施策については、その要因をどのように分析しているのでしょうか。  条例の制定により、行動計画の策定を求められることとなりますが、どのような計画としていくか、お考えをお伺いします。  県として、結婚、出産、育児など、どのように支え、若者の希望を実現していくのでしょうか。  少子化対策に当たっては、県だけでなく市町村の協力が欠かせないと考えておりますが、どのように市町村と連携して取り組む考えか。  少子化の進行とともに、県内でも人口減少が続いています。中山間地域の一層の過疎化が進み、高齢化も相まって、地域コミュニティーの存立などの大きな課題となっております。中山間地域などの人口減少が顕著な地域をどのように維持していくのか、そのための対策についてお伺いいたします。  また、世界では、第4次産業革命がこれまでにないスピードで進み、国内でも、技術革新を活用して新しい価値やサービスが次々と創り出されているSociety5.0が始まり、ICTの発展により、人、物、金、情報が国境を越えて行き来し、技術革新とグローバル化が急速に進展しています。  第3次産業革命と呼ばれる技術革新とグローバル化のこれまでにないスピードの進展を見込み、急速な技術革新と生産性の向上や新ビジネス創出などの大きなチャンスと捉え、施策を実施してきました。成長性の高い産業の集積や新規分野への企業展開、イノベーティブな人材が県内産業を牽引、域外から獲得した利益が地域内で循環、働く人のやりがいと産業の発展が、Society5.0など産業構造の変化の中でどう対応して実現したか考える必要がございます。  長野県においては、2月17日に長野県産業DXフォーラムが開催されました。その中で、長野県の中小企業においてどのようにDX化を図ってきたかの発表があり、少しずつ長野県内においても変化があることが実感できる内容でありました。また、長野県庁においても業務の自動化などを積極的に推進しているところでございます。  このDX化に向けた動きの中で懸念される点としては、IT産業は、これまでの産業革命と違い、国境のない熾烈なグローバルビジネスの世界で各国がこれまで以上に政治力を使ってしのぎ合っています。  昨今、巧妙さを増すサイバー攻撃、それに伴う大規模な個人情報の流出など、国民生活に影響を及ぼすサイバーセキュリティーの問題が多数報じられていることもありますので、この対策も同時並行で行っていかなければなりません。  そして、個人の働き方としても、特に今はテレワークによる場所にとらわれない働き方が普及し、全就業者のテレワーカーの割合は22.5%で前年度から約7ポイント増加し、過去5年間で最高値を記録しました。こうしたテレワークの普及も影響して、首都圏企業の地方移転機運が高まり、国の調査でも長野県は移転候補地として高評価を得ております。  そして、これからは、中小企業の成長機会の拡大として、特にAI等のICTへの投資を推進することにより、慢性化する人手不足の解消へつながる可能性や、新たなビジネスチャンスの到来、顕在化したニーズに対して一層の効率化を図るなど、中小企業、小規模事業者にとって成長する変革のチャンスが訪れると捉えることができます。  ただ、多くの中小企業がITへの投資に興味を持ちつつも、技術、ノウハウを持ったIT人材の不足が懸念され、経済産業省の試算では、2030年では最大で80万人のIT人材が不足することが予想されております。  また、ICTの進展による雇用環境の変化に対応するためには、人々がそれに対応した能力を身につけられるように学び直しを行うことが重要になりますが、アジア諸国と比較しても、時間や費用の問題から、日本の社会人の学習の取組状況は低いという統計がございます。  加えて、AI、IoTへの時代の流れは、製造業や農業、林業から飲食業など幅広い業種に関連するところであり、最近では、長野県でも、飲食業においてロボットが配膳してくれる店舗もあります。また、製造業への展開は、産業ロボットなどを含めて民間での研究が進み、導入が進んできているところでございます。  一方で、エリアごとの状況や地域によって大きな差がある農業、林業では、一つの機器を開発しても汎用性がなく、一つ一つの生産コストが高い上、導入ハードルも高いという課題がございます。これは、当然、AI、IoTを活用し、生産する民間企業に利益になるかどうかの差にあります。  そこで、知事にお伺いいたします。  AI、IoT、ロボットを活用し、県内産業の生産性はどのように変化していると評価していますか。また、今後問題となるIT人材の不足と導入へのハードルの課題を克服し、生産性の高い県の実現をいかにして実現していくと考えるか、お伺いします。  人材不足の産業、特に林業、農業では、技術革新によるスマート化による生産性の向上を期待していましたが、まだ理想とする状況には至っておりません。技術の進歩と新技術の普及は同時に行わなければその効果も薄れることから、迅速な普及のためどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。  国際社会においては、世界の人口増加と食料需給の変化、様々な国際社会の枠組みの変動などに注目し、海外からの活力を取り込むとしていました。インバウンドにより海外観光客は増加し、効果を上げておりましたが、反面、コロナ禍でのダメージは厳しいものがあります。  一方で、農産品の輸出はブランド化しつつ、一定の成果を上げています。長野県の主力産業である製造業では、サプライチェーンの寸断により産業の国内回帰の必要が叫ばれ、新しい国内産業の在り方も考える必要があります。長野県のものづくり産業におけるこれまでのグローバル化への対応をどう評価し、アフターコロナにおけるサプライチェーンの再構築につなげたいと考えているのか、お伺いいたします。  我が国の平均寿命は延伸し続け、とりわけ本県の平均寿命は全国有数の長寿県となっています。医療や介護を必要とする期間が長期化し、社会保障費の一層の増加が懸念されており、また、長い人生を想定した人生設計のマルチステージ化や、教育、就労の仕組みの変革が必要とされ、多様な価値観を持つ人を受け入れ、一人一人が自分らしい生活を送る環境が求められていました。現在、健康の在り方など人生100年時代を意識する県民も増えていますが、人生が延びている中で、県民一人一人がマルチステージ化などの新しい可能性を感じて生活スタイルに対応していくようになるにはまだ十分とは言えず、人生100年時代を見据えた県民の健康づくりや生きがいづくりの意識の醸成などをさらに進めていかなければなりません。  そこで、知事にお伺いします。  人生100年時代において幸せで安心な生活を送るには、心身ともに健康で生きがいのある社会である必要があります。また、そうした社会の構築により、医療や介護を必要とする期間が縮減し、社会保障費の抑制にもつながると考えますが、各年代における心身の健康づくりについて現状の課題をどう認識し、健康で活力ある人生を送ることのできる社会づくりに取り組んでいくのか、お伺いします。  我が国は、貧困や所得格差が拡大傾向にあります。2019年の国民生活基礎調査によれば、子供の貧困率については、13.5%と、対2015年で0.4ポイント好転しているものの、OECDの加盟国と比較しますと平均よりも下位にあります。  また、内閣府が今月7日に公表したミニ経済白書によれば、世代内の労働所得の格差は、男性の非正規雇用比率の高まりなどを背景に25歳から34歳では拡大傾向にあり、また、所得が500万未満の世帯では子供を持つ割合は低下しており、晩婚化や少子化への対応に当たっては、結婚や子育てを控える25歳から34歳の層の世帯所得の増加が必要であるとしています。特に、子供の高い貧困率を解決するため、貧困の次世代への連鎖や格差を断ち切る必要がございます。県では、子ども・若者支援総合計画において子供の貧困対策を行ってきましたが、これまでの取組の成果と、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。  長野県を訪れる外国人が増加傾向にある中、オリンピックを契機に海外との交流が一層盛んになると見込んでおりましたが、コロナ禍でオリンピック関連事業がほとんどできない状態でした。しかし、オリンピックの事前合宿を受け入れた地域にはしっかりとした跡が残っています。また、スポーツに関しては、長野で開催が予定されております国民スポーツ大会に一層力を入れるタイミングとなっています。  参加国の事前合宿が県内各地で実施され、直接の交流は難しかったものの、出場選手の姿を目の当たりにする機会に恵まれました。こうした経験が、地域や地域の子供たちにどのような影響を与え、スポーツ振興、また2028年に本県で開催される国民スポーツ大会に生かされていくと考えるか、知事にお伺いいたします。  リニア中央新幹線、北陸新幹線、高速道路、信州まつもと空港など、広域交通が充実し、県境を越えた交流や連携が増えることを見込んでいました。しかし、一方、地域交通は、人口減少や自家用自動車の普及などにより利用者が減少し、中山間地域を中心に生活の足を維持することが困難になりつつあります。  リニア関連事業は順調に進み、新たな高規格道路の計画も生まれ、広域ネットワークは順調に進んでいます。また、信州まつもと空港は、国際空港を目指すとともに、沖縄県との交流を見据え、定期便という新たな可能性に進んでいます。そこで、令和4年度予算でも沖縄県との様々な交流に関する事業が盛り込まれていますが、こうした事業によりどのように可能性を見いだし、実現していくのか、知事にお伺いします。  経済、社会、環境の課題を総合的に解決するため、世界でSDGsへの取組が始まりました。長野県が持続的に発展するには、SDGsへの取組を進め、行政、企業、NPO、個人などが連携して取り組む必要があります。また、多様な個性を受け入れ、生かす社会をつくることが求められます。  長野県を取り巻く状況等から見えてくる課題を踏まえた上で、しあわせ信州創造プラン2.0には、六つの政策推進の基本方針と、県民にも理解しやすい20のめざす姿が示されています。プラン2.0の成果、課題の変化、めざす姿の実現度を検証する必要があります。そこで、計画策定の4年前から、これらの課題を踏まえ、長野県の未来のあるべき姿を考え、計画を推進してきました。4年前に策定しためざす姿と現在の長野県の姿を比べて、実現したこと、実現できなかったことを含め、成果と課題をどのように分析しているか、知事にお伺いいたします。  しあわせ信州創造プラン2.0の最終年度に知事が何に一層力を入れて実現させたいのか、弱いと評価している部分を補っていくのか、また、次の計画への足がかりと考えているのか示す必要がございます。しあわせ信州創造プラン2.0の総仕上げとなる令和4年度予算にどのような思いを込めているのでしょうか。知事にお伺いいたします。  阿部知事は、この計画に基づいた県政運営において、様々な経験と様々な実績を積み重ねてきました。また、しあわせ信州創造プラン2.0の期間も終盤を迎えている中、さらに環境や社会、経済が大きく変化している折、未来を見据えた取組の重要性が高まっております。  このような中、知事としてのこれまでの経験から、各分野における未来の長野県の姿はどうあるべきと考えているのか、また、本県には様々な個性や特性、強みなどがありますが、未来における長野県にどのような可能性があると考えているのかを新たな総合計画を策定するためにも示す必要があります。  さらには、過去の状況と時代の変化を分析し、10年先の未来を予想する必要があります。現代社会は、10年前には想像もできなかったスピードで変化しています。特筆すべきは、情報通信技術や人工知能の進展です。世界中で、毎日の生活の中で、スマートフォン、インターネットの活用が拡大し、欠かせないツールとなっております。また、我が国において、非正規雇用の増加などによる貧困の格差の拡大のほか、人口減少と高齢化の進展による生産年齢人口の減少は、働き方の見直しや生産性向上の必要性を高めています。さらに、気候変動等により激甚化する災害に対応するための治水等のインフラ整備とともに、再生可能エネルギー活用が喫緊の課題であります。加えて、最近では、新型コロナが地域社会から全世界までの規模で大きな影響を及ぼし、あらゆる分野において次々に変化するウイルスの対応に追われているところであります。  このように、加速する社会の変化を見ますと、次の10年を考える際には、過去の10年間よりももっと速いスピードで変化が起こることが予想されます。また、次の10年においても、引き続き人口減少、高齢化、人口の偏在などは地域社会にとって大きな課題でありますし、地球温暖化などの気象変動により豪雨災害の危険性は今後も増大するものとして対応していく必要がございます。  そのほか、SDGsに掲げられている課題に対応し、誰一人取り残さない社会の実現を目指さなければなりません。2030年はSDGsの目標年であります。また、2030年には、少子高齢化が進行し、総人口に対して65歳以上の割合は3割に達する一方、生産年齢人口は約58%にまで減少すると見込まれております。また、団塊の世代は全て80歳以上になります。これらの変化によって、経済や医療、福祉の仕組みが立ち行かなくなるおそれがあります。  国の検討会議では、これらの課題に対応する長期的な情報通信政策ビジョンを、未来をつかむTECH戦略として策定しました。この戦略は、2030年代までに実現したい未来の姿から逆算し、変革の実行につなげる改革プランであります。  この戦略の実行によって、課題を新技術で解決するとともに、世界最高水準の人の幸福度、活力ある地域、競争力のある産業を目指すとしています。これは、Society5.0の実現やSDGsの達成にも寄与するものであります。  国の骨太方針2021においては、我が国の経済社会構造を人々の満足度、ウエルビーイングの観点から多面的に把握し、政策運営に生かしていくため、政府の各種の基本計画等についてウエルビーイングに関するKPI(成果指標)を設定するとしており、政府の成長戦略実行計画においても、「成長と分配の好循環の拡大などを通じて格差是正を図りつつ、一人一人の国民が結果的にウエルビーイングを実感できる社会の実現を目指す。」とされています。  このように、国においては、幸福度、満足度の観点を政策に取り入れ始めています。本県においても、様々な分野における様々な課題を新技術の活用でカバーしながら、幸福度、満足度を追求した未来を考えることが大変重要ではないかと考えます。  10年後の県民、また、長野県を訪れる人々が幸せを感じてもらえる長野県とは何か。また、そのためにはどのような長野県の姿としたいのかについて順次お聞きします。  ここ10年、人々の幸せの捉え方も大きく変化してきています。従来の勝ち組は、収入や地位の高さ、物の多さ、学歴といった価値観が一般的でありました。しかし、最近では、そうした価値観が変化し、幸せを体験する感性や人とつながる力、居場所や出番、健康などの幸せの価値観が浸透しつつあり、このコロナ禍でより一層変化しております。  これからは、自らの幸せの価値観から、自ら人生をライフデザインすることが求められると予想されます。長野県には、雄大な自然、歴史、健康長寿など様々な特色があり、長野県だからこそつくり出せる幸せやライフデザインがあります。時代により変化する幸せの価値観、長野県だからこそつくり出せる幸せ、この幸せを捉えつつ計画や政策を進める必要があります。また、この幸せの価値観を捉えることこそ、次の観光・サービス産業だけでなく、農林業からものづくり産業にまでつながります。国のウエルビーイングなどの取組にも注視していかなければなりません。  長野県においては、幸福度、満足度の観点が必要であるとし、現行の県総合5か年計画はしあわせ信州創造プランと名づけていますが、定義や価値観の調査などはありません。そこで、現行計画では幸せの定義づけまで明記されていませんが、これからの幸せとはどういったものを考えているのか、また、幸せの価値観の変化をどう捉えているのか、知事の見解をお伺いいたします。  先ほど触れました未来をつかむTECH戦略には、社会の様々な課題を解決するAI、IoT、ロボットなど技術開発のタイムスケジュールが示されています。様々な分野でテクノロジーを活用できる時期が分かります。今まではおぼろげに見えていたテクノロジーの活用が具体的に示されています。これからの本県の計画改定や施策を立案する際の手がかりになります。  そこで、知事にお伺いいたします。  長野県の特色を生かしながらTECH戦略に示されているテクノロジーを生かした長野県のあるべき姿をどう描いていくのでしょうか。  国の示すタイムスケジュールを生かし、県内の様々な課題解決のため、県民にできるだけ早く最新テクノロジーが享受できるよう、どのように施策や計画を立案していくのでしょうか。  10年後に夢と希望あふれる長野県とするためには、県民と共に歩まなければなりません。そのためには、夢と希望ある10年後の長野県の姿を示すビジョンが必要と考えます。そして、そのビジョンの実現に向けた実行プランは、県民が納得し、期待できるようなものであるべきであります。そして、それを県民に分かりやすく訴えていく必要があると考えますが、知事の見解をお伺いいたします。  今進めている計画や施策をこのまま実施していくだけでは10年後の幸せな未来の実現には不十分と感じます。また、次期計画の策定後には想定していた状況と異なる変化があったり、議会から新たな提案があったり、達成目標に対して十分な成果が得られない状況が出てくることも想定されます。現状と課題、そして、可能性を踏まえて未来の希望あふれる長野県とするためには、個別の事業の見直しによって対応することも考えられますが、県の行政運営の指針である総合計画についても社会情勢の変化に応じ見直し作業が必要であると考えるので、その対応を要望するものであります。  現在、長野県では、様々な計画が進んでおります。新たな総合計画の改定とともに、他の計画も改定時期に来ています。最重要目標である「しあわせ信州」のためには、10年後の長野県の可能性と幸せの価値観を捉えながらこれからの計画の策定に当たらなければなりません。  森林が県民の暮らしや幸せに与える影響は非常に大きいのですが、県民にはまだ十分に理解されているとは言えません。長野県森林づくり指針は、100年先の森林のあるべき姿とその実現のための方向性を示した上で、今後10年間に行う県の施策の基本的な展開方向を明らかにしているもので、長野県林政において非常に重要な事項であると認識しています。  長野県ふるさとの森林づくり条例第9条の規定によりこの森林づくり指針が定められており、この計画期間を令和4年度まで延長してしあわせ信州創造プランと期間の整合性を図っています。よって、次なる10年間の計画を令和4年度中に作成し、実効あるものにしていかなければなりません。  まず、10年後は長野県林業の変革が始まっていることを想像します。次世代型の新たな林業、それは、フィンランドをはじめとした北欧諸国では、既にレーザーセンシング機器を搭載した航空機やドローン、GISによる森林管理、IoT機能つきの高性能ハーベスター、蓄積された森林情報が閲覧できるクラウドサービスなどが普及しており、様々な計測計器から取得した膨大なデータを公開、活用方法も確立されております。長野県も、このような詳細なデータを用いて、各地域の林業の特性に適した効率的で正確な木材サプライチェーンを築くことが重要なときでございます。  そして、森林による二酸化炭素吸収、炭素固定の機能や、木材製品、木材建築による炭素固定、CO2排出削減、バイオマス発電用の燃料の活用など、社会からの期待はますます高まっております。川上の森林経営から川中の木材、建材の製造、流通、川下の木造建築や再生エネルギー事業を通じて再生可能な自然資本である森林資源を有効に活用し、公益的価値を提供することにより、一層脱炭素社会の実現に貢献できるものとなります。  そして、2030年が、森林林業事業体が熱気を帯びている時代であり、林業県長野県として、その先進的な林業の改革によって地域林業の活況を呈し、その価値観が全国から認められている10年先の姿であってほしいところであります。  そこで、長野県森林づくり指針策定から10年余を経て、指針において目指す姿に対しての進捗状況と課題、そして、県として森林再生ビジネスモデルをどのように描くのか、知事のお考えをお伺いします。  整備された森林は、人に癒やしを与え、木材を育み、防災にも貢献することはもちろん、動植物の生育環境にも寄与する幸せの宝庫と考えます。一方、豊かな森林は、自然のままに見えて、実際には人の手が入らなければ維持できないものであり、県として、豊かな森林を守り引き継いでいくため、どのような点に注力し、森林管理に取り組んでいくのか、知事にお伺いします。  長野県の自然環境は、大きな恵みをもたらす一方で、活断層が東西南北に走り、急峻な山岳を有しており、1級河川、準用河川を有する当県は、直近10年だけでも長野県北部地震、神城断層地震、御嶽山噴火、令和元年台風災害、豪雨による土石流などにより甚大な被害を受け、多くの貴い命が失われました。  防災・減災の考えは、ふだん県民が幸せに暮らす上で安心感を与えられる長野県かどうかの大きな課題でもあります。いざ災害が起きれば、当たり前だった生活は一変し、被災者となってしまいます。近年頻発する災害に対して、ハード、ソフト問わず、県民の幸せを守るため対応する必要があります。  そこで、長野県では、平成30年3月に第2期長野県強靱化計画を策定し、計画の策定趣旨において、「長野県の強靱化は、「災害が発生しても生命を失わず、迅速に日常の生活に戻るため、最悪の事態を念頭に置き、平時からの「備え」を誰もが行うことにより、社会全体が災害に強くなること」を意味しています。」として、三つの重点項目、一つとして、「学び」と「自治」で進める地域防災力の充実、二つとして、地震から命を守る建物の強靱化、三つとして、集中豪雨などから命を守る水害・土砂災害対策を掲げて取組を進めてきました。  こうした中、令和元年東日本台風災害、令和2年及び令和3年の大雨災害と、本県は立て続けに大雨による大規模災害に見舞われており、県民の生命と財産を守るため、ハード、ソフト両面の強化が急がれているところでございます。  そこで、長野県強靱化計画においては、災害対応から得られた知見や教訓を生かしていくとされていますが、令和元年から立て続けに大雨災害に見舞われた本県の実情を踏まえ、流域治水対策にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。  県民が幸せに安心して暮らすためには、堤防などの防災施設により災害から守られているとともに、万が一災害が発生した際の対処が重要と考えます。防災意識の向上や確実な避難のための対策をどのように進めていくか、知事にお伺いします。  平成30年3月に策定した第4次長野県環境基本計画では、「共に育み未来につなぐ信州の豊かな自然・確かな暮らし」を基本目標に施策を推進することとしております。実施施策として六つの施策を掲げておりますが、この中で特に大きな動きを見せたのは脱炭素社会の構築ではないでしょうか。先ほど申し上げた近年頻発している大雨災害は、気候変動による影響とも言われており、脱炭素社会の構築は待ったなしで進めていく必要があります。  こうした中、議会では、令和元年11月県議会において議員提出議案として気候非常事態に関する決議を可決、この決議を受けて、知事は、「気候非常事態宣言-2050ゼロカーボンへの決意-」を示されました。さらに、令和2年9月議会に、県民一丸となって持続可能な脱炭素社会づくりを推進することを期して、議員提出議案として長野県脱炭素社会づくり条例を全会一致で可決いたしました。県においても、令和3年6月、2050ゼロカーボンの実現に向けた実行計画である長野県ゼロカーボン戦略を策定したところであります。  また、ゼロカーボンの実現の最も大きな課題はエネルギー問題だと言えます。太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる重要な低炭素の国内エネルギー源であります。日本を含め、再生可能エネルギーが求められるようになったのには、一つに地球温暖化による異常気象の問題と、日本国内におけるエネルギー自給率の低さ、そして、パリ協定の採択があります。  経済産業省の発表によりますと、2019年度の日本の再生可能エネルギーの電力比率は18%で、日本は2030年度までに36%から38%とする方針であります。  一方、長野県における再生可能エネルギー自給率は、再生可能エネルギー導入量が2018年度において2010年度比で約1.5倍に増加し、最終エネルギー消費量が同じく2010年度比で12.2%減少することで着実に上昇しています。再生可能エネルギー導入量を発電種別に見ますと、最も比率が高い太陽光発電は順調に伸び、2010年度比で約13.4倍に拡大している一方、小水力発電は僅かな伸びにとどまっています。  そこで、長野県ゼロカーボン戦略においては、施策の柱に再生可能エネルギーの普及拡大を掲げ、2050年には、基準となる2010年度の2.2万テラジュールから6.4万テラジュールと約3倍まで増加させることとしていますが、現状をどう捉えているのか、また、今後の推進に当たっての課題、取組の方針を知事にお伺いいたします。  また、脱炭素社会の実現には、技術革新や電気自動車など新技術の普及、県民の新しいライフスタイル対応などの協力も必要であります。  そこで、将来世代が幸せに暮らすためには、持続可能な社会の構築が必須であり、脱炭素社会への取組を確実に進めていく必要があります。そこで、県におけるこれまでの脱炭素社会の構築に向けた取組の評価と今後の方向性及び知事の決意をお伺いいたします。  長野県では、「そこに暮らす人も訪れる人も「しあわせ」を感じられる世界水準の山岳高原リゾート」を目指し、稼ぐ観光地域づくりに取り組んできました。外国人旅行者の増加など施策の成果が見られた矢先、新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして、インバウンドはおろか国内旅行の需要までもが蒸発し、本県の主要な産業である観光は危機に瀕しています。  1970年代以前の観光は、日本の温泉地や観光地の市場の大半はマイクロツーリズムであったとされております。このコロナ禍にあって、星野リゾートの社長が提唱するマイクロツーリズムが今後どのようになっていくのかは想像し難いのですが、日本のローカルな観光地、また、隠されて日の目を見ない観光資源が開花されることにより旅の目的がより地域密着型になっていくものと想像するところであります。まさに量より質の観光になっていく時代で、長野県観光はそこを目指していきたいものであります。  また、インバウンドや国内旅行者は二極化されていくものと感じます。表面的な観光を志向する人と、日本の歴史、文化、伝統に興味を抱き、日本の四季の自然に触れ、スピリチュアルな感覚を楽しみながら高付加価値な旅行商品に対価を払う人とに分かれていく。  これからの時代は、第4次産業革命において、AI、IoTが基盤となって、思考やひらめきをつかさどる右脳的な力さえ代替されつつあります。よって、長野県の観光は、第4次産業革命で失われていく人間の本来の創造性を豊かにする観光をメインにし、長野県の持つ優位性をもっと引き出しながら多様性に合った観光地づくりが進んでいくものと想像します。  1899年(明治32年)に浅井冽氏が作詞して、1900年(明治33年)に北村季晴氏の作曲により県歌である「信濃の国」が誕生いたしました。この「信濃の国」を伝承していくことと、歌詞の意味から、長野県で忘れてはならない地域と自然、そして景勝地があります。2030年、まさに長野県の魅力をこの「信濃の国」を通して国内、海外に発信していくことも長野県の観光の武器になるものと考えます。  次に、スピリチュアルな観光を進めていく長野県についてであります。  スピリチュアルトラベルは、精神文化を求めて旅することで、愛好者は世界中に大勢あり、長野県にはそうした旅を楽しむ人たちにとって興味を引くであろう戸隠神社、諏訪大社、上高地、御嶽山等々のスポットが存在いたします。心の旅をすることで、精神的な次元の旅に引かれる方も2030年のお客様になっていくものと考えます。
     そして、最後に、長野県の観光として外してならない自然アドベンチャー体験です。このジャンルは、今までのインバウンドにとってイメージしていなかったものですが、このマーケットは非常に大きなものがあります。そして、世界的にも、日本、特に長野県は、十分な競争力を持った資源が豊富であり、有力な旅のコンテンツだと思います。グリーンシーズン、ウインターシーズンとも、自然アドベンチャー長野として開花している2030年を想像いたします。  こうした将来の長野県観光の魅力を発掘していく一方で、コロナ禍を機として、マイクロツーリズムやワーケーション、アウトドアへの関心や、オフシーズンや密集しない観光地へのニーズの高まりなど、観光のトレンドの変化に柔軟に対応する必要がございます。  そこで、長野県観光戦略が目指す「そこに暮らす人も訪れる人も「しあわせ」を感じられる世界水準の山岳高原リゾート」とはどのような観光地であると考えるのか、知事に所見をお伺いします。あわせて、コロナ禍における観光の在り方の変化を見据え、今後本県の観光施策をどのように構築していくか、伺います。  日本の資本主義の父といわれた渋沢栄一は、「農業の盛衰は国家の盛衰に関わる」という言葉を残しており、農業はいつの時代においても人々の食と命を支える産業であります。しかし、本県の基幹的農業従事者数は年々減少しており、令和2年では5万5,516人、このままの傾向が続くと令和12年には4万3,000人程度となる見通しであります。高齢化率も、平成12年の57.4%から、令和2年には73.5%に大きく上昇しています。新規就農者も平成26年度以降減少傾向にあり、最近では1万5,170人程度となっております。  このまま農業従事者が減少すれば、安全で安心な食料供給ができなくなるおそれがあるばかりでなく、長年受け継いできた貴重な農業の知恵や技術が途絶えてしまいます。しかし、新たに農業を始めるには、栽培技術や経営能力の習得、農地や敷地の確保など、解決しなくてはならない課題が多くあります。農業の担い手となる新規就農者を確保し、経営を軌道に乗せ、経営力の高い農業経営者を育成していくことが重要と考えますが、どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  農産物の世界市場は、人口増や自然災害などが多発しており、食料不足の危機が懸念されます。農産物は、工業製品と異なり、すぐに生産を拡大することができません。世界情勢が不安定を増す中、四方を海に囲まれ、食料の多くを輸入に頼り、食料自給率37%の我が国は、食料の安全保障上の観点からも、農業を守り、農業生産力を維持強化し、できる限り食料自給率の向上を図っていく必要があると考えます。  国際化が進む我が国にとって、農業生産力の維持強化等による食料自給率の向上は、食料を生産する側だけでなく、国民全体が認識を共有するべき課題と考えますが、食料自給率向上に向けて本県としてどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いします。  令和4年度には、第3期長野県食と農業農村振興計画も最終年度を迎えることとなります。令和3年8月開催の長野県食と農業農村振興審議会において提出された令和2年度実績レポートでは、計画において設定した指標は順調に進捗しているように思いますが、先ほど申し上げた新規就農者の減少傾向など課題も見えてきています。  そこで、第3期計画においてここまで取り組んできた農業農村の振興施策の成果と課題、あわせて、第4期計画策定に向けた今後の本県の農業と農村振興の方向性をどのように考えているのか、知事にお伺いいたします。  長野県は、早くから保健活動を推進して、乳幼児から高齢期までの多様な課題に応じた保健活動を展開してきました。医療体制の充実に関しては、現在のところ新型コロナウイルス感染症対策に対応中であり、全体像を俯瞰して評価できる時期ではないと思われますが、医療体制を揺るがせることになったこのたびの感染症は、しあわせ信州創造プラン2.0の健康福祉関係の基本的な土台を再検討する必要性を示したと考えます。  県民の幸せを守るためには、いつでもどこでも適切な医療を受けることができる医療提供体制を確保する必要があります。そこで、今回の新型コロナウイルス感染症の対策を踏まえ、医療機関の役割分担と連携の推進、退院後の自宅や施設での療養までといった医療提供体制確保の課題をどのように捉え、将来に向けて取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  続いて、教育についてお伺いします。  令和4年度当初予算に学校現場におけるICT学習環境整備に関する事業が計上されており、1月補正予算と合わせて5億円近い規模となっております。県の予算資料では、「各年代で学びの質を高める教育環境を充実させるとともに、多様な学びを実践できる環境を構築」としておりますが、機器の整備のみで多様な学びが実現できるわけではありません。  こうした折、今年の1月17日に開催されたこれからの長野県教育を考える有識者懇談会における内閣府の合田審議官の講演、「教育DXの先にある学校の存在意義について」の資料を拝見いたしました。資料では、学校のDXによる可能性とともに、子供たちの状況に応じた学びの転換、これまでの教育システムの構造的な変革が必要であることが指摘されておりました。そこで、教育現場のデジタル化に合わせたこれまでの学びの仕組みの見直しの状況と、今後のさらなるデジタル化の進展に向けた学びの仕組みの見直しの方向性を教育長にお伺いします。  さて、これからの時代、我々の想像をはるかに超える早さであらゆるものが変化していくことは想像に難くありません。これから世に出る子供たちには、そうした社会の変化に適応できる教育が求められています。  しあわせ信州創造プラン2.0では、産業構造の変革やグローバル化が急速に進展する時代において、基礎的な技能に加え、それを活用する力やコミュニケーション力など、自ら未来を切り拓いていく力が必要であるとしています。  ここで言われている子供が身につけるべき未来を切り拓く力とはどのような力を想像しているのでしょうか。また、そうした力を身につけるため、学校教育の場で何をしてあげられるのか、将来の子供たちの人間形成にいかに寄与することと考えるか、教育長にお伺いいたします。  子供たちは、日々の学びを通じ、自身の価値観に大きな影響を受けるものと考えます。この価値観が、成長し、生きていく中で、幸せや生きがいの感じ方に影響を与えるとすれば、教育は今まで以上に重要なものとなります。そして、技術革新が進む社会において、これまで以上に多様な能力や個性といったものが求められることとなります。画一的な教育から、可能な限り個々の能力や特殊性にも可能性を見いだす教育が求められるように感じます。あらゆる子供たちが世に出て活躍する可能性があり、10年先にはさらにその可能性が広がっていくのではないかと思います。  第3次長野県教育振興基本計画では、「「学び」の力で未来を拓き、夢を実現する人づくり」を基本理念とし、基本目標の一つとして、「生きる力と創造性を育む信州ならではの「学び」を実践します。」が掲げられていますが、急速に変化している社会において、生きる力と創造性により未来を拓き、夢を実現する人づくりが求められることは間違いないと考えます。  そこで、現在次期計画の検討を進めていると聞いておりますが、第3次計画における取組の成果、課題、あわせて第4次計画策定に向けたコロナ禍における教育への影響やデジタル化への一層の進展、社会環境の大きな変化を踏まえた長野県教育の在り方についてどのように考えるか、教育長にお伺いをいたします。  警察行政についてお伺いします。  昨年の刑法犯総数などを見ますと、認知件数は減少傾向にあり、治安対策に一定の成果が見られます。また、交通事故につきましては、全体の交通事故数、死者数は減少している一方で、高齢者による事故件数は増加傾向にあり、少子高齢化が進行する中、高齢者の交通安全対策が引き続き大きな課題となっております。そこで、高齢者が当事者となる交通事故防止のためにどのように取り組んでいくのか、警察本部長にお伺いします。  治安対策にとって、発生した犯罪を取り締まり、犯人を検挙することは最も重要であり、住民の安全、安心を守るものであることは申し上げるまでもありません。一方、住民にとって一番の安全、安心とは何かを考えますと、事件や事故が起こらないこと、すなわち事件や事故が未然に防止されることではないでしょうか。  そこで、令和4年の警察運営指針の対策において総合的な犯罪防止対策の推進が掲げられ、安全、安心な社会づくりのための各種取組が示されておりますが、こうした取組に加えて、防犯カメラの設置推進により犯罪を未然に防ぐことも重要と考えますが、警察の取組について警察本部長にお伺いをいたします。  長野県企業局においては、昨年3月、社会経済情勢等の変化を踏まえ、平成28年に策定した長野県公営企業経営戦略を改定し、新たに基本目標を設定するとともに、基本方針に新たな三つの視点を加え、事業を展開するとしました。  経営計画では、電気事業においてはFIT制度を可能な限り活用した新しい発電所の建設推進やエネルギーの地消地産、水道事業では施設、管路の耐震化の前倒しや、広域化、広域連携の推進などに取り組むこととしております。そこで、長野県公営企業経営戦略の改定後の取組状況と、今後の企業局経営に当たっての決意を公営企業管理者にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)丸山議員の御質問に順次お答え申し上げたいと思います。  まず、しあわせ信州創造プラン2.0の成果と課題についてという御質問の中で、少子化対策について何点か御質問いただきました。  まず、これまでの施策の中で効果が高かったと思われるものや独自の取組について伺うという御質問であります。  県としては、これまで、ライフステージに応じた切れ目のない支援策によりまして、若い世代、子育て世代の希望を実現するという観点で応援を行ってまいりました。そうした中で、例えば子供の福祉医療費の充実、多子世帯に対する保育料軽減等、子育て世帯の経済的負担感の解消に向けての取組、これは全ての市町村と共に取り組んでまいりました。こうした部分は一定の成果が上がってきていると思います。  また、県独自の取組としては、長野県の自然を生かした子育て環境を提供するという観点で信州やまほいくを推進し、保育の質の向上に併せて取り組んできておりますけれども、こうした環境で子供を育てたいということで長野県に移住を目指す方も増えてきているという状況であります。  また、職場環境の改善という観点では、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度をバージョンアップいたしたところでありますけれども、現在197の企業に仕事と家庭の両立支援に取り組んでいただいているという状況であります。  こうした施策の効果が上がる要因として考えられるのは、一つは、子育て施策は市町村が中心に担っていただいておりますので、やはり市町村の皆様方としっかり問題意識を共有して方向性を同じくして取り組んでいくということが重要だというふうに思っておりますし、やまほいくのように、全国一律の施策ではなく、本県の特色をしっかり踏まえた施策展開を図っていくということも重要だと考えております。  また、これは社会全体を変えていかなければいけませんので、そういう意味では、市町村のみならず、経済団体や労働団体の皆様方との連携協力の中での働き方改革といったような観点も重要だと思います。今後とも、さらに効果が上げられるよう、多くの皆様方としっかりと連携しながら取組を進めていきたいというふうに考えております。  続きまして、少子化対策は条例制定により行動計画の策定が求められることになるけれども、どういう計画を策定していくのかという御質問であります。  県議会において御検討を賜っております条例案に基づく行動計画については、少子化対策に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るためのものというふうに受け止めております。そういう意味で、この現下の課題を解決して活力ある長野県をつくっていく上では大変重要な計画になるというふうに考えております。  来年度は、子ども・若者支援総合計画が最終年度を迎えることになりますので、次期計画の策定に向けた議論を本格的に進めていきたいというふうに考えております。条例が制定された場合には、この次期計画を条例案の行動計画としても位置づけて、県を挙げて少子化対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。  計画の視点としては、条例案の中にも基本的施策として盛り込まれているような観点を踏まえて対応していきたいと考えております。具体的には、結婚、妊娠、出産、そして子育ての支援、さらには経済的な自立のための就業支援や仕事と家庭の両立のための職場環境の整備、そしてライフデザイン教育の推進や移住促進、こうした分野にしっかりと対応していきたいと思っております。また、若い世代、子育て世代を社会全体で応援していこうという機運の醸成も大変重要だというふうに考えております。県議会の皆様方をはじめ、若い世代の皆様方とも十分意見交換させていただく中で、新しい視点も極力取り入れて行動計画を策定していきたいというふうに考えております。  続きまして、県として結婚、出産、育児をどうお支えし、若者の希望を実現するのかという御質問でございます。  昨年11月定例会におきまして、少子化対策の一層の強化を求める決議をいただきました。部局横断での政策パッケージの策定等を求めるものでありますので、県としてもしっかり受け止めて対応していきたいというふうに考えております。  そうした観点で、来年度、女性や若者が暮らしたくなる県づくりに取り組んでいきたいと思います。具体的には、若者や子育て世代の所得向上や働きやすい職場環境づくりに努めていきたいというふうに考えております。  また、2点目として、若者の出会いや結婚の希望実現という観点であります。  これにつきましては、市町村の皆様方からも県としての積極的な取組を求められているところでありますので、多様な出会いの機会の創出や結婚新生活の経済的負担の軽減、こうしたことに取り組んでまいります。  さらに、3点目として、子供を産み育てる世代の安心と幸せの実現という観点であります。  不妊治療についても保険適用という形になりますので、この制度改正を契機にして、新たな観点で、県としてもこの不妊検査、不妊治療の支援を行っていきたいというふうに考えております。また、子供医療費の市町村に対する補助範囲についても県として拡大していくところでございます。こうしたことを通じて、若い世代の皆さんが希望を実現できる社会になるように全力で取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、市町村との連携であります。  少子化対策の推進につきましては、先ほど申し上げたように、市町村の皆様方との連携が大変重要だというふうに考えております。そうした観点で、昨年の1月から、県と市町村との実務担当者による合同検討チームを設けて、子供・子育て支援のさらなる充実に向けた検討を行ってきております。また、県と市町村の協議の場において、市町村長の皆様方と私とで直接この少子化対策について意見交換をさせていただいているところであります。こうした取組を踏まえて、今年度末を目途にして、今後、県と市町村が一体となって取り組んでいく少子化対策について取りまとめ、共同で発表していきたいというふうに考えております。今後とも、市町村の皆様方と取組の方向性を共有し、それぞれの役割をしっかり果たしながらこの少子化対策に取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、人口減少が顕著な地域を維持するための対策についてという御質問でございます。  本県は、小規模町村が多く、また、過疎地域も多い県でありますので、御指摘いただいたように、人口減少地域をどう活性化するか、どう支えていくかということは長野県としても非常に重要な課題だというふうに考えています。  人々の価値観は、特に大都市の皆さんの地方回帰の動きで、都会のライフスタイルから農山村のライフスタイルを志向される方が大分増えてきている中で、まさにこうした中山間地域と言われるような地域は、新しい生き方、創造的な暮らし方、こうしたことが実現できる地域としても注目されてきているというふうに考えております。大都市に追いつけ追い越せ型の施策ではなく、過疎地域と呼ばれているような豊かな環境が残り、農業や林業が盛んな地域、そうした地域がこれからますます発展できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。  そのためには、先ほど申し上げたように、少子化対策を進めると同時に、担い手確保という観点も含めて移住、定住の推進を図っていきたいというふうに思っておりますし、また、地域資源を生かした産業の振興や、地域で安心して暮らし続けることができるための医療や教育、交通の充実、こうしたことに積極的に取り組む中で、今人口が減少しているような農山村地域がこれからの新しいクリエーティブフロンティアとなるように県としても取り組んでいきたいというふうに考えております。  続きまして、AI、IoT、ロボットを活用した生産性の高い県の実現についてという御質問であります。  平成31年の4月から県としてもAI・IoT等先端技術利活用支援拠点を設置して、専門のコーディネーターの下で県内中小企業のAI、IoT等の推進の取組を支援してきております。本年度行ったアンケートによりますと、県内企業におけるAI、IoT、ロボット技術等の利活用状況は、2018年の約10%から、2021年、昨年は約26%ということで、こうした技術の利活用は増えてはきております。  ただ、まだ絶対的な割合は低いというふうに考えております。企業が考えている課題としては、基礎的な情報の不足、ICTに詳しい人材の不在、こうした投資に対する効果の算定が難しいといったような点が挙げられております。中小企業・小規模企業白書におきましては、デジタル化に取り組む組織文化の醸成といった企業の組織改革も今後は重要であるというふうに示唆されているところであります。  こうしたことを踏まえて、この4月からスタートを予定しております長野県産業振興機構にITバレー推進部を設置して、このAI、IoT等の活用についてソフト、ハードの両面からしっかり支援していきたいというふうに考えております。  また、様々な産業分野の皆様方とお話しすると、必ずこのデジタル人材が足りないというお話が出てまいりますので、まさに今進めておりますITバレー構想をしっかりと進めることによって人材の育成確保を行っていきたいと思います。また、今回の予算案の中にも、例えば大学生等を対象としたDX人材育成講座の開催やプログラミングスキル等のオンライン訓練の実施などの予算を盛り込ませていただく中で、このデジタル人材の育成にしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。  続きまして、スマート農林業技術の迅速な普及にどう取り組むかという御質問でございます。  農林業分野における担い手の減少や労働力の不足、こうした課題がございます。また、生産性を上げていく上でも、このIoT等の先端技術を活用していく、いわゆるスマート化を進めることが大変重要だというふうに考えております。  スマート農林業を進めていく上で、まず一つは、高額な先端機器の導入、これは、財政的な支援で促進していきたいというふうに考えております。また、農業大学校等の研修を通じてこのスマート農林業技術を活用できる人材の育成にも努めてまいります。さらには、地域振興局においてこうした技術活用を支援していきたいというふうに考えております。  農業分野におきましては、こうした個別農業者に対する支援に加えまして、先端機器と農地等の生産基盤の一体的な整備を図るモデル地区の設定等を行っていきたいと思います。こうしたことを通じて、個別事業者の取組と地域の取組の両面から支援していきたいというふうに考えております。  それから、アフターコロナにおけるサプライチェーンの再構築についてという御質問でございます。  県内企業の海外拠点は、中国をはじめとするアジア諸国や米国等を中心に1,000以上の事業所が置かれている状況であります。生産コストの軽減、市場との近接性、人材の確保、こうしたメリットを生かすためのグローバル展開によりまして、これまで県経済の成長発展に寄与してきているというふうに考えております。  しかしながら、世界規模での新型コロナの感染拡大や半導体需要の増大等で生じた原材料や部品等の供給制約の影響は、こうしたグローバルなサプライチェーンを通じて本県の中小企業にも広く及んできているというふうに考えております。こうしたことから、グローバルな企業の展開は引き続き維持しながらも、一方で、様々な不測の事態にも柔軟に対応できる体制をつくっていくということが重要だというふうに考えております。そのため、供給体制の安定性、事業の効率性、生産や輸送コストなど様々な要素のバランスを踏まえたサプライチェーンの再構築が重要だというふうに考えています。  県としても、BCPの導入や調達先の多元化、新たな取引先の開拓や事業展開の支援、こうしたことを通じて、サプライチェーンの新規構築、あるいは強靱化、こうしたものを後押ししていきたいと考えております。  続きまして、人生100年時代における信州の健康づくりについてという御質問でございます。  しあわせ信州創造プラン2.0の重点目標に掲げております健康長寿日本一につきましては、要介護度に基づく健康寿命全国1位という状況を引き続き男女とも維持しているところでございます。これをしっかりと維持していかなければいけないというふうに考えております。特に、働き盛りの世代における糖尿病や循環器病等の生活習慣病の予防、それから、コロナ禍でも影響が懸念されておりますが、特に高齢者の活動の場の減少等による運動機能の低下、こうしたことへの対応が重要だというふうに考えております。  令和4年度におきましては、こうしたことを踏まえて、企業や保険者、健康ボランティア等と一丸となって働き盛り世代の運動習慣の定着や高齢者のフレイル予防を進めていきたいというふうに考えております。  また、困難を抱える子供や若者を支えていくこと、そして、自殺対策やひきこもりの支援、こうしたことについても積極的に取り組んで、県民の皆様方の心身の健康づくりを支えていきたいというふうに考えております。  続きまして、子供の貧困対策への取組についてという御質問でございます。  これまで、子ども・若者支援総合計画に基づきまして、貧困の連鎖を断ち切るための学びの支援、また、家庭の所得向上に向けた保護者の自立支援、こうしたことに取り組んできたところでございます。  例えば、子供の居場所であります信州こどもカフェや貧困世代の子供に対して個別に学びの支援を行う市町村の数は、この間、非常に増えております。信州こどもカフェは、平成30年度には82か所だったのが、この2月には160か所と倍増しているところでございますし、生活困窮家庭学習・生活支援事業に取り組んでいただいている市町村も、平成30年度の17市町村から、令和3年度、今年度は43の市町村まで増えているということで、一定の取組の成果は出てきているものというふうに考えています。  しかしながら、コロナ禍の影響もあり、困窮するお子さんや子育て世帯に対する支援の重要性はこれまで以上に高まっているというふうに考えております。こうしたことから、来年度は、子供の居場所確保に向けた支援のさらなる充実、そして、独り親の御家庭に対する就業・生活支援の充実に取り組んでいきたいというふうに考えております。引き続き、こうした非常に厳しい経済状況の中でお子さんを育てられている世代の皆様方の思いにしっかり寄り添って施策の推進を図っていきたいというふうに考えております。  続きまして、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿が地域や地域の子供たちに与えた影響、そして、今後のスポーツ振興、さらには2028年に予定されております本県の国民スポーツ大会にどう生かされるのかという御質問であります。  この事前合宿は、4市2町で、7か国、選手、スタッフ合わせて計135名の方々を受け入れさせていただいたところであります。例えば、長野市では、競泳のデンマーク代表選手の練習を小学生たちが見学しました。海外のトップアスリートの姿に直接触れ合う機会ができ、また、練習終了後には選手に泳ぎ方のコツを尋ねるといったような場面もあったようでございます。また、下諏訪町においては、ボート競技の強豪イタリア代表選手が、地域住民の皆さんや地元のボート部の高校生たちと交流いたしました。こうした交流を通じて、地域の振興や国際理解の醸成につながったのではないかというふうに考えております。  6年後に開催を予定しております信州やまなみ国スポ・全障スポにおきましては、大会前、そして大会後も、多くの県民の皆様方がスポーツに関われる文化を根づかせていきたいというふうに考えております。  そうした観点で、このトップアスリートの皆さんと触れ合う機会ができたということは、例えば子供たちにとっては、スポーツへの興味、関心をますます高めることにつながったのではないかというふうに思っております。そうした子供たちの中から今後いろいろなスポーツの分野で活躍していく選手が生まれてくるということを期待しますし、また、地域の皆さんにとっても、トップアスリートの皆さんの活躍を間近で見ることを通じて、スポーツを見る、応援するという喜びを感じていただくことができたと思いますので、こうした思いをぜひ国スポ・全障スポにもつなげて、県民全体でこのスポーツ文化を高められるように取り組んでいきたいというふうに考えております。  続きまして、沖縄県との交流事業にどのような可能性を見いだし、実現していくのかという御質問でございます。  長野県は、山に囲まれた県であります。沖縄県は、海に囲まれた県であります。長野県は寒冷地、沖縄県は非常に温暖な地域ということで、全く個性が異なる地域同士だというふうに思います。そういう意味で、相互補完的な協力関係を築くのにふさわしい相手ではないかというふうに考えております。  来年度は、交流拡大に向けて、航空会社、旅行会社にも働きかけてチャーター便をぜひ飛ばしていきたいというふうに思っております。また、教育旅行の誘致、あるいは観光商談会により旅行商品を造成して、相互に観光誘客、活性化をしていきたいと思っております。  また、沖縄県を通じての海外に対する販路の開拓や沖縄県内における物産の振興、こうした取組を強化していくとともに、子供たちの交流、それから両県の環境フェアでの相互のブース出展、こうした事業を予定しているところでございます。将来的には、信州まつもと空港と沖縄とが航空路線でもしっかりと定期便でつながるように両県の交流のさらなる拡大に努めていきたいというふうに考えております。  続きまして、しあわせ信州創造プラン2.0の成果と課題についてという御質問でございます。  このプランは、県民の皆様方の御意見を踏まえ、そして、県議会でも御議決いただいた計画でありますので、私としては責任を持って推進しなければいけないという思いでこれまで取組を進めてきたところでございます。  そうした中で、着実に政策が進んだもの、あるいはまだ少し不十分だというふうに感じるもの、両方ございます。  幾つか具体的に申し上げてまいりますけれども、まず、「学びの県づくり」でございます。これにつきましては、例えば、信州幼児教育支援センターの開設、それから、先ほど申し上げた信州やまほいくの推進、ICTの活用等による学びの改革の推進や高校改革の推進、そして、長野県立大学の設置と、この7月に予定している大学院の設置、さらには、県内大学の学部設置等への支援、知と創造の場としての県立長野図書館の機能強化、こうしたことに取り組むことにより子供から大人まで生涯を通じた学びの環境が着実に整備されてきているというふうに考えております。  また、「産業の生産性が高い県づくり」についてでございますけれども、信州ITバレー構想や成長分野における産業振興ビジョンの策定、医療機器、あるいは航空機産業、食品製造業、こうしたビジョンの策定に基づく施策の推進、そして、この4月に予定しております産業振興機構の発足、さらには、ICTを活用したスマート農林業の推進、そして、営業局を中心とした国内外への県産品の販路拡大、こうしたことに取り組む中で、労働生産性の向上や農産物の輸出額増加、こうした形で具体的な成果が表れてきているというふうに考えております。  また、「人をひきつける快適な県づくり」という観点では、移住したい県という評価を生かしながら、移住や二地域居住、さらにはテレワーク、こうしたことに総合的に取り組んできました。その結果として、国内移動についてはまだやや社会減ではありますけれども、かなり社会増に近づきつつあるという状況まで持ってくることができました。  また、「誰にでも居場所と出番がある県づくり」としましては、先ほど申し上げたように、信州こどもカフェを県内各地で創設いただいてきておりますし、また、生活就労支援センター「まいさぽ」による自立支援を通じた様々な困難を抱える方々への支援についても充実させてまいりました。また、今定例会におきましては、障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例案、また、長野県犯罪被害者等支援条例案を御審議いただくことになっておりますけれども、こうした検討もこの間鋭意進めてまいったところでございます。このように、しあわせ信州創造プラン2.0は、様々な分野で具体的な成果を上げ、また着実な推進を見ることができてきたというふうに思っております。  しかしながら、まだまだ課題もございます。例えば、合計特殊出生率については、令和2年の数字が1.53ということで、これは、目標値を1.76としておりましたので、まだまだ少子化に歯止めがかかっていない、まだまだ重要な課題が続いているというふうに思っております。  また、ゼロカーボン戦略、脱炭素社会の実現という観点でも、現在、2030年までに二酸化炭素実質排出量を6割削減という目標を掲げておりますけれども、こうした目標達成に向けては相当な決意と覚悟の下で取組を加速化していかなければいけないというふうに思っております。  また、この間、大規模な災害や新型コロナウイルス感染症が様々な社会経済に大きな影響を与えました。そういう観点では、例えば、インバウンド観光も一時非常に順調に推移をしておりましたけれども、このコロナ禍で大きく減少してしまっているという状況でありますので、こうした観光消費額をはじめとする経済の再生、回復についてもこれから全力を挙げて取り組んでいかなければいけないというふうに考えております。  このような成果と課題があるわけでありますけれども、来年度の政策評価も通じてしっかりと分析、検証を行った上で次の計画策定につなげていきたいと考えております。  続きまして、しあわせ信州創造プラン2.0の総仕上げとなる令和4年度予算にどのような思いを込めているのかという御質問でございます。  先ほど申し上げたように、しあわせ信州創造プラン2.0は、これは議会でも御議決をいただき、また、県民の皆様方と共につくり上げた計画でありますので、それだけこの達成に向けた責任は重いというふうに思っております。災害やコロナがあったものの、掲げた目標を極力達成できるよう、あるいは達成できなくても極力近づくことができるようにという思いで予算編成をさせていただいたところでございます。  また、今は平常時ではなく、非常に危機管理対応が求められている状況でありますので、この新型コロナ対策や防災・減災対策、特に、災害からの復旧・復興については最重要課題という認識の下で、県民の皆様方の暮らしの安心、安全を守るという観点で予算編成を行わせていただきました。  また、時代は大きく変わりつつあります。デジタル化やグリーン化、脱炭素社会の実現に向けた方向性、長野県のみならず日本全体、あるいは社会全体、世界全体がそうした方向に向かっておりますので、こうした動きの後塵を拝することがないように、でき得れば地域社会において先頭を走っていくことができるようにというような思いで予算編成をさせていただきました。また、このコロナ禍で様々な社会課題が顕在化している中で公正な社会をつくっていく、こうした観点にも意を用いさせていただいたところでございます。県議会の皆様方には、この令和4年度予算をぜひ御議決いただき、着実な執行を図ってまいりたいというふうに思っております。  続きまして、10年後の長野県の未来についてということで何点か御質問を頂戴しました。  まず、幸せの定義についてという御質問でございます。  御質問の中にもございましたように、近年、経済統計でははかれない社会の豊かさ、あるいは生活の質を重視していくことが世界的な潮流となっておりまして、いわゆるウエルビーイングということについて、日本政府においても各種基本計画の成果指標として設定をしていく方針が示されたところであります。また、経団連等におきましても、こうした新しい概念を基本方針等に取り入れる動きが広がってきております。  ウエルビーイングは、一般的に、経済的な豊かさに加えて、身体的、精神的、社会的に良好な状態を指す概念というふうに言われております。総合計画審議会の委員の方からも重要な視点として意見が出されているところでございます。
     先日、東京大学名誉教授の神野直彦先生から、私も含めた県の幹部職員に御講演をいただきました。その際、存在、英語でいうとbeingですが、存在欲求が満たされることで人間は幸福を実感するという御示唆をいただいたところでございます。数字的な尺度で幸せという概念はなかなか表しにくいところでありますけれども、経済的な豊かさだけではない心の豊かさを目指していくということが、この幸せという概念を実現していく上で重要だというふうに思っております。もう少し具体的に言えば、先ほどの神野先生の、いわゆる存在欲求、特に社会における人とのつながりの中で自己の存在が認められるということを実感できる社会をつくっていく。そして、長野県は特に自然環境に恵まれているわけでありますけれども、美しい自然の中での快適な暮らしや社会的な関係、それから自然との関係性、この両面で快適性や存在感を感じられる、こうしたことを通じて、人間は幸福を実感できるものというふうに考えております。  今後、新しい総合計画を策定していく段階になっていくわけでありますが、こうした幸せ概念、ウエルビーイングといったような概念を我々もしっかりと念頭に置きながら取組を進めていきたいというふうに考えております。  それから、国のTECH戦略に示されたテクノロジーを生かした長野県のあるべき姿の描き方、それから、最新テクノロジーをできるだけ早く享受できるように施策や計画の立案をしていくこと、こうした御質問をいただきました。  しあわせ信州創造プラン2.0におきましては、産業や地域のイノベーションを促進してクリエーティブな社会をつくることを目指して、AI、IoT、ロボット、こうした先端技術を活用することを政策の構築、実行に当たっての共通視点として掲げさせていただいているところでございます。  また、こうしたことを具体化するために長野県DX戦略を策定しました。これに沿って産業分野、県民の皆様の暮らしの分野、そして我々行政の分野、こうした分野ごとのDXを進めてきているという状況でございます。  来年度は、次期総合5か年計画の策定に併せてこのDX戦略も改定していきたいというふうに考えております。国の各種計画や最新テクノロジー等の動向もしっかり踏まえながら、長野県のあるべき姿、そして取り組むべき具体的な施策を検討していきたいというふうに考えております。  続きまして、長野県の将来像について県民が納得、期待できるものとし、分かりやすく訴えていくことについての見解という御質問でございます。  この総合計画、そして県政を進めていく上では、県民の皆様方の思い、考え方と遊離していってはいけないというふうに考えております。そういう観点で、県民の皆様方とビジョンや方向性を常に共有し、総合計画の策定に当たりましても、策定の段階から多くの方々の意見をお伺いしながら共につくり上げていくということが重要だというふうに考えております。  現在、信州これから会議というものを開催しています。若者からシニア世代まで様々な地域、様々な分野で活躍する方々にお集まりいただき、これからの長野県の未来を語り合っていただくという会議であります。私も一度参加させていただきましたけれども、県の若い職員がしっかりコーディネーターを務めながら非常に面白いアイデアを引き出していました。トライ・アンド・エラーを恐れない寛容な社会といったようなエッジの利いたキーワードも出てきておりますので、こうしたことも今後の総合計画にはできるだけ反映できるように取り組んでいきたいというふうに考えております。  今後は、県議会、あるいは総合計画審議会で御議論いただくということはもとよりでありますけれども、県民の皆様、企業や団体、市町村の皆様方とも、目指すべき長野県の未来の姿、そして、そのために必要な取組等について積極的な対話、意見交換を行っていきたいというふうに思っております。  また、計画策定後の実行段階においても、できるだけ進捗状況等を県民に分かりやすくお伝えしながら、共に策定し、共に進める、そうした計画にしていくように努力していきたいと考えております。  続きまして、森林・林業の観点で御質問をいただきました。  まず、森林づくり指針の進捗状況と課題、そして今後の森林再生のビジネスモデルをどう描くかという御質問でございます。  平成22年に策定いたしました現行の指針につきましては、森林資源を効率的かつ安定的に利用するといったようなことなどを目指して、施業の集約化、路網の整備、高性能林業機械の導入、人材の育成、こうした各般の施策を進めてきたところでございます。その結果、素材生産量は平成21年に約30万立方メートルでございましたけれども、令和2年には57万立方メートルということで倍近くまで増加してきております。  他方で、民有林の素材生産量の半分以上は依然として間伐によるものでありまして、主伐へのシフトがまだ途上であるというふうに考えております。こうしたことから、令和4年の目標である80万立方メートルには及ばない状況であります。  また、林業の就業者数については、令和4年度の目標であります2,200人に対しまして令和2年度には1,449人ということで、まだまだ努力が必要というふうに考えております。  今後、効率的な施業が可能な林業経営に適した森林におきましては、間伐から主伐への転換とその後の再造林を促進していきたいというふうに考えております。また、素材生産に加えて、保育作業に従事する担い手の確保を進めることにより木材生産が継続して行われるよう取り組んでまいります。  また、あわせまして、木材需要の拡大を図るため、建築物への木材利用はもとより、日々の生活用品などを木質製品へ転換するウッドチェンジを推進して、県産材が当たり前に消費者の皆様方から選択いただけるような社会を目指していきたいというふうに考えております。こうした供給、需要の両面の取組をさらに推進していきたいと考えております。  続きまして、森林管理の取組について御質問いただきました。  豊かな森林を維持していく上では、地形、地質の状況や、期待される機能に応じて適切な森林管理を行っていくことが必要だということは、まさに御指摘のとおりだというふうに思います。  先ほど申し上げた林業経営に適した森林のほか、土砂災害防止や治水機能を重視する森林におきましては、県や市町村などが公的に関与しながら、緊急性の高い区域の優先づけをした上で防災・減災に重点を置いた管理を進めていくことが重要だというふうに考えております。  また、里山など県民の皆様方が身近に利活用いただけるような森林におきましては、森林所有者や地域住民によります自発的な管理や、企業等によります森林セラピー基地やレクリエーションとしての活用など、木材生産以外の活動を通じた森林の多面的な利活用を通じた管理等を促進していきたいというふうに考えております。  続きまして、防災・減災の観点で何点か御質問いただきました。  まず、流域治水対策の取組についてという御質問でございます。  御質問にもありましたように、令和元年東日本台風災害をはじめ、長野県は相次ぐ豪雨災害に見舞われてきました。気候変動の影響等もあり、災害の激甚化、頻発化傾向があることに加えて、例えば、千曲川沿川の上流から下流まで被災するというような場合には、災害の広域化というようなことも懸念されます。  まず、私どもとしては、これまで、被災している地域の皆様方の暮らし、産業を一日も早く再建するという観点での災害復旧、ビルド・バック・ベター、改良復旧、さらには内水対策、こうした復旧事業や再度災害防止のための取組を最優先で進めているところでございます。  また、予防的な対策としては、計画的に進める河川整備を進捗させていくことと併せて、国土強靱化のための5か年加速化対策事業や緊急浚渫推進事業債といった国がつくっている防災のための支援策を最大限有効に活用しながら、河川内の土砂掘削や樹木の伐採等も含めた対策を行っていきたいというふうに考えております。  また、県としては、河川管理者としての事業を進めていくことはもとよりでありますけれども、流域のあらゆる関係者と協力しながら河川に雨水等が流入していく量を減らしていく流出抑制対策等の取組も進めていきたいというふうに考えております。これまで以上に幅広い多くの県民の皆様方の力を結集して災害に強い長野県づくりをしっかりと進めていきたいと考えております。  続きまして、防災意識の向上と避難対策の進め方についてという御質問でございます。  東日本台風災害においては、1,700名を超える方が浸水域から救助されました。警察、消防、自衛隊、海上保安庁、本当に関係機関の皆様方の御尽力に感謝するわけでありますが、こうした逃げ遅れる方が出ないように日頃から取り組んでいくということが重要だというふうに思っております。そういう意味で、長野県民の皆様お一人お一人が自らの命は自らが守るというような意識を持っていただいた上で適切な避難行動を取っていただけるよう市町村と連携して対応していきたいと考えております。  そうした観点で、一昨年、市町村と共同で逃げ遅れゼロ宣言を行わせていただきました。これまで、逃げ遅れゼロプロジェクトを進めてきているところでありますが、例えば、ハザードマップや避難情報の認知度を上げるためのキャンペーンの実施、また、新しくつくりました信州防災アプリを活用した防災意識の向上、さらには、危機管理型水位計や簡易型河川監視カメラの充実によりリアルに情報を県民の皆さんにお伝えしていくような仕組みの構築、さらに、避難行動の呼びかけは、市町村、とりわけ市町村長の皆様方が中心になって行っていただくわけでありますので、市町村長向けのトップフォーラムの開催をはじめとする市町村の災害対応力の向上のための取組を進めてきている状況でございます。  この災害予防対策は、ここまでできればこれで終わりということはないわけでありますので、これからも引き続き決して逃げ遅れを出さないという強い思いを持ちながら市町村と連携して対応を進めていきたいというふうに考えております。  続きまして、再生可能エネルギーの観点で、現状、今後の課題と取組という御質問をいただきました。  本県におきます2019年度の再生可能エネルギーの生産量は、2.8万テラジュールという状況でございます。これは、2010年に比べますと0.6万テラジュールの増加ということになっています。これは、様々な施策の展開、そして、とりわけ本県のポテンシャルを生かした太陽光発電の増加が大きく寄与しているものというふうに考えています。  2030年度に向けては、2010年度比で約2倍となります4.1万テラジュールの再生可能エネルギーの生産を目指しているところでありますので、これまで一定程度拡大してきておりますけれども、これまで以上のスピード感で取組を進めていかなきゃいけないというふうに考えております。  また、課題は様々ございますけれども、やはり県民の皆様方、そして事業者の皆様方の理解と行動、特に、再生可能エネルギーをつくること、それから使うこと、こうしたことの意義を御理解いただき、それぞれのお立場で率先実行いただけるような環境をつくっていくということが大変重要だというふうに思っております。  今定例会にも長野県地球温暖化対策条例の改正案を提案させていただいておりますけれども、こうしたことを通じた新たなルールづくりや、今回の予算でも様々な予算を盛り込ませていただいております各種支援策の充実やあらゆる施策を総動員しながらこの再生可能エネルギーのさらなる普及拡大を図っていきたいと考えております。  続きまして、脱炭素社会に向けた取組の評価と今後の方向性、決意という御質問であります。  知事就任以来、この地球温暖化対策についてはかなり積極的に取り組ませてきていただいたというふうに思っております。平成23年の4月に温暖化対策課を設置して以来、都道府県初の気候非常事態宣言の発出や気候危機突破方針の策定、ゼロカーボン戦略の策定、こうした取組を行ってきたところでございます。  先ほどから御答弁申し上げているように、そうした中で、再生可能エネルギーの生産量も増加してきているところでありますけれども、温室効果ガス排出量についても2010年度以降減少傾向が続いている状況でございます。特に、県内総生産と温室効果ガスの排出量が分離、デカップリングと呼んでいますけれども、経済は一定程度成長しながら温室効果ガスの排出量を抑制していくというデカップリングの傾向も2012年度以降継続しております。環境と経済は一定程度両立してくることができたのではないかというふうに考えております。  今後は、ゼロカーボン戦略で掲げました2030年度目標、温室効果ガス正味排出量の6割削減という達成を目指して、交通、建物、産業活動等様々な分野におけるシステムの変革を行っていきたいと思いますし、また、今ある技術や仕組みをフルに活用しながら取組を進めていきたいというふうに考えております。  また、この脱炭素社会の実現に向けては、多様な主体とのパートナーシップが重要だというふうに考えております。新年度早期にサステナブルNAGANO共創プラットフォームを立ち上げて、世代や立場を超えて新しい取組を具体的に進めていきたいというふうに考えております。  また、現在、私は全国知事会の脱炭素地球温暖化対策本部長を務めさせていただいておりますので、全国の知事とも連携しながら、国に対する働きかけ、あるいは優れた事例の都道府県間での共有に取り組んでいきたいと思いますし、また、これは、日本だけ、長野県だけが取り組んでいても成果が上がりませんので、海外の地方政府や非政府組織などとも連携しながらこの地球規模の課題に正面から向き合っていきたいというふうに考えております。  続きまして、観光の観点で御質問をいただきました。  まず、世界水準の山岳高原リゾートとはどのようなものかという御質問でございます。  平成26年に山岳高原を活かした世界水準の滞在型観光地づくり構想を策定いたしました。その中の世界水準の山岳高原観光地とは何かということが一番分かりやすいのではないかと思いますので引用させていただきますけれども、3点ございます。  一つは、地域の独自の価値が観光地域づくりのコンセプトとしてしっかり確立していること。ただ何となくお客様を呼ぶということではなく、その地域が持つ本来の個性をしっかりと生かしながら地域の独自の価値が確立しているということがまず基本的に重要だと思います。  そして、これは観光でありますので、他の地域との競争にもなります。そうしたコンセプトが世界の観光市場の中でしっかりと認知されているということが重要だというふうに思います。決して自己満足ではいけないということであります。  それから、行政、観光関連事業者、地域住民が連携したマネジメント体制が整っていること。キャンペーンだけの観光行政や、行政だけ、あるいは特定の観光事業者だけが頑張っている、そうしたことでは世界とは競争できませんので、関係者が連携してしっかり共通の目標の下で取り組んでいくマネジメント体制が整っている、いわゆるDMO体制がしっかりできている、こうしたことが世界水準の滞在型観光地の要件として重要だというふうに考えております。今後とも、こうしたことを意識しながら、世界の観光地と競争し合える観光地づくりを進めていきたいというふうに思っています。  続きまして、今後の観光施策の構築についてという御質問でございます。  Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針を一昨年9月に策定いたしました。このコロナ禍は、少し長引いているわけでありますけれども、確実にどこかで収束するわけであります。そこから動き始めては遅いというふうに考えておりますので、今からしっかり準備していくことが重要だというふうに考えております。  安全・安心な観光地域づくり、長期滞在型の観光の推進、信州リピーターの獲得、この三つを振興方針に掲げているわけでありますけれども、この三つの柱は、短期的な取組だけではなく、中長期的な取組の指針としても十分生かし得るものだというふうに考えております。  そうした観点で、例えば観光地域づくりですが、今ハクババレーに重点支援を行っておりますけれども、そこでの取組のよい事例等をほかの地域にも波及させていきたいというふうに思っております。  また、この観光地域づくりは、観光部だけでは進められません。例えば、サイクリングロードを整備するためには建設部の力が必要でありますし、また、ワインツーリズムを進めていく上では農政部、産業労働部等との連携も必要になってくるわけでありますので、県の全ての行政分野がしっかり観光地域づくりということに焦点を当てて取り組んでいくということも重要だというふうに考えています。  また、我々行政はやはり商売感覚に疎いところがありますので、民間企業をはじめとする民間的な発想をお持ちの皆さんともしっかり連携し、役割分担をして取り組んでいく、こうしたことが大変重要だというふうに思っております。こうした取組を通じて、コロナが収束すれば、また世界から多くのお客様を迎えることができる観光施策に取り組んでいきたいというふうに思っております。  続きまして、農業でございます。  農業の担い手となる新規就農者を確保し、経営を軌道に乗せ、経営力の高い農業経営者を育成するためどう取り組んでいくのかという御質問でございます。  県としては、まず、この担い手の確保育成は最重要の課題だというふうに考えております。県内外の就農相談や農業大学校における新規就農里親研修、そして、農業農村支援センターにおける経営指導、こうしたことを通じて、新規就農される方の確保育成を進めてきているところでございます。  こうした取組に加えまして、来年度からは、即戦力となる人材を確保する観点で、長野県農業法人協会と連携した農業法人の従業員の独立就農を支援していきたいと考えております。  また、経営スキルの向上などを図る観点から、売上高10億円を目指す大規模農業法人を育成するための信州農業エグゼクティブMBA研修を実施してまいります。こうしたことも新たに加えながら、本県農業の担い手の確保育成を一層推進していきたいと考えております。  続きまして、食料自給率の向上に向けた取組という御質問でございます。  食料がなければ人間は生きていくことができないわけであります。今、コロナ禍でなかなか海外との往来が不自由な状況になっています。また、これは、本県に限らず、気候変動の影響で、世界で異常気象が頻発、災害が多発という状況になっています。こうしたことを考えると、これまで以上に食料自給率を向上させていくということが大変重要だというふうに考えております。  本県は園芸品目を中心とした農産物の総合供給産地でありますので、そうした産地としての責任をしっかり果たすべく、食料の安定生産をまず行っていきたいというふうに思っておりますし、また、そのためにも、スマート農業の加速化を通じて生産性の向上を図っていきたいというふうに考えています。  加えて、例えば、畜産の飼料はこれまで海外からの輸入にかなり頼ってきておりますので、自給率を上げていくという観点からは、こうした輸入が中心になっているものを国産へと転換していくという取組も重要だというふうに考えております。  また、消費の観点でも、これは消費者の皆様方の行動変容を促していくためにエシカル消費の推進といったようなことにもさらに力を入れて取り組んでいきたいというふうに思っています。  こうしたことを通じて、長野県における食料自給率をできるだけ上げていきたいというふうに思っておりますが、一方で、この食料安全保障を考えれば、これは長野県だけの取組ではなく、やはり国家全体、国全体で取り組むべき重要なテーマでありますので、こうした施策の充実については機会を捉えて国にも求めていきたいというふうに考えております。  続きまして、食と農業農村振興計画の成果と課題、次期計画の方向性についてという御質問でございます。  現行計画の成果としては、認定農業者など中核的経営体の育成が進んできました。また、ブドウのクイーンルージュをはじめとする果樹のオリジナル品種等の栽培面積も拡大してきました。こうしたことを通じて、大きな災害が続いているというような状況にあっても、農業農村総生産額は3,000億円以上を維持してくることができました。  他方で、高齢化の進展や新規就農者の減少といったようなことによりまして、基幹的農業従事者が計画の見通しを大幅に下回っております。また、担い手に対する農地の集積がまだ40%台にとどまっているといったようなことで、生産基盤がまだまだ脆弱な部分があるというふうに考えております。  次期計画におきましては、現状の課題をしっかり踏まえながら、農家所得や生産性の向上といった産業としての農業振興、それから、多様な人材が活躍できる暮らしの場としての農村の達成化、こうしたことをベースにしながら、社会情勢の変化に伴う新たな視点を農業の分野においてどう実現していくかという観点を加えて検討を行っていきたいというふうに考えております。  2月7日に食と農業農村振興審議会に次期計画策定の諮問を行わせていただいたところであります。今後、県民の皆様、関係団体の皆様から御意見、御提言もいただく中で、次期総合5か年計画との整合性も図りつつ計画策定を進めていきたいと考えております。  それから、私に対する最後の御質問でありますけれども、医療の観点であります。医療提供体制確保の課題と将来に向けた対応についてという御質問でございます。  これまで、新型コロナ感染症対策に関連しましては、重症患者を受け入れる大学病院等や中等症・軽症患者を受け入れていただく重点医療機関、さらには、急性期を脱した患者の方を受け入れていただく後方支援医療機関、そして、自宅療養者等の支援を行っていただく地域の診療所の皆さん、こういう形で、医療機関の役割分担と連携をこの第6派に至る過程で逐次構築し、強化してきたところであります。こうした取組に当たりましては、各地域において、医療関係の皆様方が、地元の市町村と我々県も加わって協議を重ねた上でこうした体制が構築できてきたというふうに考えております。  こうした取組は、いわゆる新型コロナ対策に限られるものではないというふうに考えております。医療計画や地域医療構想が目指す医療提供体制全般にこうしたしっかりとした協議と適切な役割、機能の分担ということが重要だというふうに考えています。こうしたことを通じて、病床や人材等限られた医療資源の有効活用が図られ、また、医療需要の変化に応じた効率的な医療提供体制の構築にもつながっていくというふうに考えております。  今後、地域医療構想調整会議を再開していきたいというふうに考えております。公立・公的病院のみならず、民間病院も含めて、医療機関の役割分担と連携強化について医療圏ごとに地域の関係者による丁寧な議論を促進して合意形成を図っていきたいというふうに考えております。  私への質問は以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)教育についてのお尋ねについて順次お答え申し上げます。  まず、教育現場のデジタル化に合わせた学びの仕組みの見直しの状況と今後の方向性についてのお尋ねでございます。  これまでの学びの仕組みは、集団が基本となる教室で教師による一斉授業になりがちでありましたが、これからは、デジタル技術を最大限に活用し、多様な子供たちに対応していく学びが不可欠だというふうに考えております。  現在、一人一人に端末が用意されたことによりまして、クラウドを介した同時共同編集を活用し、複数の児童生徒による協働的な学びの充実が図られてきております。端末の家庭への持ち帰りも普及し、教室以外の空間でも学べるよう準備が着実に進んでおります。また、高校では、コロナ禍においても、オンラインを活用し、一般企業や大学生と連携して地域連携型の探求学習を行うなど、学校の実情を踏まえた様々な取組が広がってきております。  これからは、さらなるICTの活用によりまして、子供の理解度や特性に応じて自分のペースで学ぶ、学校間、学校種を越えて学ぶ、離れた場所にいる外部人材等と空間的な制約を越え、双方向にやり取りをしながら学ぶなど、学びの仕組みをアップデートし、一人一人の学びを充実させてまいりたいというふうに考えております。  続きまして、子供たちが身につけるべき未来を切り拓く力について、そして、こうした力を身につけるための学校教育の在り方と人間形成の寄与についてでございます。  まず、子供たちが身につけるべき未来を切り拓く力についてでございますが、変化の激しい予測困難な時代にあっては、想定外の事態に遭遇した場合でも、自ら考え、判断し、試行錯誤や創意工夫ができる資質と能力が求められております。具体的には、基礎的な知識、技能を活用して、物事の中から問題を見いだし、解決をしていく問題発見・解決能力、自分の考えをまとめたり、他者の思いを受け止めたりする豊かなコミュニケーションなどにつながる言語能力、そして、情報と情報技術を適切かつ効果的に活用していく情報活用能力などの力であるというふうに考えております。  こうした力を身につけるためには、知識伝達型の学びから、自ら問いを見いだし、その解決を目指して仲間と協働しながら新たな価値を創造する学びへと学校教育は転換していかなければならないというふうに考えております。そのため、教師は、知識の伝達を行うティーチングではなく、子供の主体的な学びの伴走者となるコーチングをすることが大切であるというふうに認識しております。  そして、このような学びの転換により、子供たち一人一人が多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会のつくり手となることに寄与するものというふうに考えているところでございます。  次に、第3次長野県教育振興基本計画における取組の成果と課題、そして、第4次の計画策定に向けた長野県教育の在り方についての御質問でございます。  まず、第3次長野県教育振興基本計画における取組の成果と課題についてでございますが、平成30年3月に策定した第3次計画に基づき、これまで様々な施策を行ってまいりました。その結果、例えば、学びの改革を実践する学校への支援による探究的な学びの広がり、信州幼児教育支援センターの設置による幼保小の連携の強化、長野県ICT教育推進センターを中心としたオンライン授業等の進展、自立活動担当教員の増員による特別支援学校でのきめ細かな支援、また、LD等通級指導教室の増設によるインクルーシブな教育の推進などの成果が上がっているというふうに認識しております。  一方で、加速度的に進むデジタル化に対応したICT教育の充実、子供たちの持つ多様な認知の特性や興味関心に対応した教育の推進、教員の働き方改革の推進、コロナ禍で増加する不登校の子供たちへの対応などさらに取り組まなければならない課題が様々あるというふうに考えております。来年度は現計画の最終年度でありまして、こうした成果と課題について分析、検証し、次期計画の策定につなげてまいりたいというふうに考えております。  社会環境の大きな変化を踏まえた長野県教育の在り方についてでございます。  来年度は、これからの長野県教育の在り方や方向性を示す次期計画の策定に本格的に取り組む1年でございます。現行の計画を策定以降、社会の在り方が急速に変化していく中で、長野県教育の在り方についてもしっかり考えていく必要があるというふうに思っております。  これまでも一人一人の子供の目線に立ち、個別最適な学びや協働的な学びの実現に向け取り組んでまいりましたが、コロナ禍を契機に、デジタルがもたらす学びの可能性、リアルな体験の持つ価値、福祉的機能等の学校の存在意義などを認識したところでございます。これからの学校教育の在り方を考えていく上では、人間としての強みを伸ばしていくことの重要性、デジタルとリアルの最適な組合せ、子供たち一人一人の多様な幸せと社会全体の幸せをどう実現していくのかといった問題意識を持ってこれからの長野県教育を考える有識者懇談会などで議論を深め、次期計画の策定を進めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)私には、高齢者の交通事故防止対策と防犯カメラ設置促進のための取組について質問をいただきました。  まず、高齢者の交通事故防止対策についてお答えします。  県下の交通事故は減少傾向にありますが、高齢者の関係する交通事故の割合は増加傾向を示しており、令和3年中の発生件数は全体の約4割、死者数は6割を占めております。  県警察では、高齢者事故の割合が増加していることを踏まえ、高齢者の交通事故防止対策を特に力を入れていきたい事項として各種対策を推進しており、高齢者が加齢に伴う身体機能の変化を自覚できるよう交通安全教育車「チャレンジ号」を県下各地に派遣して、参加、体験、実践型の交通安全指導を行っているところであります。  また、高齢者の自動車運転では、安全不確認やブレーキとアクセルの踏み間違い事故の比率が高いことから、安全運転サポート車の体験試乗会の開催や、事故を起こした運転者の中で特に危険が認められる方に対し個別指導を行っております。  次に、自転車が関係する交通事故では頭部が致命傷となる死亡事故が多いことから、高齢者に対する自転車用ヘルメットの着用促進対策として高齢者ヘルメット着用促進モニター事業を展開するとともに、広報チラシの配布や街頭指導による安全対策を推進しているところであります。
     さらに、高齢歩行者の死亡事故は、夜間の道路横断中の割合が高く、事故当事者のほとんどが夜光反射材を着用していないことから、出前型の交通安全教室や個別指導による夜光反射材の着用促進に取り組んでいるところであります。  県警察といたしましては、今後も、高齢者自身が身体機能の変化が行動に及ぼす影響を理解し、自らが安全な交通行動を実践することで交通事故防止が図られるよう、引き続き関係機関・団体と連携した高齢者交通事故防止対策に取り組んでまいります。  次に、防犯カメラ設置促進のための取組についてお答えします。  警察では、街頭に設置される防犯カメラは、被害の未然防止や犯罪発生時の的確な対応に有効であり、県民の安全、安心を守る上で大きな役割を果たすものであると考えています。そのため、県警察では、平成29年から、長野県警察街頭防犯カメラ設置促進事業として、地域住民の身近で起きる犯罪や、地域住民が不安に感じる子供や女性への声かけ事案等の発生を抑止する目的で自治組織や市町村が設置する街頭防犯カメラについて、設置費用の一部を補助しているほか、適正かつ効果的な設置や管理のために必要な情報提供、助言などの支援を行っているところであります。  街頭防犯カメラの設置促進事業は今後も継続する方針であり、引き続き事業の活用について自治組織や市町村に働きかけてまいります。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)企業局経営についての御質問にお答えいたします。  まず、経営戦略改定後の取組状況についてでございますが、企業局では、気候変動や人口減少等に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大により激動する経営環境に対応するため、令和7年度までを計画期間とする経営戦略を改定し、今年度からスタートさせました。  このうち電気事業では、知事部局との連携により、平成30年度に設置した新規電源開発地点発掘プロジェクトにおいて、市町村等、地域の皆様の御協力をいただきながら、開発候補地点の選定、調査を加速してございます。  これに加え、企業局が令和元年度から独自に採用した設計・施工一括タイプ等による公募型プロポーザル方式で事業を発注することで、スピード感を持って固定価格買取り制度の認定を得て水力発電所の設計から建設までを推進しているところでございます。  これらにより、新しい水力発電所は、今年度3か所で新たに運転を開始するとともに、7か所で設計等により事業を進めていることに加え、5か所で調査を継続中でございますが、今年度新たに設置した中央制御所を中核としてスマート保安を推進し、運転管理を高度化、効率化するとともに、令和4年度新たに設置する3か所の発電建設事務所を含む5か所体制で全県での新規電源開発を積極的に推進し、脱炭素社会づくりに向けた取組をさらに加速してまいりたいと思います。  水道事業では、基幹管路等の耐震化を改定前の目標から1年度前倒しして着実に推進していることに加え、令和2年度に全ての市町村等の参加を得て設立した長野県水道事業広域連携推進協議会で統一フォーマットの長野モデルとして定めた水道情報の共有を進めるとともに、平成30年度から開催し、累計の参加人数が本年度延べ1,000人を超えた水道事業実務研修会の充実等により人材の確保育成を図ることで、広域連携と市町村への支援に取り組んでおります。  さらに、末端給水事業では、今年度、上田長野地域水道事業広域化研究会を関係市町と新たに設置し、広域化に向けた事業統合等の論点整理や財政シミュレーションに取り組むとともに、用水供給事業においても、今年度、厚生労働省により検討調査を実施していただきながら松本地域の市村と連携して広域化等に向けた検討を進めているところでございます。  次に、今後の企業局経営に当たっての決意についてでございますが、企業局には、昭和36年度発足以来、地域の発展と県民生活の向上を図るため、その時代その時代の新たな課題に対応し、民間企業も踏み込まない未踏の分野へも進取の精神で先駆的に取り組んできた歴史がございます。変革の時代と言われておりますが、これからも、企業局は、たとえ時代の荒波に翻弄される小舟のような存在であるとしても、常に未来を見据えて、地域への貢献、地域との連携を念頭に置きつつ、職員が一致団結し、いかなる難題にも志を高く帆に掲げ果敢に挑戦していくという、そんな存在でありたいし、あってほしいと考えているところでございます。  以上でございます。       〔41番丸山栄一君登壇〕 ◆41番(丸山栄一 君)それぞれ御答弁いただきました。  現代は、新型コロナやテクノロジーの進化によってあらゆるものを取り巻く環境が複雑さを増し、今までやってきたことやスタンダードだと思われたことが崩れていっているような気がします。  さらに、新型コロナウイルスの流行や地球温暖化に伴う気候変動や異常気象、台風や地震といった災害など予測困難な事象が起こっており、将来の予測が困難な状況にあります。進むべき選択を誤らず、必要な政策を積極的に推進していただくことをお願いし、自由民主党県議団の代表質問といたします。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時20分まで休憩いたします。         午後0時15分休憩          ──────────────────         午後1時21分開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  改革・創造みらい代表小林東一郎議員。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)中野・下高井郡選出、小林東一郎であります。改革・創造みらいを代表し、質問いたします。  新型コロナウイルスパンデミックは、中国武漢での最初のウイルス感染確認から数え3年目に突入しており、人類に多大な影響を及ぼしています。次々と現れる変異株による感染の波が幾度も襲来し、私たちはマスクを着用するのが当たり前の生活を強いられるなど、社会生活のありようが一変しました。飲食店など一部の業種では存亡の危機と言うべき状況が続いています。  我が国では、オミクロン株による第6波で感染者の急増があり、既に400万人を超える方々が感染、このところ亡くなられる方々も増えており、既に2万人を超えました。県内でも感染者が3万人に迫り、500人を超える方々がお亡くなりになっています。お亡くなりになられました皆様の御冥福をお祈りするとともに、現在療養されている方々や影響を被られた方々にお見舞いを申し上げます。さらに、困難な状況にあっても社会が止まらないよう渾身の御努力を払われている医療従事者をはじめとする皆様には、心から感謝を申し上げます。  パンデミックの出口はいまだ明らかではありません。しかし、人類の英知と協働によりやがてこの危機を乗り越えらえることは疑いようがありません。そこに至るまで命と健康を守るため、感染症対策に取り組み、パンデミック後のよりよい社会づくりを模索するとともに、困難を抱えるお一人お一人に寄り添う支援を実行することが政治の使命です。知事をはじめとする執行部とともに、改革・創造みらいも全力を傾注することを表明し、質問に入ります。  最初に、新年度当初予算案の姿及び地財計画と県財政について全て知事に伺います。  阿部知事は、コロナ禍や相次ぐ災害等により県民の皆様の暮らしの基盤が揺らぐ中、直面する切実な課題への対応のほか、気候変動や人口減少などの中長期的な課題に対し、今までの発想にとらわれない大胆かつ戦略的な対応が必要とされ、県民の皆様の確かな暮らしを守り、誰もが活躍できる活力あふれる信州を目指し、県政運営に全力を尽くすとされています。また、新年度は、しあわせ信州創造プラン2.0の最終年度であり、計画の総仕上げであることを意識し、目標の達成に向け、一層努力するとも表明されています。  そこでは、国の補正予算を受けての15か月予算編成の考え方の下、新型コロナ対策や防災・減災対策などに切れ目なく取り組むとの姿勢が示されるとともに、製造業を中心とした企業業績の向上を背景とした県税収入や地方譲与税などの増加も相まって、本年度に続き、過去最高額の一般会計1兆848億円余となる新年度当初予算が編成され、今議会に提出されましたが、予算編成の考え方について、以下の3点について伺います。  1点目、現下の厳しさを増す状況の打開や自らの県政推進への思いを込めたしあわせ信州創造プラン2.0の総仕上げを成し遂げるとの決意を形にした予算案だと推察いたしますが、今夏には知事選挙が予定されています。そのことも踏まえ、いかなる見地から予算編成に当たられたのでしょうか。骨格予算とするお考えはなかったのでしょうか。  2点目、オミクロン株がもたらした感染拡大が高止まり状態にあり、県経済にも影響が及んでいます。迅速な第6波の収束が望まれるとともに、来るべき新たな感染の波への備えが求められているところです。新年度当初予算案には、新型コロナ対応分として2,192億円余が計上されていますが、現下の最重要課題である感染症対策については、感染拡大防止とコロナ後の社会の再生のバランスが重要となりますが、どちらに軸足を置き、予算編成を行ったのでしょうか。  3点目、予算編成の考え方として最初に掲げられているのがしあわせ信州創造プラン2.0の総仕上げ。六つの重点テーマを推進するため、さきの1月補正予算と一体的に編成したと説明されていますが、重点テーマの中には、順調な進捗が図られているものもあれば、進捗がはかばかしくないものも見受けられます。六つの重点テーマへの財源と人的資源の投入のバランスはどのように図られたのでしょうか。  しあわせ信州創造プラン2.0の政策推進基本方針の一つとして「自治の力みなぎる県づくり」が掲げられていますが、予算編成に当たって、元気づくり支援金と地域振興推進費にシーリングをかけ、予算減額を行ったのはなぜでしょうか。自治の力向上とは真逆ではないかと思うのですが、いかがですか。  県は、地方の実情に沿ったきめ細やかな行政サービスを十分に担っていくためには基盤となる地方財源の確保充実が必要とし、地方交付税総額の確実な確保や臨時財政対策債の廃止と償還財源の確保などを毎年国に要望しているところです。国は、新年度の地方財政計画において、コロナ禍にあっても地方税収の増加や交付税財源が確保される見込みであるとし、地方財源の不足額は前年比マイナス74.7%の2兆5,559億円になり、折半対象財源不足が生じないことから、折半対象分の臨時財政対策債の発行を見送ることになりましたが、このことへの評価をお聞きします。  とはいえ、既往債の元利償還分の臨財債1兆7,805億円の発行を依然として地方は強いられており、本県でも、新年度156億円の発行が予定されています。借金を借金で賄う不健全な構造が依然として残されていますが、国は既往債の元利償還分は交付税措置されているとしています。国において既往債の元利償還分の財源確保の明確化は進められているとお考えですか。  地財計画における地域デジタル社会推進費2,000億円のうち都道府県分800億円の本県での活用はどのようになるのでしょうか。お示しいただきます。  公共施設等適正管理推進事業費について、対象事業及び事業費を拡充した上で事業期間が5年間延長されたことへの評価をお聞きします。また、追加された脱炭素事業をどのように活用し、何を目指されるのでしょうか。  繰り返し襲来する感染の波に保健所業務が翻弄されています。行財政改革の名の下に保健所の統廃合が進められ、市町村との機能分担によりスリム化が図られてきました。そこに生じた隙をパンデミックがついてきたとも言える状況を打開するため、国は、保健所の恒常的な人員体制の強化に追い込まれました。保健所において感染症対応業務に従事する保健師を21年度と22年度の2年間で900名増員し、コロナ禍前の1.5倍に増員が図られる予定で、このことは地財計画に明記されています。これにより、国は、健康危機管理対応力の強化のほか、IHEAT登録者への研修、訓練を実施する体制を平時から強化するとしています。  保健所において、感染症対策に従事する保健師の本年度の増員数と来年度予定されている増員数はどれくらいですか。また、それにより健康危機管理対応力の強化はどの程度図られるのですか。加えて、本県では潜在保健師等の活用が進んでいないと聞いていますが、IHEATの活用状況と成果についても伺います。  次に、次期総合5か年計画について、これについても全て知事に伺います。  今後の県政の道しるべとなる次期総合5か年計画の内容等については新年度本格的に議論を進めるとされていますが、現行計画策定以降大きく変化している社会経済情勢や新たな課題を直視し、果敢な挑戦を続けなければならないと次期計画策定に向けた基本姿勢が示されています。  現在、幾つもの要因から社会構造そのものの在り方が問われていることは、多方面から数多く指摘されてきました。場合によっては、人類の将来が危ういのではないか、あるいは、我が国の産業構造の土台が揺らいでいるのではないか、社会の分断が進み二極化しているのではないかとの警鐘も鳴らされています。VUCAの時代と言われるゆえんでしょう。  そのような不確実性の時代にあって、知事は、現行計画の基本目標である「確かな暮らしが営まれる美しい信州」という考え方を維持しながら県政運営を行う必要があるとされました。しかし、VUCAの時代を持ち出されるのなら、確かな暮らしとか美しい信州といった抽象的なイメージを掲げるよりも、進むべき方向を見定め、力強い目標を掲げ、それに至る道筋を県民に分かりやすく示し、県政を推進する必要があるのではありませんか。  本県は、脱炭素社会の実現を明確に打ち出しています。長期的な視点に立てば、欧米で進行中のグリーンニューディールのような脱炭素の加速により新たなビジネスを生み出し、雇用を創出することのほうが県民に長期的な利益をもたらすといった方向を次期計画の基本方針として示すべきではありませんか。  また、知事は、公正な社会の在り方も繁栄した地域づくりの土台となるものとされています。社会学者の上野千鶴子氏は、コロナ禍がもたらした不況は女性不況だと言われている理由について、正規、非正規の待遇差の大きい二重労働市場の下で非正規の女性が直撃を受け、その中にシングルマザーが多く含まれている現実があるからとしています。また、今、生産年齢人口の女性の7割が働いているが、その6割は非正規で、日本は30年かけて格差社会をつくってきたとも指摘しています。  また、大内裕和中京大学教授は、全国大学生活協同組合連合会による学生生活実態調査から、仕送り額とアルバイト収入の減少、卒業後の返済不安から貸与型奨学金利用の忌避もあって、学生生活は逼迫を余儀なくされており、そのため、食費を減らさなければならない状況にあると報告しています。  子供の貧困やワーキングプアの解消、男女の平等を阻む社会的障壁の超克といった公正な社会の実現で民主主義の基盤を強化することも、次期計画の基本方針に位置づけるべきではありませんか。  前例主義に基づいて次の計画を立案するのがこれまでの常識であったかもしれません。次はここを伸ばそう、ここを改善しようという目標を立てることが一般的に行われています。しかし、パンデミックが発生するような不確実性の時代には、計画でさえも状況に応じて大胆に対応する必要が生じるはずです。部分最適ではなく全体最適を追求するべきではないでしょうか。お考えをお聞きします。  次に、新型コロナウイルス感染症への対応について伺います。  1月27日にはまん延防止等重点措置が本県に適用になり、その後、新規感染者数の高止まりや確保病床使用率が下がらない理由から2週間の期間延長がされ、3月6日まで措置が続けられる事態を迎えています。  これまでの本県におけるまん延防止等重点措置適用の効果をどのように評価されますか。重点措置が県民の行動変容を促したとの感触を持っておられるでしょうか。あるとのことなら、具体的にどのような事象から感触を得られたのでしょうか。  オミクロン株では子供を核とした感染拡大が見られましたが、誰がワクチン未接種なのかを考えれば、感染力の強い変異株の登場でどこで感染が拡大するか予測可能だったと思います。これまでの国による子供の感染対策について、第6波への備えも含め、どのように評価されますか。また、県のこれまでの取組についてはどのように総括しておられますか。  新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づき、本県でも行動計画を策定しています。そこでは、最大必要病床数を想定していると聞いています。また、政府行動計画では、国が都道府県のフォローアップや指導を行うと定めています。行動計画が新型コロナウイルス感染症対策に反映されたと言えるのでしょうか。計画はあっても、顧みられることがなかったのならば、第6波収束後に速やかに総括するべきではありませんか。  国が進める地域医療構想については、多くの公立・公的医療機関がコロナ患者を受け入れている現状を考えれば、これら病院の統合再編計画は見直しが必要です。国に対しどのように提言されるお考えですか。  オミクロン株の感染拡大期にあって、県は、積極的疫学調査の簡略化に踏み切らざるを得なかったと聞いています。積極的疫学調査を維持するため、保健所体制の見直しは急務で、保健師など専門職がコア業務に専念できるよう体制を整えてきた和歌山県の事例に学ぶなど、体制の再構築に努めるべきではありませんか。  また、感染の急拡大で保健所業務が逼迫し、そのため、約600名の職員が兼務で業務に当たっているとも聞いていますが、保健所職員のみならず、兼務職員も疲弊している状況との訴えが届いています。どのように対処されますか。以上、知事に伺います。  第6波では、オミクロン株の特性もあり、本県でも自宅療養者が急増しました。自宅療養の質の向上には、健康観察センターと医師会の協力を得て実施している電話診療の連結が欠かせないと思いますが、対応状況を健康福祉部長に伺います。  緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返されるたびに、感染拡大防止の観点から人流の抑制が図られてきました。それにより、2020年に県内主要観光地287か所を利用した人数は前年の6割にとどまるなど、観光業は打撃を被っています。  国のGo To トラベルや県による信州割といった観光支援策で一時的な回復はあっても、感染拡大で再び苦境に落ち込む事態が繰り返される悪循環に陥っています。いかに打開されるお考えですか。  また、インバウンド需要が全く見込めない中で、国内旅行が週末に集中する傾向があります。平日でも休暇が取れる休みの分散化の推進を国に働きかけるべきではありませんか。以上、知事にお聞きします。  コロナ前のインバウンドの急増で、我が国の代表的観光地である京都や鎌倉では、公共交通の混雑が日常生活を混乱させているなどのオーバーツーリズムが発生しています。インバウンド推進で地域社会や住民の生活の豊かさが二の次にされてきた結果の表れではないでしょうか。  観光部長に伺います。  コロナ収束後に照準を合わせ、海外需要の取組を図る方向が示されています。それを進めるに当たり、長期にわたって観光資源を守る観点からの取組が必要ではありませんか。お考えをお聞かせください。  また、観光は、感染症ばかりではなく、自然災害などの外的要因の影響を受けやすい特性があり、備えが必要とされます。観光危機管理をいかに進めていかれますか。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)小林議員の御質問に順次お答え申し上げたいと思います。  まず、予算と地財計画、県財政についての御質問であります。  初めに、予算編成に関連して、いかなる見地から予算編成を行ったのか、骨格予算とする考えはなかったのかという御質問であります。  これまでも提案説明等で申し上げてきているように、今回の予算編成は、直面している様々な課題、コロナや災害対応などにしっかり対応しつつ、中長期的な課題にも予算づけをする。そして、しあわせ信州創造プラン2.0の最終年度であるということを意識して予算編成させていただきました。  骨格予算についてでありますけれども、私に与えられている任期は8月末まででございます。仮に新しい知事が私に代わって9月1日に就任したとして、9月議会で予算提案というのが通常のスケジュールになると思いますが、そこから予算に肉づけをするということになると、来年度は長野県の主な事業がほとんどできなくなってしまうということになります。しかも、今は課題山積ということでありますので、骨格予算ということではなく、本格予算として編成させていただいたところであります。  それから、感染拡大防止とコロナ後の社会の再生のどちらに軸足を置いて編成を行ったかということでありますが、これはいずれも重要な課題だというふうに思っています。今は感染状況をにらみながら様々な対策を行ってきているわけでありますけれども、3月から4月にかけてどういう状況になってくるかなかなか見通せないところもありますので、引き続きコロナ対応についてはしっかり万全を期していきたいというふうに思っています。  ただ、何度も申し上げたように、いずれかの時点ではこのコロナも収束してくるわけでありますので、今の時点から、例えば観光や産業振興など次の種まきも行いながらアフターコロナに備えていくと、そうした取組が重要だというふうに思っています。コロナ後の社会の再生ということも念頭に置いてしっかり予算化させていただいたところでございます。  それから、六つの重点テーマについてでありますけれども、これについては、いずれも本県が取り組むべき重要なテーマだというふうに思っておりますが、まずは、命と暮らし、産業を守るためのコロナ対策、そして、防災・減災対策、さらにはコロナ禍からの復興、こうしたものにしっかり対応していく必要があるというふうに思っています。その上で、世界的な課題であります脱炭素社会の構築、それから、誰一人取り残さない公正な社会づくり、さらには、ずっと学びの県づくりを進めてきておりますけれども、誰もが主体的に学び続けられる社会づくり、こうしたことについて中長期的な視点を持って取り組んでいきたいというふうに考えています。  縦割り的な発想ではなく横断的に六つのテーマを組み立てておりますので、それぞれの部局の連携の中で県の総合力を発揮しながら効果を上げていきたいというふうに思っております。  それから、元気づくり支援金と地域振興推進費のシーリングについて御質問をいただきました。  長野県財政は、当初予算編成段階では、このところ毎年100億円を超える財源不足が生じていて、基金を取り崩して対応しているという厳しい財政状況が続いている中で、選択と集中の強化、事業の厳選、内容の精査、こうしたことを継続的に行っていかなければいけないというふうに思っております。  今回、新年度予算の編成に当たりましても聖域を設けることなく対応させていただいたことから、元気づくり支援金と地域振興推進費についても、部局長裁量経費と同様、対前年度予算額の95%という形にさせていただいたところであります。  もとより、「自治の力みなぎる県づくり」は私も重要だというふうに考えております。市町村の皆様方とのしっかりとした連携の下、地域振興局からの提案事業も、例えば諏訪湖創生ビジョンや浅間山の火山防災対策の強化など、地域の課題にも市町村や地域振興局と力を合わせてしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えています。  続きまして、臨財債について御質問をいただきました。  まず、折半対象分の臨時財政対策債の発行が見送られたことへの評価ということであります。  これまで、臨財債の廃止を国に要望してきておりますので、廃止までには至っていませんけれども、過去最低水準まで発行額が抑制されたということについては評価をしたい。かなり総務省も頑張ってもらったんじゃないかというふうに思っています。その結果、本県の令和4年度末の臨時財政対策債の残高もおかげさまで縮小するという形になります。  それから、既往債の元利償還分の財源確保の明確化は進められているかということでありますが、臨時財政対策債の元利償還金相当額については、これは地方財政法に基づいてその全額を後年度の地方交付税の基準財政需要額に算入するという形になっておりますので、国の責任で必要な財源を確保してもらうということが当然の前提だというふうに思っています。  ただ、地方財政計画が臨時財政対策債だけ見込んでいるわけではありませんので、いろいろな経費が削られると、結果として地方財源総体が少なくなってしまうという形になりますので、当然のことながら、必要な地方財源総額の確保ということも国においてはしっかり行ってもらうということが重要だと思っています。  それから、地域デジタル社会推進費について本県での活用はどうなるのかという御質問でございます。  長野県DX戦略の推進ということを位置づけて産業や暮らしを支えるDXを推進していきたいと思っております。そういう観点で、信州ITバレー構想に即したITビジネスの創出やIT企業の集積促進、さらには、IT人材を引きつけるためのセミナーの開催、さらには、産業分野のDXや暮らしのデジタル化の推進、こうしたことに取り組んでまいりますが、この地域デジタル社会推進費については、こうした取組の財源として有効に活用していきたいというふうに考えております。  続きまして、公共施設等適正管理推進事業債の対象事業の拡大、期間延長に対する評価という御質問であります。  このことについては、これまでも、国に対して期間延長について要望してきているところであります。今回、事業費が増額され、また、対象も拡大され、継続という形になったわけでありますけれども、地方団体が率先的に取り組む太陽光発電の導入や公共施設の省エネルギー改修、あるいは空港施設やダム本体等の長寿命化、こうしたものを進めるための事業に公共施設等適正管理推進事業債が活用可能となったところでありまして、これについては、本県にとって、長寿命化、再生可能エネルギー、省エネルギーの推進はいずれも重要な課題でありますので、こうした制度になって非常にありがたいと思っておりますし、評価したいというふうに思っています。  今回、脱炭素事業が追加されたわけでありますけれども、どう活用するかという御質問でございます。  これにつきましては、新年度予算において、諏訪湖環境研究センターの改修、それから、県立高校やキッセイ文化ホール、伊那文化会館、障がい者福祉センター等における照明のLED化工事に活用していきたいというふうに考えています。脱炭素社会の構築に向けて県としても率先して取組を進めていきたいと考えております。  続きまして、保健所保健師の増員とIHEATの活用状況についての御質問でございます。  保健所の感染症対応業務に従事する保健師につきましては、令和3年度に12名、令和4年度、来年度にも6名増員することといたしております。これによりまして、保健師の数は、令和2年度と比較して約25%増加ということになります。パンデミック等への対応力が強化されるものというふうに考えております。  また、本県では、臨時的任用職員、あるいは県の保健師OBの活用、さらには市町村の保健師の応援、こうした様々な手段で保健所体制の強化を図ってきたところでございます。引き続き多くの皆様方に支えていただいてこのコロナ対応を乗り越えていきたいというふうに思っております。  なお、IHEATでありますけれども、これは国が関係学会や団体等を通じて募集した保健師等の外部専門職が登録されている人材バンクでありまして、本県においては、本県在住の登録者が41名いらっしゃいます。そのうち、看護系大学の教員6名の方には、今回、保健所において積極的疫学調査等の業務に従事していただいているところでございます。  今後とも、こうしたIHEATの活用も含めて、あらゆる手段を講じて保健所体制の強化構築を図っていきたいと考えております。  続きまして、次期総合5か年計画についての御質問でございます。
     まず、基本目標でありますけれども、今、確かな暮らしが営める美しい信州ということを掲げているわけであります。ただ、今の現行計画は、この基本目標だけではなくて、学びの県づくりなど六つの政策推進の基本方針というものも掲げて、目指す姿も具体的にお示しをさせていただいているところでございます。  人々の価値観が多様化する中で、この基本目標の設定は非常に難しい部分がございますけれども、次期計画におきましても、県民の皆様方に県全体で目指していく目標が分かりやすく伝わり、そして、様々な計画を束ねていく総合計画の目標としてふさわしいものとなるように検討していきたいというふうに考えています。  それから、基本方針でありますけれども、グリーンイノベーション、それから公正な社会づくり、こうしたことをしっかり続ける必要があるのではないかという御提案もいただきました。私も、世界的な課題として、脱炭素社会の実現は非常に重要でありますし、また、そうした社会の動きの中で新たなビジネスを創出し、雇用をつくっていくということは重要な視点だというふうに思っております。  また、アメリカの例を持ち出すまでもなく、今、国民の間で分断が起きているといったような国も出てきておりますので、県民全体が協力し合って支え合い、いろいろな課題を乗り越えていくことができるように、こうした公正な社会の実現ということも重要な視点として念頭に置きながら今後の検討の中で具現化していきたいというふうに思っております。  また、全体最適を追求すべきという御質問でございますけれども、総合計画でございますので、分野ごとの個別計画とは別に県全体を見渡したときにどういうメリハリをつければいいのかということをしっかり考えていくということがやはり重要だと思っておりますので、部分最適ではなく全体最適ということをしっかり目指していきたいというふうに思っております。  それから、新型コロナウイルス感染症対応についてでございます。  まず、まん延防止等重点措置の効果の評価、それから、行動変容を促した実感はあるのかという御質問でございます。  まだ延長させていただいてから間がないわけでありますけれども、まん延防止等重点措置を講じて、急拡大していた新規陽性者数の伸びが頭打ちになってきているという状況が確認されているところであります。  全国の状況を見ますと、今回の第6波では、人口10万人当たりで200人を超えてきている都道府県がかなりの数ある中で、本県は1週間の新規陽性者数が10万人当たり200人の手前のところで何とか踏みとどまったというような状況であります。また、確保病床使用率も、医療警報で50%に達しないようにということを目標に掲げて取り組んできておりますけれども、こちらも、2月8日の44.4%をピークに、やや横ばいのところがありますけれども、50%未満、40%前後で何とかとどまっているという状況であります。様々な対策を講じてきている効果が現れているのではないかというふうに思っています。  行動変容の部分でありますけれども、私どもからは、混雑した場所、あるいは感染リスクの高い場所への外出自粛等をお願いさせていただいておりますし、また、大変厳しい経営環境の中ではありますが、飲食店の皆様方にも営業時間の短縮のお願いをさせていただいているところでございます。  そうした中で、人流データを見ますと、例えば長野市の繁華街です。これは、昨年の7月との比較でございますけれども、2月17日以前の1週間のデータを見ると、去年の7月1日以前の1週間と比べて大体約8割人流が減っているというデータもございます。こうしたことから、私どもからの呼びかけに県民の皆様方に応じていただき、一定程度行動変容を促すことができたのではないかというふうに考えております。  こうした措置の効果については、これまでと同様、第6波が収束した段階で専門家の御意見も伺いながら評価をしていきたいというふうに思っております。  それから、子供の感染対策の評価という御質問でございます。  国からは、感染防止対策の考え方や陽性者等が確認された場合の対応、さらには臨時休業の考え方等がガイドライン等という形で示され、これに基づいて現場が対策を講じているところであります。  また、消毒液等の衛生用品の購入費用やかかり増し経費への支援、さらには、抗原定性検査キットの配布、そして、オンライン授業を行う際の機器や通信環境の整備への支援、こうした取組を国において行っていただいているところでありまして、状況に応じた支援を行ってきていただいているものというふうに思っています。  県としては、これまでの取組の中でも、国のガイドラインを踏まえつつ、県の専門家懇談会の御意見もいただきながら、安全な教育・保育環境の確保や、学びの保障、子供の心のケア、こうしたことに配慮したきめ細やかな感染防止対策を進めてきているところでございます。また、学校現場、保育所等においても、感染警戒レベルに応じた取組に適切に講じていただいているところでございます。  特に、今回の第6波は、子供の感染が多いという状況もありますので、先般、学校に関しては、「「まん延防止等重点措置」期間延長に伴うさらなる感染防止対策の手引き」というものを県独自に作成し、市町村教育委員会等にこうしたものを参考にして取り組んでいただけるようお願いしているところでございます。  子供たちの感染を防いでいく、これは、子供たちを守っていくことと同時に、また、そこから家庭内感染で広がっていくというケースもありますので、何とか抑え込んでいきたいというふうに思っていますが、片方で、子供たちの学びの保障や居場所の確保、こうしたことも重要になっておりますので、感染防止対策だけ進めればいいということではなくて、やはり子供たちの状況、家庭の状況、こうしたことも念頭に置きながら対策を進めていきたいというふうに思っています。  県の取組としての総括については、先ほども申し上げたように、感染が収束した段階で専門家の御意見も伺いながら行っていきたいというふうに思っております。  それから、特措法に基づく行動計画が県の対策に反映されているのかという御質問でございます。  県の行動計画は、新型インフルエンザ等の発生に備えて県全体の体制を整備するために定めるものでありまして、その内容については、対策の基本的方針や発生段階における対策を示すというものになっています。  県の新型コロナ対策は、基本的には行動計画に沿って実施してきているところでありまして、例えば、感染拡大を抑えて流行のピークを遅らせる。そして、医療の負担を軽減させるという基本的戦略や、患者急増時においては、重症者は入院、軽症者は自宅療養という振り分けを行うといったようなことについては行ってきているところであります。  一方で、行動計画の中には、例えば、まん延防止等重点措置といったような記載はないわけでありまして、実際、我々が行っている対策、対応とは異なっている部分もございます。これは、そもそも行動計画の中には記載されていますけれども、新型インフルエンザ等といっても、病原性が低いもの、高いもの様々ありますので、対策の選択肢を示すといったようなこと、あるいは、柔軟に対策、対応を行っていくというようなことが記載されておりますので、そうしたことも踏まえながら対応してきているという状況でございます。  行動計画の総括ということでありますけれども、これも先ほどから申し上げているように、感染収束の段階で様々な振り返りを行っていきたいというふうに思っています。一方で、県の行動計画は政府の行動計画に基づいて作成するという形になっていますので、国においても一連のコロナ対応、この新型インフルエンザ特措法に基づく対策、対応、こうしたものの振り返り、検証、そして次にどうつなげるかという部分をしっかり行ってもらいたいというふうに思っています。  それから、地域医療構想の関連で、病院の統合再編の計画の見直しが必要ではないか、国にどう提言するのかという御質問でございます。  令和元年に国が行いました公立・公的医療機関等の具体的対応方針の再検証等における分析におきましては、救急医療等の特定の診療領域の急性期機能に限定されたものでありまして、地域の実情を考慮していないということで、我々長野県としては、国に対して、県民生活を支える外来医療や回復期、慢性期機能等も分析の観点に入れるよう、機会を捉えて要望、提言を行ってきたところであります。  一方、今般のコロナ禍では、多くの公立・公的医療機関が患者の受入れ、治療を行い、地域医療を支えていただいている状況でありまして、こうした取組は、この地域医療の中でもしっかり評価されるべきものというふうに思っております。  このことから、今後、国に対しては、公立・公的医療機関の再検証を進めるに当たっては、新型コロナのような新興感染症の領域も含めた幅広い診療機能や地域の実情を十分に踏まえた評価を行うべきだということを提言していきたいと考えております。  続きまして、保健所体制の見直しについてという御質問であります。  これまで、保健師、臨床検査技師を増員するとともに、臨時的任用、市町村や看護協会への応援依頼、さらには地方部、地域振興局職員の兼務などにより保健所体制を強化してきたところであります。  また、本県においても、保健師などの専門職が積極的疫学調査などの専門的な業務に専念できるよう、相談電話対応、患者搬送、自宅療養者の健康観察、こうした事務については外部委託等をすることによって体制の整備を行ってきたところでございます。とりわけ、感染が急拡大した第6波におきましては、地方部、地域振興局からの兼務職員を第5波までの176人から626人へ大幅に増員して、保健所の専門職の皆さんの業務支援に当たってきているところであります。  今後とも、兼務職員を含めて、保健所職員に過度な負担が生じないよう必要に応じて職員のさらなる増員も検討していきたいというふうに思っております。非常に業務が逼迫している状況が続いておりますけれども、県組織一丸となって、このコロナ対策を進めて、何とかこの危機を乗り越えていきたいというふうに思っております。  続きまして、観光業の関係でございます。観光業の状況をいかに打開するのか、休みの分散化を国に働きかけるべきではないかという御質問であります。  コロナ禍にあって、観光事業者の皆様方とも対話をしながらいろんな取組を進めてきています。まず、コロナ禍にあっても安心な観光地づくりということで、安全・安心な観光地域づくり、例えば、スキー場の皆さんと一緒にガイドラインをつくったり、お客さんに安心してお越しいただけるような環境整備に努めてきました。また、現時点でも、信州割SPECIALは対象を県内の同居家族に限定するといったような工夫をさせていただき、感染リスクを抑えながら一定の需要喚起策について継続してきているところであります。  また、これは国の事業を使っておりますけれども、宿泊施設感染防止対策等支援事業、安全・安心な宿魅力向上事業ということで、これは宿泊事業者が実施するマイクロツーリズム、ワーケーション等に対応したコンテンツの開発や施設改修を財政的に支援する仕組みでありますが、これを活用していただき、例えば大部屋から個室への施設改修や非接触のチェックインシステムの導入などを進めてきていただいているところであります。  加えて、アフターコロナも見据えて、本県が得意とするワインツーリズムやユニバーサルツーリズム、こうしたテーマに沿った観光地域づくり、さらには、今団体旅行が落ち込んでいるわけでありますけれども、今回の当初予算の中にも、SDGsを学ぶ体験等付加価値を高めた修学旅行誘致の予算を入れさせていただいております。こうした受入れ側の体制整備や観光誘客に向けた取組を現時点でも継続的に行っているところでありますので、コロナが一定程度落ち着いた段階にあっては、積極的に反転攻勢に出て、多くの観光客を呼び戻していきたいというふうに思っております。  それから、休日の分散化についてでありますが、長期滞在型の観光を進めていく長野県としては、休日ができる限りいろいろな時期にあることが大変重要だというふうに思っています。これまでも、知事会を通じて休暇の分散等の提案をさせていただいているところでございますし、本県としても、令和2年の11月に、長期休暇の取得促進やワーケーションの普及を国において積極的に推進するよう要望しているところでございます。引き続き観光県としてこうした要望を国に対して行っていきたいと考えております。  私に対する質問は以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私に対しましては、健康観察センターと電話診療の状況についてのお尋ねをいただいております。  長野県健康観察センターにおきましては、専任の看護師が自宅療養者に対する健康観察業務を担い、症状が増悪する兆候を把握したときには迅速に保健所に連絡し、症状の確認を行った上で、保健所が登録医療機関に電話診療等の依頼を行うことができる体制を整えたところでございます。  保健所におきましては、インターネットを活用した遠隔健康管理システムによりましてセンターの健康観察記録を共有しているところでございます。したがいまして、必要な場合にはデータを医療機関に提供することとしておりまして、こうした取組によりまして健康観察センターと医療機関をつないでいるところでございます。今後も引き続き安心して自宅で療養していただけるよう、自宅療養の質の向上に向けて必要な医療の提供に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には2点お尋ねをいただいております。  まず、長期にわたって観光資源を守る取組についての所見をということでございます。  自然の恵みや歴史文化を生かして観光振興を進めていく上では、地元住民の暮らしや地域の資源を守っていくことは重要と認識しております。これまで、ハクババレーエリアの全スキー場での再生エネルギーへの切替えなど自然環境への配慮、外国人観光客向けのガイドによるマナーやルールの啓発などの取組を支援してきたところでございます。長野県観光戦略2018にもお示しした、住民にとっても暮らしたい、訪れたいと感じられる持続可能な観光地づくりを引き続き進めてまいります。  続いて、観光危機管理の進め方についてでございます。  県では、これまで、地域防災計画に基づき、市町村や地域DMOと連携し、観光客の迅速な避難など安全確保策を進めてきたところでございます。引き続きこうした取組を進めるとともに、事業者におけるBCP、事業継続計画の策定促進、観光客に対する相談体制の構築など、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針に掲げる安全・安心な観光地域づくりに取り組んでまいります。  以上でございます。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)脱炭素社会の構築について伺います。  2018年に本県は国からSDGs未来都市の認定を受け、2021年3月にSDGs未来都市計画を策定、SDGs達成に向けた取組を進めているところですが、そもそも環境保全と開発は相入れないもので、例えば、気候変動問題を解決しつつ経済成長を実現するには、これまで人類が積み重ねてきた開発こそが気候変動の要因なのだから、この二つを同時に目指すことはあり得ないとの指摘があります。他方、温室効果ガス排出量や物質消費の増大と経済成長とを切り離すことで、環境悪化を抑えつつ経済成長を続行することができるとの主張もあります。大きな隔たりがあるように見えますが、この二つの主張の根底に、エネルギーの化石燃料依存はもはや続けられないとの共通認識があることは間違いありません。  SDGs未来都市計画では、自然エネルギー資源を生かしたエネルギー自立分散型モデル地域の形成を目指すとしており、県が昨年策定したゼロカーボン戦略においても、2050年においては森林吸収量以下に温室効果ガス排出量を抑える目標が示されています。そのためには、化石燃料との決別は不可避であり、位置づけが必要と思いますが、知事に伺います。  企業局が発電から電力小売、消費まで一貫した県内でのエネルギーの地産地消を目指す取組を模索しているとの報道がありました。取りあえず自前の電力の販売が主体と思われますが、将来展望に合わせ、現在検討されている構想について公営企業管理者にお聞きします。  2015年のパリ協定採択以降、欧州は脱炭素を加速。米国でも、バイデン大統領が就任後、パリ協定に復帰し、国境炭素税導入に向けた議論が始まっています。脱炭素は、イノベーションを促進し、新たな産業と雇用を生み出すことを目的として欧州が編み出したゲームチェンジだとも言われています。欧米をはじめとする各国は、コストを吸収してなおあり余るメリットをもたらす産業政策と捉えているのに対し、我が国では、いまだに化石燃料からの脱却を図ろうともせず、脱炭素に対しコスト面から向き合っています。これを続ける限り、将来的にコストがかさむばかりになると予想されます。脱炭素を目指すには産業の在り方の転換を図るべきなのですが、知事の見解をお聞きします。  昨年5月、国はみどりの食料システム戦略を策定し、持続可能な食料システムの構築を進めるとしています。そこには、農林水産業の脱炭素化、化学合成農薬、化学肥料の削減、有機農業の拡大等が目指す姿として掲げられていますが、以下2点について伺います。  1点目、それらにより、2050年までに有機農業を軸として我が国農業全体を持続可能な方向に転換するとの意思を国が示したものとの受け止めでしょうか。知事の見解を伺います。  2点目、同戦略の実現に向けた法案が今国会に提出予定とされています。法が制定されれば、国の基本方針策定を受け、県においても基本計画をつくることになります。県農政は転換点を迎えることになるわけですが、人員体制も含め、どのように推進を図るお考えでしょうか。農政部長にお聞きします。  みどり戦略では、農林水産業での温室効果ガス削減策として、再造林や木材利用の推進による人工林資源の循環利用の確立が掲げられ、社会実装を進めることにもなっています。本県では、知事が森林県から林業県への転換を提唱されていますが、転換はどこまで進められてきているのか、知事に伺います。  また、木材利用推進については、ウッドショックの経験も踏まえ、地域材で家を建てる流れをつくることが大切です。川上から川下までをつなぐモデル事業を4広域で年に5億円ずつ投入し、5年間で地場産業を育成するくらいの視点が必要と思いますが、林務部長の見解をお聞きします。  2019年10月から2020年6月にかけ、フランスでは、政府が主催する気候市民会議が開かれました。全国からくじ引で集まった市民150人が130人の専門家から情報提供を受けつつ、消費、労働・生産、移動、住宅、食を中心とするテーマで気候変動対策について議論し、149項目の提言を政府に行っています。これを受け、気候変動とレジリエンス強化に関する法律が制定され、昨年8月に公布されています。同法には、製品やサービスへの温室効果ガス排出量表示の義務化、2時間半未満の鉄道路線による代替が可能な国内フライトの禁止など、市民会議の提案を踏まえた対策が盛り込まれたことは記憶に新しいところです。  我が国でも、気候市民会議さっぽろ2020、脱炭素かわさき市民会議の取組がされ、地域から気候民主主義の動きが始まっています。ほかにも、昨年9月には日本版気候若者会議が国に気候変動対策に関する政策提言を行っています。若者会議の提言では、政府が取るべき政策の方向性として、幸福と環境を両立させる社会の実現には不正義を許している社会構造からの転換が必要とされる。そのことは、気候正義の観点から強く要請されるものだ。現在の経済システムありきの議論では、私たちの求める社会像は達成できないとし、最新の知見に基づく技術やシステムの導入で自然環境を守り、生活を豊かにするとともに、負担の後回しを防がなければならないとしています。  また、既に経済的に熟成している我が国では、幸福と経済は正比例の関係ではないことが示されているとともに、どの分野で我が国が世界を牽引するのか政府は見いだせておらず、これまでとは異なる考え方で国の豊かさを定義することが急務とも指摘しています。傾聴に値すると私は考えます。  気候変動問題は、地球規模での長期にわたるリスクであると同時に、そこには現世代の利害が深く絡んでいます。個々の政治家や政策立案者がアンテナを高く掲げる必要があることはもちろんですが、既存の議会制民主主義の仕組みがうまく働かない可能性への意識も必要となります。  ゼロカーボン戦略に示されているゼロカーボン県民会議がそのような役割を担うことを期待するものですが、県民会議の具体的な姿はサステナブルNAGANO共創プラットフォームだとのことです。そこでは、多様なステークホルダーが集い、つながり、企画段階から最適解を考え、各主体の強みを生かして行動につなげるとの構想が示されていますが、脱炭素に向けて全ての県民に共感を広げていくとの観点からは疑問が残ると感じます。気候民主主義の手始めとして、高校生や大学生による長野県版脱炭素若者会議を県が主催して行ってはどうでしょうか。知事の見解をお聞かせください。  人口減少、少子高齢化への対応について全て知事に伺います。  信州創生戦略をしあわせ信州創造プラン2.0に取り込み、特殊合計出生率1.76、人口の社会増といった重点目標を設定して施策展開が行われていますが、コロナ禍の昨年、本県の社会減は前年比で680人縮小したものの、1,760人となっています。出生数は減少の一途をたどっています。これまでの人口減少対策の取組をどのように評価されますか。  また、地方回帰の追い風が吹く中、社会増実現は正念場を迎えており、計画最終年度となる来年度、どのような施策を講じ、市町村を支援してその実現を図っていかれますか。  国は、若い世代が抱く地方移住への関心は、テレワークによって都会に住むのと同様の働き方が地方でも可能になったことにあると分析し、デジタル田園都市国家構想の具体像を検討しています。言わば、転職なき移住の推進ですが、これを一過性のものにしないために何が必要とお考えでしょうか。新年度の取組内容についてもお聞きします。  一方で、これまで地域を支え続けてきた人の高齢化が一層進み、県土を安全に豊かに維持することが困難になりつつあります。ジャレド・ダイアモンドは、著作「危機と人類」において、我が国の人口減少問題への対応を公正で現実的な自国認識を欠くものとし、人口が8,000万人に減ったとしても、不利はもたらされないどころか、近代史における呪縛であった資源輸入の渇望が減じることで大きな利点が生じると指摘しています。たとえ国全体の人口減に歯止めをかけることは難しくとも、地方に人が移り住み、地域の活力が失われない戦略、デジタル化がそれに当たるでしょうが、それは手段にすぎません。そういった戦略が必要で、半農半Xに代表される多様な働き方を定着させることも重要な政策の一つです。県土保全の観点から施策を展開する必要がありますが、いかがお考えですか。  出生数の減少が続く直接の原因は、出産適齢期の女性人口の減少とともに晩婚化があります。それにより、第1子から第2子以降の出生間隔が狭まっており、女性の子育て負担を大きくしていると国も分析しています。男性は結婚や配偶者の出産で働き方に大きな変化はありませんが、女性には制約があります。働き方改革というよりは、企業の雇用管理の在り方を見直す働かせ方改革を進める必要があります。ワーク・ライフ・バランスの実現に向け、子育て応援宣言や職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度などの取組がされていますが、労働現場を動かすことはできているのでしょうか。  コロナ以前、人口減少が続く地方では、深刻な労働力不足から有効求人倍率が高止まり、さらには、高齢化の進行で介護サービスの求人増加も高止まり要因の一つとなっていました。つまり、人口減少や高齢化の進行が景気がよいように見せかける数字をつくり出していたのです。既に1980年の段階で社会資本整備のための投資よりも社会保障給付が上回っており、小規模な経済圏においては介護などの福祉サービス業が地域経済の主役になってきているのが実態です。ここに注目して人口減少を前提とした社会経済システムづくりに向き合う必要があります。社会保障を負担と考えるのではなく、機能や役割にも目を向け、その充実に努めるべきではありませんか。見解をお聞きします。  デジタル化の加速について伺います。  産業や暮らしを支えるDXの推進については、昨年9月のデジタル庁設置などの追い風を生かしながら取組を一層加速することが必要と知事は今定例会の議案説明で述べておられますし、長野県DX戦略を積極的に推進し、デジタル社会の構築を進めると宣言されています。人口減少時代におけるパラダイム転換のための取組が急務とのことなのですが、DX化の推進でもたらされる県民益を改めて企画振興部長にお示しいただきます。  来年度、スマート自治体推進事業として、ICT活用による庁内DXの推進と市町村との共同による行政事務のDX化推進が掲げられています。庁内DXの推進では、県行政のスマート化推進のための次期情報システム、長野デジタルワークスペースが7月から本格稼働するのに伴い、ICTの導入効果が高いと考えられる業務の所管部局への導入検討を促すとのことです。それならば、全庁的な取組として、かねてから私が提案を行ってきた鳥取県のような予算編成過程のデジタル化、透明化から始めてはいかがでしょうか。知事に伺います。  加えて、行政事務のデジタル化で県民サービスの向上及び業務の効率化を図るとのことなら、使いこなせる人の確保こそが最大の課題となります。デジタル対応については、人材の養成確保について、研修の在り方も含め、来年度中に策定が予定されている行政・財政改革を進めるための新たな方針で行政の質的転換を進めるとされているのですから、きちんと明記すべきです。総務部長のお考えをお聞きします。  また、市町村との共同については、市町村でのデジタル人材の養成確保も含め、伴走型の支援が必要なのではありませんか。県内の市町村長との意見交換会の機会を会派で企画、順次実施していますが、多くの自治体からデジタル人材の確保のための支援を県に求める意見が出されています。企画振興部長に伺います。  次に、困難を抱える人への支援について伺います。  知事は、議案説明で、家事や家族の世話を日常的に行っているヤングケアラーの存在は看過できないとされました。私は、中野立志館高校の定時制教育振興会長を務めている関係から、この問題は、定時制・通信制生徒による生活体験発表においてもその苦しさが訴え続けられてきたと承知しておりますし、かねてから学校関係者の間では課題認識がなされていたとも感じています。新たな課題などではなく、見過ごされてきた課題であって、そのことは、1月5日付の毎日新聞長野版に掲載された御代田町の美斉津康弘さんの体験を紹介した「孤立させない社会つくるべき」との記事、「ヤングケアラー元当事者が語る」をお読みいただければ御理解いただけると思います。  県教育委員会が実施した高校生へのヤングケアラーについてのアンケート調査の結果から、ヤングケアラー支援を進める上での課題として、1、実態が学校内にとめおかれていて、外部に出てこない。2、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが配置されているにもかかわらず、十分な相談に結びついていない。実際に自身がヤングケアラーであると認識している高校生がスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーに相談したことがあるとの回答は1%未満と推測されるが挙げられます。  このことについて、こども若者局長は、学校現場の対応力が問われていると委員会で発言しています。新年度、新たな課題であるヤングケアラーの支援に取り組むため、スクールカウンセラー1名、スクールソーシャルワーカー2名の増員や、それぞれ1,000時間程度の時間増が図られるとのことです。これにより、学校現場の対応力が向上し、適切な支援につなげられるようになるのでしょうか。  また、新年度、県民文化部では、小学校や中学校でもヤングケアラー実態調査を実施し、ヤングケアラーを誰一人取り残さない支援体制の構築を図ることになっており、支援の対象は義務教育にも広げられます。結果を分析し、迅速な支援に結びつけていくためには、やるべきことをきちんとやる学校現場の意識改革がまずは欠かせないのではありませんか。以上、教育長に伺います。  さらに、ヤングケアラーの認知度向上と早期発見・把握、適切な支援につなげられる体制の構築を図るため、ヤングケアラー研修推進事業が新年度予定されています。ヤングケアラーへの気づきがなされるのは学校だと考えますが、例えば県内の全ての学校の関係者やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーが参加する想定で行われるのでしょうか。  加えて、ヤングケアラー自身が声を上げれば支援につなげてもらえるんだと実感できる発信も必要です。これは、誰がどのように担っていくのでしょうか。以上、こども若者局長にお聞きします。  コロナの暮らしへの影響は出口の見えない長期戦の様相を呈しています。県内のまいさぽに寄せられた生活支援に関する新規相談件数は、昨年度8,512件と前年度比2.3倍になるなど、弱者にとって厳しい状況が見て取れます。  既存の支援制度は、リーマンショックや東日本大震災などの経験を踏まえて設計され、企業の存続を手助けする考え方の支援が主体で、個人を対象とした支援は手薄です。例えば、学級閉鎖や保育施設の閉園で子供の面倒を見なければならないときの小学校休業等対応助成金は、もともと企業が年次有給休暇とは別の有給休暇を与えた場合に国が助成するというもので、困っている個人に直接という設計が始めからなされていたものではありません。また、新型コロナウイルス感染症のように複数年にわたる対応は難しいとの指摘もされています。今後の支援策の在り方をどのようにお考えになりますか。知事に伺います。  先月27日の埼玉県ふじみ野市で医師が殺害された立て籠もり事件をめぐる報道から、容疑者の男性はひきこもり状態にあったことが推察され、8050問題ならぬ9060問題の存在すらかいま見られると感じます。ひきこもり者への支援の在り方としてアウトリーチによる積極的な働きかけが求められているところですが、なかなか前に進まない現状があります。  新年度、県社会福祉協議会への委託により、ひきこもり支援事業が本年度事業を発展させる形で予定されていますが、何を目指して行われるのか、健康福祉部長に伺います。  コロナ禍にあって、就労支援B型事業所利用者の工賃が下がっています。県内の工賃月額の平均は、19年度で前年比160円減の1万5,970円に、20年度ではさらに900円減少しています。加えて、雇用契約を結んで原則最低賃金以上の給与が支給されるA型事業所では雇用調整助成金の活用も可能ですが、B型は対象外。工賃の減少分の補填を求める声も聞こえてきます。補填も含め、工賃引上げにどのように取り組まれますか。健康福祉部長に伺います。  特別支援学校高等部卒業生の一般就労がコロナ禍で厳しくなっています。18年度、19年度は、一般就労を希望する生徒のうち90%程度が就労を果たしていましたが、20年度は67%に落ち込んでいます。本年度も厳しい状況が続いていると聞いています。やむなく施設利用を選択せざるを得なかった生徒が卒業後も一般就労に向けたスキルアップとマッチング支援が受けられるよう体制を整えていただきたいのですが、産業労働部長、いかがですか。  犯罪被害者やその御家族の皆様が安心して暮らすことのできる社会を実現するためには、必要な支援が迅速に行われなければならないとし、長野県犯罪被害者等支援条例案が今議会に提出されています。条例案では、経済負担軽減のための見舞金給付が条文化され、遺族見舞金60万円、重傷病見舞金20万円が予定されています。見舞金は国の給付金が支給されるまでのつなぎとの位置づけとされていますが、どのような根拠で算定されたのでしょうか。また、見舞金の給付対象となる犯罪はどのような犯罪なのでしょうか。例えば、軽井沢でのスキーバス事故のような事案や犯罪に巻き込まれた場合は対象となるのでしょうか。  犯罪被害に遭われた方が直接の被害と同程度に苦しめられるのが、誤った報道や根拠のないうわさによる二次被害だと被害に遭われた方からの訴えがありました。この条例の制定でそのような二次被害はどの程度防止できるとお考えですか。  2月10日から3月11日までの期間で、条例案に基づく施策の概要案へのパブリックコメントが実施されています。概要案には、新年度事業の予算づけも示されており、それについても意見募集の対象となっています。ところが、意見募集期間中に議会での予算審査はほぼ終了する日程であり、もし県民からの意見により予算の組替えがなされるなら、それこそ議会軽視どころか議会無視と言うべき事態となります。他方、県民意見は予算に反映しないというのなら、何のための意見募集なのかが問われることになります。今回の意見募集はどのような考え方によるものなのか、御説明をいただきます。以上、県民文化部長に伺います。  犯罪被害を受けた当事者から、総合支援窓口を設け、専門人材の配置を求める声があり、対応が図られるようですが、総合支援窓口は行政支援により中長期の支援につなげる目的で設置されるとのことで、犯罪被害者支援センターが担う相談とは役割を異にしていると聞いています。犯罪被害者支援センターが担っている役割について御説明いただきます。  また、犯罪被害者の心情や利便性を考えれば、警察、犯罪被害者支援センターと総合支援窓口を一体的に運用することが望まれます。例えば、同じ施設への併設が考えられますが、犯罪被害者支援センターや県民文化部といかに連携を図っていかれるお考えですか。以上、警察本部長に伺います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)順次お答え申し上げたいと思います。  まず、脱炭素社会の構築についてであります。化石燃料との決別が不可避であり、位置づけが必要であると考えるがいかがかという御質問であります。  ゼロカーボンの実現、脱炭素社会の実現は、エネルギーシステムも転換していく、これが基本だというふうに思っています。化石燃料に依拠している今のエネルギーシステムは、どちらかというと集権型の仕組みだというふうに思いますし、グローバルな中で供給網ができていますので、一人一人の個人から見ると、どこでどういうことが行われて供給されているのかなかなか見えにくい構造になっているというふうに思います。再生可能エネルギーは、比較的分散型で可視化できるエネルギーでありますので、そうしたものに転換していくということが重要だというふうに思っております。
     ゼロカーボン戦略においても、徹底的な省エネルギーの推進とともに、動力や熱需要を再生可能エネルギーに転換していくということを位置づけているところでございます。しかしながら、急激に転換するということになるといろいろ課題も出てまいります。エネルギー需給の逼迫や産業構造の転換が行われてくることになりますので、エネルギー産業や一部の製造業、こうした分野では雇用の問題ということも出てきます。また、再生可能エネルギーの置き換えが困難な産業用の高温炉など、こうした部門のイノベーションということも必要になってまいりますので、こうした課題を一つ一つ解決しながら取組を進めていくということが重要だというふうに考えています。  続きまして、脱炭素社会を実現するための産業の在り方の転換という御質問であります。  先日、全国知事会として経団連の皆様と意見交換させていただきました。十倉会長をはじめ経団連の皆さんは、サステーナブルな資本主義やGX、グリーントランスフォーメーション、こうしたことを今の時代の中でかなり意識されているということを改めて実感させていただいたところであります。そういう意味で、産業界も脱炭素に向けてかなり本気に取り組み始めているというふうに受け止めています。  県内の企業の状況としても、例えば、サプライチェーンからの要請もあり、CO2フリー電力への転換や、エンジン部品からEV部品の開発に挑戦するといったような動きも出てきているところであります。  また、SDGs推進企業登録制度を行っていますけれども、その登録企業の中で約3割の企業の皆さんにクリーンエネルギーや気候変動対策の取組を目標の中に入れていただいております。そういう意味では、産業界や企業の活動の中でも脱炭素の機運はかなり広まってきているというふうに思っています。  県としては、脱炭素化やサーキュラーエコノミー、こうした動きに県内企業が後れを取ることがないように支援を行っていかなければいけないというふうに思っております。産業振興機構に新たにグリーンイノベーションセンターを設置して、専門家を置いて企業の支援を行っていきたいと思いますし、また、県内企業のGX、産業構造の転換はこれから脱炭素社会を目指す上で大変重要なテーマでありますので、県としてもしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。  続きまして、みどりの食料システム戦略に対する受け止めについてという御質問であります。  EUとアメリカが先行して持続可能な食料システムの確立に向けた戦略を策定する中、国において生産力の向上と持続性の両立をイノベーションで実現させる中長期的なこれまでにない新しい政策体系を構築したものというふうに受け止めています。本戦略は、脱炭素社会の構築を目指す長野県の方向性とも大枠では一致しておりますので、この戦略も踏まえ、持続可能な本県農業の実現に向けた取組を加速化させていきたいというふうに考えています。  続きまして、森林県から林業県への転換はどこまで進んでいるのかという御質問でございます。  本県の素材生産量は、平成21年の約30万立方メートルから令和2年には57万立方メートルということで倍増しています。また、林業就業者1人当たりの木材生産額も、平成22年には461万円でございましたけれども、令和元年には615万円ということで3割以上増加しておりまして、林業の労働生産性も着実に向上しているというふうに考えています。  一方で、戦後植林した木が育ち、傾斜が緩く道から近いといった林業経営に適した森林においては多くの木材が伐採可能になっておりますが、十分な利用が進んでいるとは言えない状況にございます。  こうした林業経営に適した森林において、主伐、再造林を集中的に進めていく必要があるというふうに考えておりますし、また、生産された木材については、建築用の良質材からチップ用の低質材まで幅広く利用することにより、木材の生産、利用が継続して行えるよう取り組んでいきたいと思います。引き続き林業県への転換を目指した取り組みを進めてまいります。  続きまして、長野県版脱炭素若者会議を主催したらどうかという御提案でございます。  ゼロカーボンを進めるに当たっては、御指摘のとおり、若い世代の考え方を反映し、若い世代も一緒に、あるいは若い世代が主体的に行動してもらうということが大変重要だというふうに思っております。サステナブルNAGANO共創プラットフォームにおいては、こうした若者が大人と一緒に世代を越えてつながって共に行動する場として創設していきたいというふうに思っています。  また、若者の活動を我々もできる限り応援していきたいと思っております。例えば、国際学生ゼロカーボン会議が本日からスタートいたします。7か国、17組の若者がプレゼンしますが、現在、43か国、約1,200名から視聴の申込みが来ているということで、非常に多くの皆さんに関心を持っていただいています。  それから、生徒発の気候危機突破プロジェクトを新年度に始めていきたいと思っています。これは、高校生等に自発的に教室の断熱改修等を行う取組を進めてもらい、我々行政や周りの大人も応援していくような仕組みにしていきたいというふうに考えています。  加えて、学校教育、これは教育委員会の所管になりますけれども、総合的な探究の時間等においてSDGsや気候変動についてしっかり学んでもらって若者全体の関心を高めていきたいというふうに思っております。気候民主主義、くじ引民主主義などいろいろと住民参加、国民参加の動きが出てきています。私も含めて、大胆な変革をするときには既存のシステムに熟知しているとなかなか思い切ったことがしづらいところもありますので、若い柔軟な皆さんのアイデアをできるだけ取り入れられるように我々も取り組んでいきたいというふうに思っております。  それから、人口減少について、これまでの人口減少対策の評価ということであります。  このことについては、国の地方創生の取組に先駆けて、本県は平成24年に移住・交流推進戦略を策定して、移住・交流課を設置し、体制を整備しながら取組を進めてきました。また、田舎暮らし「楽園信州」推進協議会を設置して、県だけではなく、市町村、事業者と一体でこの移住策を進めてきたところであります。  大分社会環境も追い風になってきたわけでありまして、移住者数も着実に増加してきています。また、地方回帰の動きもある中で、国内移動の社会減も大幅に改善しています。平成27年にマイナス3,273人が、令和3年には577人という状況であります。コロナ禍でありますので、これが継続的になるかどうかということをしっかり見極めつつ、主体的な行動をしていかなければいけないというふうに思っております。  ただ、本県の特徴として、やはり若い世代、とりわけ若い女性の転出超過が著しいという課題がありますので、ここはしっかり問題意識を持って取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。  また、自然動態については、全国的に合計特殊出生率が低下傾向にある中で、本県の数値は横ばい状態で推移してきましたが、令和2年は少し低下しています。また、出生数も減ってきていますので、これは、正直言って、自然減に歯止めをかけるのはなかなか難しい状況だというふうに考えています。  今後でありますけれども、長野県で結婚、子育てをしたい、してよかったと、そういうふうに若い人に思ってもらえるような環境を整えるということが重要だというふうに思っています。若い世代を応援するという観点での少子化対策をしっかり充実して取り組んでいきたいと思いますし、また、先ほど申し上げたように、移住、定住の観点でも、できるだけ若い世代に対する発信を重視していきたいというふうに思っています。信州回帰プロジェクトの中でも、この地方回帰の動きをしっかり捉まえながら、若者を対象とした移住・ライフスタイルセミナーに取り組んでいきたいというふうに思っております。  また、こうした取組のほかにも、やはり地域全体の魅力を上げていくということが重要だと思いますので、UDC信州によるまちづくり支援、そして、潤いのあるまちづくりという観点でのグリーンインフラの整備、さらには、都会の方にとっては、公共交通に常に囲まれて暮らしていますので、公共交通の利便性の向上といったようなことも地域の魅力を上げていく上で重要だと思いますので、こうした観点の取組も進めてまいります。県と市町村とが連携協力しながらこうした人口減少社会の課題に向き合っていきたいというふうに思っております。  続きまして、デジタル田園都市国家構想の中で、転職なき移住を一過性にしないための取組はどういうものかという御質問でございます。  今、地方創生テレワーク交付金も活用してサテライトオフィス等の整備を進めてきております。今年度は13の市町村において行っているところであります。  この転職なき移住を県内に定着させていく上で、一つは、サテライトオフィスにしっかり企業を誘致していく、また、リゾートテレワークの環境をしっかり整えていくという環境整備がまずは重要だというふうに思います。  また、新しいライフスタイルということを提案していく。これは、既にいろいろな雑誌等で発信されていますけれども、我々行政としてもそうしたことに工夫を凝らしていくことが重要だというふうに思っています。  さらには、これは全国どこでも仕事ができる環境になっていきますので、そういう中で長野県を選んでもらうという観点からすれば、地域の皆さんとのいろいろな形での協働作業、地域とのつながりをしっかり構築していくための支援、こうしたことも重要だというふうに思っています。  具体的には、SuuHaaで魅力ある発信を行って特に若い世代に訴求していきたいというふうに思いますし、また、おためしナガノ等で首都圏等のIT人材の誘致を進めるなど、本県への人と企業の流れをしっかり確実なものにしていきたいというふうに思っています。  それから、県土保全の観点からの移住政策の展開ということで、人口減少、高齢化が進む中で、いわゆる中山間地域を活力ある地域として維持していくための取組ということも御指摘のとおり大変重要だというふうに思います。例えば、豪雪地帯だとなかなか雪下ろしも困難だという状況になってきますので、地域の暮らしを支えるためにも、若い世代がそうした地域に住んでいただく、住み続けられる環境をつくっていくということが重要だと思っています。  そういう意味では、例えば、農業や林業などの産業人材の確保と移住をセットで進めるというような取組も進めてまいりますし、また、本県は、地域おこし協力隊で多くの皆さんが入ってきて、定着していただいている方も多いので、こうした皆さんをしっかり支援しながら、多くの皆さんが中山間地に目を向けて、できれば定着してもらえる仕組みづくりも進めていきたいというふうに思っております。  それから、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取組、子育て応援宣言やアドバンスカンパニー認証制度で実際に労働現場を動かすことができているのかという御質問であります。  これについては、8名の職場環境改善アドバイザーが年間2,600社程度の企業を訪問させていただいて、企業の職場環境改善に向けた助言や様々な認証制度の取得に向けた支援を行わせていただいております。  社員の子育て応援宣言につきましては、従業員が仕事と家庭の両立ができるよう働きやすい職場環境づくりに取り組むことを事業所として宣言いただくものでありますが、こうした中で、例えば、時間外勤務の縮減、毎週水曜日はノー残業デーにしましょうといったようなこと、また、子供の学校行事やPTA活動に参加するための休暇制度など具体的な動きが出ております。登録事業所数は1月末現在で1,468事業所ということで、こうした取組がさらに広がり、そして、具体的な取組がさらに増えていくことを期待して取り組んでいきたいというふうに思います。  また、職場いきいきアドバンスカンパニー認証制度については、昨年10月に制度改正をして、審査項目も見直し、新たなコースを設けました結果、認証事業所数が197事業所ということで増えております。例えば、小1の壁が原因で退職された社員がいるというような経験から、お子さんが小学校1年生の間に利用できる短時間勤務制度を設けるといったような企業が出るなど、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業が増えることにつながっているというふうに考えています。今後とも、こうした企業のよい事例をもっともっと発信することと併せて取組が広がるように県としても支援を行っていきたいというふうに考えています。  それから、社会保障についてであります。負担と考えるのではなく、充実に努めるべきではないかという御質問であります。  社会保障関係費につきましては、令和4年度当初予算案におきましては、新型コロナ、東日本台風災害対応を除いた通常分において1,230億円を計上しております。歳出全体の約14%ということであります。  社会保障については、これは国が基本的な制度を担っているわけでありますけれども、我々県としても、そうしたものを補完していく上で、しっかり取り組んでいくことが重要だというふうに考えています。そういう観点では、厳しい財政状況にあっても、制度を持続的、安定的に運営していくということが大変重要だと思っています。今年はできたけれども来年はやめましたというようなことにならないように、継続性を大事にしていかなければいけないというふうに思っています。そういう意味で、財政状況が厳しい折ではありますが、制度の持続可能性も意識をしながら、県民の皆様方の医療、福祉の充実をこれからも図っていきたいというふうに思っています。  それから、デジタルの関係でありますけれども、予算編成過程のデジタル化、透明化についてという御質問であります。  予算編成におけるデジタル化の推進、透明性の向上は、御指摘のとおり重要なテーマだというふうに思っています。本県においても、知事査定等は原則ペーパーレスということで、いっぱい書類を積んでということではなく、パソコンを使い、なるべく書類を減らしながら取組を進めております。また、予算要求から予算額決定までの間にどういう考え方で要求が変わったかということについても事業改善シートにおいて公表するなど、努力をさせてきていただいているところであります。  また、次期情報システム、ながのデジタルワークプレイスは、今年の7月から本格稼働する予定になっておりますので、こうした中で予算編成のデジタル化についてもさらに進めていきたいというふうに考えています。県民の皆様に対する説明責任を果たす観点からもしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。  それから、私に対する最後の御質問でありますけれども、生活困窮者支援の在り方について、今後の在り方をどう考えているのかという御質問であります。  まいさぽを中心に実施しております生活困窮者自立支援は、生活保護に至る手前のセーフティーネットとして取り組んでいるわけでありますけれども、県としては、今、食料支援や県独自の経済的な支援を行っているところであります。  国においては、長期化しているコロナ禍で顕在化した課題への対応を含めて、生活困窮者自立支援の在り方等について現在検討会を設置して論点整理を行っています。その中に長野県社協の職員も参画して一緒に検討している状況であります。  今後、生活保護制度との関係も含めて社会保障審議会で議論される予定でありますので、その動向を注視していきたいというふうに思います。生活保護は最後のセーフティーネットとして機能しているわけでありますので、私からもちゅうちょすることなく生活保護を活用してくださいとお願いさせていただきましたが、まだまだ抵抗感がある方もいらっしゃると。私の率直な感想として、生活保護に至らないように応援していく仕組みが必ずしも制度的には十分ではないのではないかというふうに思っています。  今回のコロナと同じような状況が出てくるかどうかは分かりませんが、生活保護の手前でどう支援するかということについて、やはりしっかりとした制度構築、国としての方針が必要ではないかというふうに思っています。  平常時は、就労支援の場をつくれば、働く場も一定程度正常に機能しているわけでありますけれども、今回のコロナ禍のような場合は、そもそも働く場自体がなくなってしまうということになりますので、そうすると、例えば、相談支援、就労支援を中心としている支援策だけだと必ずしも十分ではなくなってしまうというふうに思っています。  今回、県としても食料支援等を行わせていただいているところでありますので、国においての検討に期待すると同時に、その状況を踏まえて、県として必要な支援を今後ともしっかり行っていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔公営企業管理者小林透君登壇〕 ◎公営企業管理者(小林透 君)エネルギーの地産地消を目指す上での将来展望と検討中の構想についての御質問でございます。  企業局では、水力発電による電力と、これまで培ってきた発電所の建設や運転、管理の技術力などを最大限に生かし、長野県ゼロカーボン戦略が掲げているエネルギー自立地域の実現を目指すとともに、エネルギーの地消地産等による地域内経済循環に資する売電等の在り方を検討しているところでございます。  この具体的な構想ですが、1点目として、企業局としては、自らの発電所の建設等を加速するとともに、市町村、企業、団体等の取組を積極的に支援することなどにより、県内の様々な主体による新規電源開発が活性化され、全県的に展開されるようになること。2点目としては、水力発電による企業局の電力が太陽光発電等の変動性を調整することなどにより地域新電力とともに県内における再生可能エネルギーの利活用の拡大に寄与すること。3点目としては、こうしたことにより、企業局の電力とともに、地域主導による再生可能エネルギーの拡大が地域内経済の好循環を生み出すことで地域経済の活性化に寄与するとともに、大規模災害発生時等のレジリエンスの向上にもつながることなどにより地域に貢献するものとなることでございまして、これら3点を多様な主体と連携協働して取り組むことでエネルギー自立地域の実現を目指していきたいと考えているところでございます。  そこで、国の電力システム改革が進展する中、刻々と変化する電力市場の動向を注視しながら、今年度、新たに設置した長野県企業局売電等あり方検討有識者会議において、エネルギー分野の全国的な議論をリードする有識者の皆様と意見交換することなどにより検討を進めてまいりたいと思います。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には、みどりの食料システム戦略の推進に向けた県の体制について御質問をいただきました。  今国会に提出予定とされている新たな法案には、戦略推進に向けた基本計画の策定など地方公共団体等関係者の役割などが盛り込まれる見込みですが、現時点で詳細については明らかになっておりません。  県では、これまでも有機農業を含めた環境に優しい農業を推進しており、特に、有機農業については、令和元年度から有機農業推進専任担当を配置しているところです。今後、法案の詳細が明らかになる中で、農業農村支援センターにおける有機農業の専門知識を有する職員の養成などみどりの食料システム戦略の推進に必要な対応を進めてまいります。  以上です。       〔林務部長井出英治男君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)地域材の利用促進についてお尋ねいただきました。  県内では、素材生産事業者、木材加工事業者、住宅関連事業者などが連携して住宅づくりに取り組むケースも多く、こうした流れの中で、県産材へのシフトを進めた事業者では、ウッドショックによる外材高騰の影響を軽微にとどめた例もございます。  こうした連携の取組がより一層広がることが川上の林業から川下の住宅関連産業までの地域産業の育成に役立つと考えており、県といたしましては、県内各地域において、木材加工事業者と住宅関連事業者などとのマッチングを強化、拡大してまいります。  加えて、木材の安定的な供給のため、川上における林内路網整備、高性能林業機械導入、人材の確保育成や川中における木材加工施設整備等への取組を引き続き促進するとともに、川下に対しては、県産材を今後使っていく意欲のある工務店等への支援を行ってまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)デジタル化の加速について2点お尋ねです。  まず、DX推進がもたらす県民益についてということですけれども、人口減少下にありましては、今般のコロナ禍などの危機に直面しましても、私たちの暮らしや産業、地域社会を維持していくためには、デジタル技術やデータを活用して様々な仕組みを変え、新たな価値を創り出していくDX、デジタルトランスフォーメーションに果敢に取り組むことが極めて重要であると考えております。  長野県DX戦略の目的は、長野県を県内外の人や企業にとって魅力的な地域にすることであります。DX推進によりまして県内にもたらされる効果として想定されることは様々ありますけれども、例えば、県民にとりましては、オンライン申請やキャッシュレスなどにより新しい生活様式に対応した暮らしを営むことができることなど、また、住んでいる地域にかかわらず教育や医療などの面におきまして質の高いサービスを受けることができる、新しい働き方、暮らし方が実現できることなどであります。  企業にとりましては、省力化により労働力不足に対応できるとともに生産性の向上を図ることができること、新しいビジネスモデルを構築し付加価値を上げることができる、また、創造的なクリエーティブ人材の確保が容易になることなどであります。  さらに、地域にとりましては、担い手不足への一助となるとともに、地域資源が見直され、魅力向上、ひいては地域の活性化につなげることができるなどが考えられるものであります。  次に、市町村のデジタル人材養成確保等に対する伴走型支援についてということでありますけれども、本県におきましては、長野県自治会館を設置運営いたします市町村自治振興組合が県内市町村の事務の電子化を推進するための部門を設置しております。ここにおきまして、情報化に関する企画立案やシステムの共同構築、運用に加えまして、人材育成事業として、基礎からDXの推進方法まで幅広く学べる研修を実施しております。  今年度、この電子自治体推進部門に県職員を1名増員して2名派遣、この2人は、民間のIT企業での業務経験がございますけれども、それに加えまして、この事務室を県庁西庁舎のDX推進課とデジタルインフラ整備室と同じフロアに移すなど、連携しながら一体的に市町村の伴走支援を行っているところであります。  また、これに加えまして、県と全市町村が参加いたします先端技術活用推進協議会の枠組みも有効に活用しながら、市町村と共に長野県全域のDXを推進してまいります。  以上です。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)デジタル人材の養成確保についての御質問でございます。  デジタル人材は、デジタル技術とデータの活用により、既存の業務プロセス等の改変を行い、仕事の生産性や行政サービスの利便性の向上につなげるなど、県行政のDX化を進める上で重要な人材であるというふうに認識しております。  このため、今年度、職員採用試験にデジタル区分を新設し、来年度から採用する予定でございます。また、来年度国のデジタル庁に新たに職員を派遣するなど、デジタル人材の養成確保に積極的に取り組んでいるところでございます。  現在策定を進めております新たな行政・財政改革方針におきましても、こうした方向性を明記し、専門人材の養成確保に加え、職員全体のスキル向上のために研修等の充実を図るなど、引き続きデジタル化時代に対応できる職員の養成確保に努めてまいります。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)ヤングケアラーへの支援につきまして、スクールカウンセラー等の増員が適切な支援につながるのかということ、そして、現場の意識改革についての御質問でございます。  ヤングケアラーの支援につきましては、家庭内という表面化しにくい面があることから、学校現場で早期に発見しやすい立場にある担任や養護教諭が子供たちの気持ちに寄り添い、状況を細やかに把握して、どのような支援が必要かを認識することが重要でございます。そして、心理の専門家による相談が必要な場合は速やかにスクールカウンセラーに、市町村等関係機関との連携が必要な場合にはスクールソーシャルワーカーにつなげることが必要であります。  スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが教員と共同で支援に当たる上で、来年度増員、支援時間を拡充することも学校現場の対応力が向上、適切な支援につながるものというふうに考えております。  適切な支援を行うためには、教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等がそれぞれの役割を認識し、協働連携して支援していくことが重要であります。このため、県民文化部と連携し、連携支援の具体的な事例研究や学校と市町村担当者との意見交換等を行う研修を実施し、迅速な支援につながる現場の意識改革を図ってまいりたいというふうに考えております。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私にはヤングケアラーについて2点御質問いただきました。  まず、ヤングケアラー研修が対象としている学校関係者の範囲についてでございます。  ヤングケアラーを早期に把握し、必要な支援につなげていくためには、まず最初に、子供と接する機会のある学校現場や介護現場の方々の対応力の向上が重要です。来年度予定しているヤングケアラー研修推進事業においては、対応力向上を目指したものであるので、相談支援機関を含む幅広い福祉関係者とともに、学校関係者やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの参加も想定しているところでございます。効果的な研修となるよう、詳細な研修内容、実施方法について関係部局、教育委員会とも連携しながら検討してまいりたいと考えております。  次に、ヤングケアラーに向けた発信についてでございます。  ヤングケアラー支援に向けては、子供自身や周囲の大人たちの理解を深めることが不可欠でございます。そこで、県においては、来年度、国と歩調を合わせまして、ヤングケアラー認知度向上に重点的に取り組んでいくこととしております。  学校や相談支援機関との協力を得ながら、ポスター、広報動画などを活用した周知、広報を行ってまいります。そうした広報を行う中で、議員御指摘のように、声を上げれば支援につながるということをヤングケアラーの子供たちに実感してもらえるよう、「一人で抱え込まないで」というメッセージを伝えるとともに、具体的な相談窓口や支援策等も併せてお示ししていきたいと考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には2点御質問をいただいております。  まず、ひきこもり支援事業についてでございます。  県では、ひきこもりの支援として、令和2年度から伴走コーディネーターを県設置まいさぽに4人配置し、継続的にアウトリーチを行ってまいりました。
     令和4年度は、今年度開催いたしました今後のひきこもり支援のあり方に関する検討会の議論を踏まえまして、新たに県民や関係者の理解を深めるフォーラムの開催や、居場所づくりに取り組む団体への助成のほか、市町村や関係機関の連携体制づくりを進めることとしております。  伴走型支援のノウハウをさらに高めるとともに、これらの事業によりまして、関係機関が連携して地域全体でひきこもりの当事者やその家族を孤立させることなく支える体制をつくり、地域とのつながりや社会参加の促進を図ってまいりたいと考えております。  次に、障害者就労施設の工賃減少に対する対応について御質問がございました。  先頃県内の就労継続支援B型事業所に対して工賃実績の調査を行ったところ、回答のあった事業所のうち40%の事業所で工賃が減少したとの回答がございました。一方で、47%ほどの事業所が工賃実績に影響なし、または工賃が増加したと回答しております。こうした事業所では、コロナの影響を受けにくい農作業収入の増加や受注活動の強化、販売方法の変更、新規事業の開拓などを要因に挙げておられます。  県では、1月補正で、就労事業所の新たな生産活動への転換や販路拡大に要する経費として最大30万円助成する制度を設け、現在、事業所からのお申込みを受け付けているところでございます。  今後も、引き続いて、企業からの受注拡大や自主製品の販路開拓への支援、農業分野で就労機会の拡大を目指す農福連携の推進、新分野進出を図るための民間の専門人材の派遣などの取組によりまして就労事業所の生産活動収入の増加を支援し、利用者の工賃アップを図ってまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)お尋ねいただきました特別支援学校高等部の卒業生への就職支援につきましては、地域振興局の求人開拓員が各学校の就労コーディネーターと連携し、実習先となる企業の開拓や一般就労に向けた支援を行っております。  議員御指摘のとおり、一般就労希望者の就労状況は、令和元年度の91.2%から令和2年度が67.2%となるなど、コロナ禍において大変厳しい状況にあります。このため、就労に向けたスキルアップにつきましては、民間活用委託訓練の実施において、来年度は、企業等の現場で受講する実践能力習得訓練コースの充実を図ってまいります。  また、マッチング支援につきましては、地域振興局の女性・障がい者等就業支援デスクと求人開拓員が連携し、就職相談から職場定着までワンストップで支援に努めてまいります。  他方で、受入れ企業への働きかけも大変重要でございます。今年度から4名のコーディネーターを新たに配置し、企業における社内体制づくりや採用への助言を行っておりますが、来年度は、従業員100名以下の企業が新たに障がい者を雇用した場合の助成制度として、障がい者雇用はじめの一歩応援助成金を設けるなど、雇用環境の充実を図ってまいります。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)犯罪被害者等支援に関して3点御質問をいただきました。  まず、見舞金の算定根拠と給付対象についてのお尋ねでございます。  見舞金は、犯罪被害者等が被害後に直面する経済的負担を軽減するために給付するもので、被害に遭われた方は、被害後に損害賠償請求に必要な弁護士の着手金、亡くなられた場合の葬儀費用、さらに引っ越し等住居に係る費用の支出を余儀なくされます。これらの支出を積み上げてみますと、少なく見積もっても、被害者が亡くなった場合には60万円、重傷病を負った場合は20万円の負担を強いられるものと見込まれます。また、先行して見舞金を実施している他県においても本県と同額を給付している例が最も多いことから、本県における見舞金の金額を算定したところでございます。  また、見舞金を給付する対象につきましては、国の犯罪被害者等給付金や先行する他県の制度と同様に、殺人や傷害など故意の犯罪行為により亡くなられた方の御遺族及び重傷病を負われた方で県内に住所を有する方を対象といたします。したがいまして、スキーバス事故に限らず、交通事故については、故意による危険運転致死傷罪が適用される事案について、また、故意の犯罪行為に巻き込まれた事案について、それぞれ死亡、または重傷病を負われた場合は見舞金の対象に該当するものと考えております。  次に、条例の制定による二次被害の防止についてのお尋ねでございます。  犯罪被害を受けられた当事者は、周囲からの配慮に欠ける言動やインターネットによる誹謗中傷に限らず、被害者の心情に沿わないような励ましや慰めの言葉によっても傷つけられる場合がございます。  このように、誰もが二次被害の加害者になり得るという認識とともに、犯罪被害者等が置かれている状況や支援の必要性について理解を深めていただくことが二次被害を防止するためには重要だと考えております。そのため、条例案には、二次被害の防止に配慮することを県民や事業者の役割として規定するとともに、基本的施策として安全の確保や居住の安定、県民理解の増進などを規定したところでございます。  この条例の制定により、県営住宅への入居における特別な配慮や、事業者や学校を含めた教育、啓発を進めることで、二次被害の一層の防止につながるものと考えております。  最後に、現在実施しております施策概要に対する意見募集の目的と意見反映についてのお尋ねでございます。  御審議をお願いしております条例案をお認めいただきましたら、条例の施行と同時に施策が実施できるよう速やかに条例に基づく推進計画を取りまとめていきたいと考えております。そのため、現在、推進計画の基となる施策概要についてパブリックコメントを実施しておりまして、いただいた御意見は推進計画に反映させてまいります。  なお、予算につきまして、新年度の施策実施に必要な経費につきましては当初予算案に計上させていただいておりますので、仮にパブリックコメントの中で予算案について御意見があれば、必要に応じて新年度以降に適切に対応を行ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔警察本部長小山巌君登壇〕 ◎警察本部長(小山巌 君)私には、犯罪被害者支援センターが担う役割と同センター及び総合支援窓口との連携について御質問をいただきました。  まず、長野犯罪被害者支援センターは、平成11年に、弁護士、精神科医、臨床心理士等を中心に設立された民間被害者支援団体であり、主な活動としましては、専門的な研修を受けた支援事業員が、犯罪被害に関する電話・面接相談の受理、病院、裁判所等への付添い、精神医療、法律相談のコーディネート、犯罪被害者等給付金の申請補助、被害者支援に関する広報啓発活動など、県警察とも連携しながら幅広い支援活動を行っていると承知しております。また、平成24年には、長野県公安委員会から犯罪被害者等早期援助団体の指定を受けております。  次に、関係機関の連携でございます。  被害者等は、被害に遭った直後から、精神的、身体的、経済的に大きな負担を抱え、また、時間の経過とともに、直面する問題も様々に変化することから、多岐にわたる支援が必要となってまいります。全ての被害者等が必要なときに必要な場所で情報の入手や相談を行うことによりきめ細やかな支援を受けることができるようにするためには、警察、犯罪被害者支援センター及び総合支援窓口等の連携が重要と考えております。  県警察といたしましては、犯罪被害者等支援に関する条例の制定を機に、より一層知事部局や関係機関・団体等との連携を深め、被害者等の具体的事情を正確に把握し、その変化にも十分留意しながら、途切れることのない適切な支援を推進してまいります。  以上でございます。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)長野県教育について伺います。  再編・整備計画が整った旧通学区から順次第2期高校再編が進められていますが、地域が望む高校教育の実現には、しっかりとした学校の姿を協働により描き切るとともに、それを可能とする財政的な裏づけが欠かせません。新年度当初予算案に県立高校ZEB・デザイン基本計画策定事業が計上されています。その中で、地域の意見集約が先行している小諸新校と伊那新校の施設整備の骨格を決める基本計画の策定が予定されており、今後はそれを具体化するための財源確保が欠かせないことになります。高校再編に伴う予算確保への決意をお聞きします。  未来の学校構築事業は、5年間の中間年を迎えます。教育長は、今定例会の議案説明で、これまでの取組で得られた成果を公開授業や成果報告会等の開催により全県で共有し、普及につなげるとされています。そうであれば、本県高校教育を牽引する新たな学びの仕組みを構築する趣旨で実施されている事業なのですから、これまでの成果について中間報告を行い、進行中の高校再編に還元すべきではありませんか。以上、教育長に伺います。  さきに成立した1月補正予算に、特別支援学校で今後見込まれる教室不足を解消するための教室棟増築の予算が計上されていました。これは、今後の「児童生徒数増の推測によるもので、国が昨年9月に公布した特別支援学校設置基準に基づくものではないと聞いています。  知事は、1月臨時会で、特別支援学校の教育環境は改善すべき点が多いとした上で、施設の状況等に応じて必要な予算づけを行うと明言されました。そのことは、今後、設置基準も勘案し、財源を確保して必要な対応を速やかに行っていくということでよろしいでしょうか。知事にお聞きします。  県立高等学校教員による生徒へのわいせつ事案について昨年12月に県教育委員会がまとめた検証結果報告書によれば、高校も県教育委員会も事態の矮小化を図っていたことは明らかです。しかも、この事案が表面化したことの発端は、昨年2月にあった総務部コンプライアンス・行政経営課への通報とのことで、高校や県教育委員会の隠蔽体質までもが浮き彫りになっています。さらには、県教育委員会が当該教員に永年勤続の感謝状まで贈っていたとのおまけまでつきました。  ところが、教育長は、個人の責任に言及するばかりで、組織の問題には何も触れられておりません。教育長の言う「想定外の事態に遭遇した場合でも、思考停止に陥ることなく、自ら考え、判断し、試行錯誤や創意工夫をする資質・能力が求められます。」とは、まさに自身に返っていくべき言葉であり、それと同時に、学校や教育委員会という組織こそがかみしめるべき言葉でもあります。また、「わいせつな行為等」を「性暴力」に改め、性暴力を根絶する対策に取り組むとされましたが、生徒の人権を侵害したことへの反省は述べられず、県教育委員会の人権感覚の欠如が透けて見えます。  子供の人権擁護の観点から、今後学校に関係する性暴力が発生した場合、調査、検証はこども若者局が中心に担い、学校及び県教育委員会はそれに協力する体制を取るべきことを提案しますが、知事のお考えをお聞きします。  また、わいせつ行為を行っていた教員は不問のまま既に退職していますが、県教育委員会は、現職であれば停職3か月相当との判断を示しています。そうであれば、元教員に対し3か月分の給与返還を求めるべきですが、検討はされましたか。教育長に伺います。  2025年の大学入学共通テストから、新指導要領での新設科目である情報Ⅰが国立大学入試で原則として課されることが決まりました。情報は、プログラミングなど高度な内容も含まれるため、指導する教員に専門性が求められますが、本県は、情報科の免許を持たず授業を担当する免許外教科担任が県立高校で全国最多となっているとの報道がありました。教育長は、「社会のあり方はリアルを前提としたものから、デジタルを前提としたものへと急速に変化していきます。教育のあり方も大きく変わらざるを得ません。」とされています。私は、リアルを顧みない教育は成り立たないとの立場に立つ者ですが、その議論はさておき、教育長の発言をそのまま受け止めれば、情報の免許を持つ教員が足りていないことによる指導上の課題はないのでしょうか。  また、大都市圏では情報科の指導体制が充実しており、その背景には、免許を持つ教員の採用を積極的に進めてきたことがあると報道されています。そこには、免許外では限界があるとの判断があるのだろうと推察します。今後、情報科の指導力向上に向け、いかなる対応をされますか。以上、教育長に伺います。  次に、防災、減災について伺います。  気候変動による水害の頻発、激甚化に社会全体で備える意識を高めるため、あらゆる関係者が協働して流域全体で水害に強い地域をつくる流域治水への転換を図るため、長野県流域治水推進計画が策定され、そこには、2025年度までの取組目標が示されています。加えて、今議会の議案説明でも、同計画や、国、市町村とともに策定した流域治水プロジェクトに基づき、流域全体の関係者と共同で流域治水の取組を進めるとされています。  そこで、以下3点について建設部長に伺います。  1点目、本年度は、流域治水キャンペーンにより流域治水への県民の関心を高める取組が進められてきましたが、その成果について伺います。  2点目、新年度は何に取り組まれますか。  3点目、流域治水推進には流域住民による我が事としての参加が欠かせないものと考えます。治水は河川管理者にお任せといった意識から変化が生じてきているとの感触を得ておられますか。  千曲川等県内を貫流する大河でのいわゆる中抜け区間の解消は、流域住民の悲願であり、水系一貫管理による河川整備が強く望まれているところです。毎年、知事を先頭に国へ要望を行っていただいておりますが、解消実現への感触と新年度の取組について知事に伺います。  盛土を規制する条例については、知事は、大規模盛土についてもその対象になるとし、小規模盛土と同じルールで的確に運用していくと説明されましたが、同じルールで大規模盛土の安全性が担保できるのか、疑問が生じます。仮に県が許可した大規模盛土で災害が発生すれば、知事が責任を問われることになりはしないでしょうか。  そこで、以下3点について建設部長に伺います。  1点目、10万立方メートル以上の大規模盛土では、第三者による技術専門委員会を置き、検討、審査を行った上で問題なしとなったものを県が許可する仕組みを条例に盛り込むべきではありませんか。専門技術委員会については、中川村半の沢や大鹿村鳶ヶ巣沢での事例もあります。  2点目、さきに示された骨子案では、許可対象から外れるものとして、国や地方公共団体などが発注し、または自ら行う盛土等が挙げられていますが、この「など」にはリニア工事に伴う残土処理は含まれるのでしょうか。  3点目、国が提出を予定している改正法案と県が制定を進める条例案の双方が施行された場合、県の条例の廃止も考えらえるとの報道がありましたが、その関係性について御説明をいただきます。  現在、盛土を規制する条例の骨子案については、有識者委員会で示された意見を盛り込んだ新たな骨子が去る2月17日に示され、パブリックコメントが実施されています。これまでの条例制定に向けた動きからは、知事が当初表明していた「できるだけ早く制定」から遠ざかっているとの感を否めません。このままなら、条例案が提出されるのは6月定例会以降になるものと思われます。何が条例制定の課題となっているのでしょうか。また、条例制定に向けたスケジュールを今議会で示すべきではありませんか。以上、知事に伺います。  4月に開設が予定されている長野県産業支援機構について産業労働部長に伺います。  知事は、今議会の議案説明で、県内産業の総合支援拠点としての産業支援機構の発足により、技術開発から販路開拓まで一貫した支援体制を構築し、県内中小企業のサポート機能を強化していくと表明されています。また、4月から新たな研究施設である次世代高速通信モジュール評価試験棟が工業技術総合センターにオープン。これにより、17年度から進めてきた先端技術開発の支援拠点整備が完了し、産業支援機構とも連携しながら、今後成長が期待される分野での技術開発、販路開拓等の支援に努めるとも表明されました。  産業支援体制の再構築については、ものづくり産業振興プランにおいて、産業支援機関再編の大まかな道筋が示されていましたが、今回の中小企業振興センターとテクノ財団の合併を決定するまでの段階においてもその必要性についての議論がなされたと思います。そこではどのような産業の姿の実現を目指すべきなのか、その姿の実現に向けどのような支援体制を構築し、どのような支援施策を行うべきなのかといった議論があったと推測します。その内容について2機関の合併と関連づけながら御説明をいただきます。  また、新組織と工業技術総合センターの連携の具体像はどのようなものなのでしょうか。3機関による総合支援窓口との関連も含め、お示しいただきます。そこでは、3機関の連携体制では実現できなかった新たな支援機能が整えられるということでしょうか。  最後に、新しい資本主義について知事に伺います。  岸田首相は、成長と分配の好循環を掲げ、新しい資本主義を提唱しています。首相が描く新しい資本主義のイメージは、1、人への投資、2、官民連携、3、地方こそ主役に要約されると私は理解しております。このどれもがかつての日本企業の価値観であり、自民党政権が政策の柱としてきた所得倍増計画や田園都市構想に代表されるような古きよき日本への回帰とも読み取れますが、見解をお聞きします。  しかし、古きよき日本への回帰では、山積する課題解決はできないと考えられます。最大の危機は環境問題で、人新世に突入していると言われる時代に、そもそも経済成長を至上とする金が全ての資本主義を続けることは無理があるとの認識が広がりを見せており、そこで議論されているのは、みどりの成長路線を取るか、システムチェンジによる脱成長かなのです。しかし、我が国は、この議論から周回遅れの状況で、正面から向き合う視点を欠いています。さきに御紹介した日本版若者会議の気候正義の提言や、我が国でも試行が始まっている気候民主主義の取組について、社会の分断を回避しながら深めていく必要があります。  金で全てが買えるのが新自由主義的発想ですが、地方では、金があっても買えないものがあります。例えば、不採算で路線バスは次々と撤退し、人手不足でタクシーもありませんが、住民が軽自動車に相乗りさせてくれる環境はあります。賃金を引き上げる必要があることは言うまでもありませんが、金をばらまく分配ではなく、共に働く「協働」、共に結びつく「協同」のシステムを組み込んでいくことを考えるべきです。  労働者協同組合法が本年10月から施行されます。新年度当初予算案にも立ち上げ支援事業が盛り込まれていますが、労働者協同組合の何に期待し、県の支援によりどのような展開を促していかれますか。  新たなビジネスモデルを模索する動きも始まっています。例えば、細胞培養でマグロの人工すり身づくりに挑むフィンレス・フーズ社CEOのマイク・セルデン氏は、海洋生物研究者から転身。生物の生息環境が壊されるのを目の当たりにし、起業に踏み切ったといいます。人々は、通常、倫理的な理由で製品を選んでいるわけではない。だから、環境に優しいだけでなく、おいしくて健康にもよい製品を目指している。ビジネスが社会変革の最善の手段ではないと思うが、現実には迅速に課題解決に取り組むための唯一の手段。金持ちになるのが目的ではないと語っています。  また、ボーダーレスハウスを創設し、若い人の国際理解を図るなどの起業を進めてきたボーダーレス・ジャパン社の田口一成氏は、社会問題を解決するビジネスを提供し、既に40社ものグループ会社を束ね、社会起業家のプラットフォームづくりに励んでいます。  私は、このような動きを大きなうねりに変えていくことで成長の在り方を問い直し、企業の価値観を変えていくことこそが新しい資本主義のあるべき姿だと思うのですが、見解をお聞きいたします。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)教育についてのお尋ねでございます。  まず、高校再編に伴う予算確保に向けた決意についてというお尋ねであります。  今回の高校再編は、学校関係者のほか、地元自治体や産業界、小中学校の保護者などで構成する新校再編実施計画懇話会で新校の学校像などの意見交換を重ね、再編実施基本計画を策定し、地域と共に新たな学校づくりを進めているものでございます。  今後、新校ごとに具体的な再編準備を進めていくこととなりますが、新たな学びに必要な施設設備やその充実のための予算確保につきましては、財政当局とも相談しながら最大限努力してまいりたいと思っております。  次に、未来の学校構築事業の成果報告と高校再編への還元についてのお尋ねでございます。  実践校6校は、それぞれのテーマに沿った実践を積み上げてきておりまして、例えば、坂城高校では、ICTを活用した個別最適な学びと地域連携型探究学習を組み合わせた学びのDXが評価され、デジタル庁からデジタル社会推進賞の最高賞を受賞するに至っております。  このような各校の取組を報告する成果報告会を全県の高校が参加できる形式で今年の1月末にオンラインで開催いたしました。その会では、実践校以外の高校からもたくさんの質問が出され、外部アドバイザーの講評も交えて活発な意見交換が行われました。  また、現在、2年間の取組を報告書にまとめ全県の高校で共有する準備を進めておりまして、各校担当の指導主事や外部アドバイザーも共に作成に携わっております。  高校再編への還元につきましては、例えば、実践校であります野沢北高校が企業や病院、自治体、NPO等とコンソーシアムを構築して生徒の探究活動を日常的に支援する取組を進めておりますが、その様子を伊那新校の新校再編実施計画懇話会において紹介したものでございます。  今後も、様々な機会を捉え、実践校の取組を紹介するなど、未来の学校構築事業の成果を新たな高校づくりに生かしてまいりたいと考えております。  次に、停職相当とした元教員の給与の返還についてのお尋ねでございます。  今回の事案において、現職の関係教員の懲戒処分を検討する過程で、わいせつな言辞等を行った元教員の懲戒処分について、他の処分事例等を踏まえて検討した結果、元教員の行為は停職3月に相当すると判断したところでございます。  給与の返還につきましては、当該教員は既に定年退職しており、現在、教育委員会は元教員の任命権者でないことから、実際に懲戒処分を行うことはできないこと、元教員に対して既に支払われた給与の返還を求めることは民間人の私的財産を侵害する不利益処分に相当するものであり、法令や条例の根拠に基づき行うべきものであるが、そうした制度は規定されていないこと、また、労働関係法令上も、給与は労働の対価として支払われるものであり、非違行為を起こした職員であっても支払われた給与を遡って返還させることは困難であると考えたところでございます。  最後に、情報科の指導における課題と対応についてであります。  現在の情報の科目では、ICTを駆使した効果的なプレゼンテーションやコミュニケーションを学んでいるところでありますが、来年度の新入生以降が受講することとなる新科目の情報Ⅰでは、プログラミングやデータベースの活用などの学習内容が含まれるようになるため、担当する教員は、その分野のより高い専門性が求められるようになるということが課題でございます。  この課題への対応でありますが、現在勤務している県立高校教員のうち情報の免許を保有しているのは170名程度であります。そのうち、情報の教科を担当していない教員が110名程度おりますので、今後、こうした教員が情報Ⅰを教えられるよう配置してまいります。  また、新規採用に関しては、今年度から情報の免許のみを有する者が採用されやすいよう条件を緩和し、積極的な採用に努め、採用者数も増加しているところでございます。  これらの対応によりまして、今後、新たに情報Ⅰを学ぶ生徒には、順次情報の免許を有した教員が授業を行うようになる見込みでございます。  さらに、情報Ⅰの授業を担当する教員に対しては、教員研修をさらに充実させるなど、指導力の向上に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上であります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)まず、教育についての御質問でございます。  特別支援学校の教育環境の改善に関して、特別支援学校設置基準を勘案し、必要な財源を確保して速やかな対応を取っていくということでいいかという御質問であります。  財政状況が厳しい中で、何でもかんでもすぐやるというわけにはいきませんけれども、私の思いとしては、やはり特別支援学校の子供たちは、様々な障害、疾病をお持ちになっている中で、学習環境をしっかり整備してあげるということが非常に重要だというふうに思います。そういう意味で、全体の予算の中で、優先順位を高いものとして取り扱ってしっかりと取り組んでいきたいというのが私の思いであります。  改築、建て替え等を行う際には、特別支援学校設置基準も考慮していかなければいけないわけでありますけれども、国の設置基準、障害種ごとの児童生徒数に応じた最低限、画一的な校舎面積等の基準ということで、私としては、基準にとらわれて、それだけ満たせばいいということではなくて、より子供たちの学びの充実にとって必要な機能や広さはどうあるべきかということをしっかり考えていくということが重要だと思っています。  私は、国の基準があまり好きではないので、国がこうだと言うことをうのみにするのではなくて、やはり、法的拘束力がどの程度あるのか、そして、本当に本県として望ましい対応は何かということを常に考えなければ、単に国の基準に合っているということではいけないというふうに思っています。  そういう意味で、例えば、建築物の観点でいけばZEBの実現という観点、子供たちの教育という観点では空間デザインの観点、こうしたものも考慮しながら、できるだけ望ましい学習環境となるように教育委員会と一緒に取り組んでいきたいというふうに思っています。  それから、わいせつ事案の調査、検証についてこども若者局、知事部局でやってはどうかという御提言であります。  公立学校の教職員の任命権者は教育委員会にあるわけでありますので、やはり一義的には教育委員会が主体的に責任を持って対応していくべきものというふうに考えております。教育委員会には今回の事案の教訓も踏まえてぜひしっかりとした対応を行っていってもらいたいというふうに思います。  ただ、一方で、長野県の未来を担う子どもの支援に関する条例がございます。いじめ、体罰等の人権侵害を受けた子供の救済を行うため、子ども支援委員会の設置をしている状況でありますので、例えば、被害に遭われた方が教育委員会の検証結果に納得できないということで再検証を求めてくるような場合や、子ども支援委員会自体が子供に対する人権侵害があるというふうに認める場合においては、子ども支援委員会においても調査、検証を行っていくということが可能であり、また、そういうケースもあり得るものというふうに考えています。
     続きまして、防災・減災の観点で中抜け区間についての解消はどうなっているのかという御質問であります。  御質問にありましたように、私もあらゆる機会を捉えて国に要望しております。率直な状況認識を申し上げれば、これは全国共通の問題ではなくて、限られた地域の問題になっておりますので、やはり国の人的な配置の側面、あるいは財政的な側面から、なかなかすぐに実現するのは難しい課題だというふうに感じてはいます。  ただ、これまで要望を行ってきた成果として、国にもこうした中抜け区間を何とかしていかなければいけないという認識は持っていただいている状況でありまして、そういう中で、令和2年の12月に信濃川水系連絡調整会議というものができました。これは、北陸地方整備局と新潟県と本県とが共に課題解決に向けて一緒に検討していこうという場であります。具体的には、千曲川の次期河川整備計画に向けた計画の検討や、洪水時にウェブ上で左右岸別に、また、地先ごとに色分けして具体的な危険箇所を知らせる水害リスクラインの提供など、こうした直面する課題に国が主体となって中抜け区間も含めて一元的に対応していただいているという状況になっています。県管理区間だから国は関係ないという意識から、大分一体として視野に入れて取り組んでいただく形になっています。  来年度以降もこうした調整会議での議論、検討を継続して国と連携した取組を進めていきたいというふうに思いますし、また、一方で、この一元管理に向けた要望については別途粘り強く行っていきたいというふうに考えております。  それから、盛土条例の制定の課題とスケジュールという御質問でございます。  現在、有識者からの御意見も踏まえた骨子案を作成してパブリックコメントを行っているという状況であります。この条例では、罰則を設けることを考えているところでありまして、地方検察庁との協議が必要となることから事前説明を行っているという段階であります。現時点での考え方としては、6月の定例県議会までには条例案を取りまとめて御審議をいただきたいというふうに考えているところであります。盛土等による土砂災害の発生を未然に防ぎ、県民の皆様方の安全、安心な暮らしを確保するため、条例の制定に向けて鋭意取り組んでまいりたいと考えております。  続きまして、新しい資本主義についてでございます。  まず、新しい資本主義についての所見という御質問であります。  昨年末に内外情勢調査会で私が講演をさせていただきまして、この新しい資本主義について少し言及させていただきました。私としては注目しておりますし、いい形で方向性が示されることを期待しているところであります。  岸田総理が提唱されているわけでありますが、同じ宏池会の先輩総理の池田総理が、国民所得倍増計画を、1960年、ちょうど私が生まれた年に打ち出されたわけでありますけれども、この講演の際に私もいろいろと調べ、国民所得倍増計画は所得を増やす経済政策だけではないということを痛感したところであります。  当時、1960年代の前半は、いろいろな社会システムの大変革が行われたわけでありまして、全国総合開発計画第1次ができ、新産業都市建設促進法が制定され、農業基本法、中小企業基本法が制定され、また、貿易為替自由化大綱ができて、それに伴ってエネルギー政策の大転換、すなわち石炭依存から石油への転換ということが行われたのがまさにこの1960年代の前半であります。また、雇用の維持という観点の雇用促進事業団ができ、そして、国民皆保険、国民皆年金制度がスタートして、教育の面でも、科学技術振興ということで理工系学生2万人増員や学習指導要領の文部省告示化、また、高校進学率が急上昇していったのもちょうどこの時期でありまして、そういう意味で、所得倍増、高度経済成長は経済政策だけで行われたわけではなく、こうした政策がパッケージになって実現できたものというふうに受け止めております。  この新しい資本主義の取組も、例えば社会保障制度の改革や教育の改革とセットで行っていただくことが重要であり、そうした大きな改革が、今この時代の大転換期において行われることを私としては強く期待しているところであります。  それから、労働者協同組合への期待と今後の展開という御質問であります。  これまで、この資本主義社会は、労働者と資本家、この二グループで語られてきたわけでありますけれども、今後は、そうした垣根を越えて、あるいは、そうした分類を流動化させていくということが重要ではないかと思います。そういう意味で、働く方々が主体性を持って活動して、力を合わせて働きやすい環境をつくり、そして、新しい社会課題に向き合って事業活動を行っていくということが重要だというふうに思っています。  そういう中で、労働者協同組合という新しい仕組みができ上がったわけでありますので、まずこの仕組みを使って多くの皆様方が主体的に働き、社会課題の解決に向かい合っていただきたいというふうに思っています。  県としては、本年度予算にこの制度の周知と活用のためのセミナーの開催、そして、組合立ち上げ支援等の相談窓口を設置する経費を計上させていただいているところであります。こうした活動が活発になることを願っているところでございます。  最後に、企業の価値観の転換についてという御質問をいただきました。  先ほども少し申し上げたように、経団連の方々とも意見交換をさせていただき、経団連の皆さんも、環境問題や教育問題に非常に強い関心を持たれているということを実感しています。経団連が出された「。新成長戦略」というものがございますけれども、そこでは、サステーナブルな資本主義、あるいは、2030年の未来像として、生活者との価値協創、あるいは地域社会との価値協創、さらには、地球の未来との価値協創、グリーン成長の実現といったようなことがうたわれているわけでありまして、大企業を中心に、いわゆる市場セクターにいる皆さん、企業の皆さんの意識が大分変わってきているというふうに強く感じているところであります。  また、政府の新しい資本主義実現会議に経団連の十倉会長が出されたペーパーを見て、私は非常に関心を持ったんですけれども、経済活動は資本主義が前提であり、成長が重要、ここまでは経済界的な視点でありますが、そのために取り組むべき課題は社会的共通資本の構築、そして、社会的共通資本の構築は市場経済だけでは解決できない。政府の役割が重要だという提案をされています。まさに宇沢弘文先生の社会的共通資本の概念を今や経団連の会長も政府の会議で提案するような時代になっているという状況であります。  こうした国全体、あるいは経済界の動きは、私としては望ましい方向性だというふうに思っておりますし、また、我々地方政府もしっかりとこうした変革に向き合っていかなければいけないというふうに考えております。そういう意味で、この社会的土台の上で、環境制約の中での経済活動がこれから重要になってまいりますので、我々地方自治体としては、公正な社会づくり、いわゆる社会の基盤づくりをしっかりやらなければいけないと思いますし、また、併せて、環境と経済の両立、一定の制約、ルールを意識しながら経済活動を行ってもらう、そうしたことを強く意識しながら政策を進めていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)順次お答えいたします。  初めに、流域治水の取組でございます。  1点目の流域治水キャンペーンの成果については、例えば、長野市の住宅用雨水貯留タンクの設置件数は、住民の皆様の御協力の下、令和元年以前と比較して、ここ2年とも1.6倍程度増加していると聞いておりますし、本年度、管理者の協力の下、212の農業用ため池で空き容量の確保を行っていただいております。また、新たに27市町村で住宅用雨水貯留タンクに対する助成制度の検討が始められております。  2点目の来年度の取組でございますが、遊水地をはじめとする河川整備を着実に進めるとともに、県有施設における雨水貯留浸透施設の設置や県民の皆様に向けた普及啓発活動等を継続するほか、現在作成中のガイドラインに基づく雨水流出抑制強化に向けて市町村との調整を進めてまいります。  3点目の流域住民の意識の変化でございますが、先ほど申し上げたとおり、キャンペーンによる成果も出始めているところでございます。  また、2月9日に開催した信濃川水系流域治水協議会全体協議会においても、住民を代表する市町村長の方々から下流域にできるだけ水を流さない取組が重要であるとの意見が多く出されるなど、流域治水に対する意識にも変化が出てきているものと感じております。今後とも、長野県流域治水推進計画に基づき、令和7年度までを目標とした対策が確実に進むよう、「治水ONE NAGANO」のスローガンの下、積極的に取り組んでまいります。  次に、盛土条例関係で3点御質問をいただいております。  初めに、盛土条例における大規模な盛土の許可についてのお尋ねでございます。  一定規模以上の盛土につきましては、盛土の安全性を確認するため、事前に安定計算等を事業者に求めることを想定しておりますが、審査をする際には高度な技術的判断が必要となります。そのため、許可を判断するに当たっては、第三者の専門的知見を活用することは有効であると考えているところでございます。  次に、JR東海が行うリニア中央新幹線工事に伴う残土処理の盛土条例における取扱いについてのお尋ねでございます。  発注者であるJR東海は民間事業者であることから、原則本条例を適用し、審査することとなりますが、砂防法、河川法等の他法令が適用される場合はその法令に基づいて審査することになります。  最後に、国の法改正と県が制定する条例の関係性についてのお尋ねでございます。  国で行う法改正については現在情報収集中ですが、規制をかける土地を知事が区域指定し、その区域内における盛土については知事の許可制とすることが報じられております。しかし、現時点では、区域指定の基準や規制する盛土の規模などは示されていないため、県条例との関係性については法改正の詳細が示された段階で改めて整理することとなります。いずれにしましても、国の法改正の動きをしっかりと注視しつつ、条例制定に向けた検討を進め、盛土に伴う災害から県民の生命、財産を守るよう努めてまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)産業支援機構について2点お尋ねいただきました。  まず、財団の合併に向けた議論についてでございます。  Society5.0時代に向けて、本県の産業支援体制の充実を図るため、令和元年6月に副知事をトップとする検討会を設置し、県中小企業振興審議会や産学官で構成する産業イノベーション推進本部会議など様々な場で産業界や市町村の御意見もいただきながら検討を重ねてまいりました。  検討の中では、これまで主に技術開発を支援するテクノ財団と販路開拓等経営支援を行う中小企業振興センターの機能について、入り口から出口までの一貫支援や利用企業の目線でワンストップ化が必要、多様な産業分野の融合や支援の充実、産学官金など様々な産業支援機関との連携が必要といった意見が出たところでありました。  こうした検討を踏まえ、新たにスタートする長野県産業振興機構、略称NICEは、技術開発から販路開拓、起業、創業から事業承継に至る様々な課題に対応できるよう、専門コーディネーターなど100名を超える職員体制といたしました。  さらに、工業技術総合センターの若里庁舎に拠点を置く発明協会やジェトロ長野、隣接する信州大学工学部等とも連携を強化し、県内産業の挑戦や新たな価値を共創するイノベーションエコシステムの構築を目指してまいります。  次に、工業技術総合センターとの連携につきましては、例えば、センターと企業等の共同研究に対し、新財団の強みである外部資金の獲得や、新技術、新製品の販路開拓等により事業化を支援したり、新財団が行う研究開発についてセンターが試験評価を実施し技術革新の加速化を後押しするといった事例や、また、同センターの地域資源製品開発部門であるデザインサポートながのと新財団のマーケティング支援部が連携してブランド化や商談会への出展等を支援するなどそれぞれの機関の強みを融合させ、県内企業をサポートしてまいります。  なお、議員御指摘の総合支援窓口につきましては、既に工業技術総合センターの技術連携部門がございますが、県内四つの拠点間や産学官等支援機関との連携を図るとともに、新財団においても新たに企画連携部を設置し、これまで以上に多様なステークホルダーとの連携を強化するとともに、よろず支援拠点のサテライトを県内11か所に設置するなど、地域での相談体制の充実を図ってまいります。       〔37番小林東一郎君登壇〕 ◆37番(小林東一郎 君)県が直面する課題への対応を伺うとともに、これからの県政が向かうべき方向性について多方面からお聞きしてまいりました。本日伺った内容については、明後日からの一般質問や委員会審査でさらに議論を深めてまいりたいと思います。  県民の声を起点に、長野県が持つポテンシャルを高めていく。その中で、一人一人の県民が自己実現できるように促して、誰一人取り残されることのない県政を目指し、一層の事業推進が図られることを期待し、改革・創造みらいを代表しての質問といたします。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後4時1分休憩          ──────────────────         午後4時17分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて発言を許します。  次は小池久長議員でありますが、同議員の質問事項中、人事委員会の所管に属する事項が通告されておりますので、これに対する答弁のため青木悟人事委員会委員長の出席を求めましたので、報告いたします。  県民クラブ・公明代表小池久長議員。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)県民クラブ・公明を代表して質問させていただきます。  まずは、医療従事者の皆さん、また社会生活を最前線で守る人たちに御礼を申し上げる次第でございます。  新大関となられました御嶽海関に県民栄誉賞を授与することを阿部知事が表明されました。御嶽海関は初場所で13勝を挙げ、3度目の優勝を飾り、念願の大関昇進を果たしました。口上に「自分の持ち味を生かして」と木曽の母校の石碑の言葉を引用した、その言葉に秘められた数々の思い出と感謝の気持ちが伝わってきました。また、あわせて、最愛の伴侶とえにしが結ばれたとの朗報もあり、これからのますますの活躍が期待されるところであります。コロナ禍の中で不自由な生活を強いられる県民の皆様に明るい話題となりました。  さて、まず、令和4年度当初予算の内容についてでございます。  令和4年度当初予算編成では、最終年度を迎えるしあわせ信州創造プラン2.0の総仕上げを図るとともに、六つの重点テーマを推進するとしています。掲げられている六つのテーマのうち五つのテーマに沿って順次質問をさせていただきます。  新型コロナウイルス感染症に関わる県の対策について。  県内で新型コロナウイルス感染症の陽性者が初めて確認されてから間もなく2年となります。この感染症は、まず感染症法対象の指定感染症とされ、その後、特措法、新型インフルエンザ等対策特別措置法の適用対象にもされ、保健所や知事がその対策の最前線に立ち続けてまいりました。新型コロナは、従来株の後、アルファ株、デルタ株、オミクロン株と次々に変異株が現れ、第1波から現在の第6波まで陽性者数のピークを次第に大きくしながら今に至っております。  その間、県内では、新型コロナウイルスのための病床が当初の46床から現在の513床まで増床、宿泊療養施設が7か所932室開設、自宅療養のための態勢も整備され、入院中心の医療から療養の幅を広げており、検査は当初1日28件が限界だったけれども、今では1日最大4,989件の実績が上がっております。また、ワクチンが新たに開発され、167万人の県民が既に2回目の接種を受け、現在は3回目と、かつてない大規模の予防接種に市町村を中心として取り組んでいます。  このように、関係者の努力により、医療・療養、検査、ワクチン接種は拡充されていますが、一方、感染防止対策は、3密回避やマスク、手指消毒などの基本のほか、感染拡大時の蔓延防止対策は、移動の制限や飲食店の営業時間短縮を中心としたまん延防止等重点措置、緊急事態措置となっており、従来の対策の繰り返しとなっている感が強い。  以上のような対策は、特措法に基づき政府対策本部が決定する基本的対処方針に定められ、知事は、それを基に県としての対策を検討の上実行していると認識していますが、過去2年を振り返り、国と地方の役割分担も含め、現状に課題はないのか、伺います。  また、今年は善光寺御開帳、諏訪大社御柱祭といった多くの方々が集まるイベントが各地で実施される予定となっています。個別のイベントごとに主催者が感染対策を検討し、実行するのは当然のことながら、新型コロナウイルスの感染拡大のおそれがある中で、県としての対応や方針についてもある程度示す必要があると考えます。善光寺御開帳や諏訪大社御柱祭をはじめとする多くの方々が集まるような大規模イベント実施に当たっての県としての考え方、対策につきまして知事にお伺いいたします。  既に感染が広がっている状況において、一人の感染者が次に平均で何人にうつすかを示す指標が実効再生産数であります。感染拡大を防ぐ努力が行われていたり、既に免疫を獲得している人がいたりする集団の中で平均で何人にうつるかを導き出す指標なので、時間とともに数値も変化していきます。実施した感染症対策などの効果の評価や、感染状況の未来の動向を予測するための要素の一つとして利用されています。  そこで、感染者が平均して何人に感染させるのかを示す指標の実効再生産数でありますが、県内ではどのような状況なのか、健康福祉部長に伺います。  新型コロナウイルスの感染拡大で、全国の自宅療養者が10万人を超えました。流行している変異株、オミクロン株は、重症化しにくい傾向があるとされ、入院せずに自宅で療養する人が日々増えている状況です。感染力の強さから、隔離などを行うことが難しく、家庭内感染や再感染が相次ぐ事態となっています。オミクロン株の流行により自宅療養者が急増していますが、自宅療養者に対する健康観察体制はどのようになっているのか、健康福祉部長にお伺いいたします。  厚生労働省は、待機期間の短縮を決めました。最短5日目に待機解除を早めることが事業者の判断で可能となります。対象は、高齢者施設や障害者施設の職員のほか、電力、ガス、水道などのインフラや、物流、小売、育児サービス事業者など、簡易に実施できる抗原定性検査キットで4、5日目に続けて陰性のいずれかを満たした時点で解除できることになりました。  新規陽性者数が高止まりする中で、濃厚接触者の増加による社会機能維持への影響も懸念されるところでありますが、本県において濃厚接触者となったエッセンシャルワーカーの待機期間短縮の取扱いはどうなっているのか、また、対象者に周知はされているのか、併せて健康福祉部長にお伺いいたします。  厚生労働省は、24日、新型コロナウイルスの感染急拡大で外来医療が逼迫した際、症状が軽く基礎疾患がない若年層の患者は医療機関を受診しなくても療養することを認めると各都道府県などに通知いたしました。感染者の同居家族などが濃厚接触者と認定され、症状が出た場合は、検査を行わずに医師が感染を診断できるようにすることも決めました。  厚労省によると、外来診療が混雑している自治体は、患者が抗原検査キットなどで自ら感染の有無を検査した上で医療機関を受診するよう呼びかけることができる。逼迫が予想される地域では、受診せずに患者が自分で検査し、医師がいる健康フォローアップセンターに結果を伝え、健康観察を続けるとしています。  厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大時の外来診療の対応として、自治体の判断で、検査を実施せずに医師が診断することができる旨通知しておりますが、県内において同様の対応をしているのか、健康福祉部長にお伺いいたします。  新型コロナウイルスのワクチンの3回目接種で、政府が1月末までの接種を想定している約1,470万人のうち、実際の接種者は1月23日時点で16%の約236万人にとどまることが厚生労働省の集計で分かりました。対象者の多くは医療従事者や施設入所の高齢者ですが、意思確認作業が追いつかないなどの事情により接種の前倒しが難航していると見られるとの報道がありました。  また、2月17日付の日本経済新聞では、2月末までに希望する高齢者の接種を終えるとの政府想定が、接種券の配送遅れや希望するワクチンがなく予約が埋まらないといった状況などにより想定どおりに進んでいないとの記事もありました。  追加接種につきましては、12月に医療従事者への接種が開始され、順次接種が進められているところですが、接種がなかなか進まないとの報道もあります。このような状況の中で、現在の進捗状況と、県としてはどのような取組を行っていくのか、知事にお伺いいたします。  新型コロナウイルスワクチンの接種について、厚生労働省は、5歳から11歳までの子供の接種を正式に承認し、臨時接種に加えることといたしました。厚生労働省は、5歳から11歳への接種を原則今年3月以降に開始し、医療機関での個別接種や自治体による集団接種の中で行うことにしています。  また、厚生労働省は、中外製薬などが開発した関節リウマチの薬「アクテムラ」についても新型コロナウイルスによって酸素投与が必要になった肺炎の患者への使用を承認いたしました。  堀内ワクチン接種担当大臣は、記者会見で、オミクロン株では、5歳から11歳でも感染してしまう子供がいる。また、大きな基礎疾患を抱えている子供にも接種できる選択肢ができたことは非常に大きなことだと述べました。また、保護者が正しい情報の下に選択できる環境づくりに励んでいくと述べ、保護者などに対し接種のメリットやデメリットなどを丁寧に情報発信していく考えを示しました。11歳の子供を持つ母親は、感染者が連日出ているので子供もワクチンを打ったほうがいいとは思うが、悩んでいる。副反応で子供が熱を出したとき、自分も仕事があるので、預ける先がなく不安だと話していました。  5歳から11歳の健康な子供へのワクチン接種は、12歳以上の健康な子供へのワクチン接種と同様に意義があると考えています。健康な子供へのワクチン接種には、メリットとデメリットを本人と養育者が十分理解し、接種前、中、後にきめ細やかな対応が必要です。接種に当たっては、接種対象年齢による製剤、12歳以上用と5歳から11歳用のワクチンでは、製剤、希釈方法、接種量が異なりますので、取扱いに注意が必要だと考えます。また、集団接種を実施する場合においても、個別接種に準じて接種前の問診と診察を丁寧に行い、定期接種ワクチンと同様の方法で実施することが望ましいと思われます。  厚生労働省は、5歳から11歳までの小児についてもワクチン接種の対象に加えることとし、予防接種法で定める努力義務の対象としない方針であるとのことでありますが、県はどのように進めていくのか、スケジュールも併せて健康福祉部長に伺います。  続いて、産業分野についてお伺いいたします。  初めに、中小企業・小規模事業者のBCP策定支援についてであります。  令和元年(2019年)に発生した台風第19号は、長野県内に初めて大雨特別警報が発表されるほどの記録的な大雨をもたらし、千曲川流域を中心とした河川の氾濫や土砂災害等により、死者、行方不明者、負傷者などの人的被害が発生いたしました。また、広範囲にわたって住宅や道路、橋梁等の土木施設をはじめ、工場や商業施設等の事業所においても甚大な影響を及ぼしました。  近年では、日本各地においても大規模災害が相次いで発生しており、南海トラフ地震や首都直下地震といった大規模地震の発生も想定されています。こうした自然災害等は、規模の大小を問わず、個々の小規模事業者の経営だけでなく、我が国のサプライチェーンにも大きな影響を与えるおそれがあります。  新型コロナウイルス感染症への対応として、介護サービス事業所、介護施設等が、関係者との緊急かつ密接な連携の下、感染機会を減らしつつ、必要な介護サービスを継続して提供できるよう、通常の介護サービス提供時では想定されないかかり増し経費等に対して補助することを目的として、今年度、標記補助金交付要綱に係る改正を実施いたしました。  東日本大震災から10年以上が経過いたしました。この間、地震や台風、豪雨などの自然災害が国内各地で相次いで発生。長野県内でも2014年の御嶽山噴火や2019年の令和元年東日本台風をはじめ、地域を揺るがす自然災害に何度も見舞われてきました。一方、新型コロナウイルス感染拡大やサイバー攻撃の増加など、自然災害以外でも企業活動に影響を及ぼすリスクは山積しているわけであります。  企業は、緊急事態に直面しても、事業資産への影響を最小限にとどめ、事業継続や早期復旧を図らなくてはなりません。リスクを事前に想定し、発生後の対応措置などを準備しておくことは、事業の継続にとどまらず、企業価値を維持、向上させる上でも重要なことであります。こういった観点から、近年クローズアップされているのが事業継続計画、BCPであります。  自然災害やコロナ禍で県内事業者は大きな影響を受けてきました。この経験を生かした危機管理が必要で、その一つとしてBCPの策定が重要と考えています。そこで、中小企業・小規模事業者へのBCP策定支援の状況と今後について産業労働部長にお伺いをいたします。  続きまして、成長と分配の好循環に向けた取組についてお伺いいたします。  資源価格の高騰が響いています。背景にあるのは、原油や液化天然ガス、LNGなどの資源価格の高騰であります。  世界的な景気回復で需要が急増したため、食品や日用品の生産コストが増大しています。輪をかけたのが円安で、輸入に頼る原材料の仕入れ値は上昇につながっています。企業側からすれば、増えたコストの分を価格転嫁しなければ収益が悪化する。このため、消費者に身近な商品の値上げに踏み切る企業が相次いでいます。  日本総合研究所の若林厚仁主任研究員は、資源高、円安がさらに進んで物価が上がり続けるということはなくても、高い水準で横ばいになると解説しています。  物価が高止まりする一方、賃金上昇の動きは鈍い。コロナ禍で今後の景気が見通しにくく、経営体力の乏しい中小企業は基本給の引上げに慎重な姿勢であります。中小を顧客とする地方銀行の幹部は、給料を底上げするという話はまるで聞かないといい、物価上昇を上回る賃金の実現は遠いと思われます。  岸田政権が賃上げ税制の拡充を掲げるなどの機運醸成もあって、大企業での賃上げは進むとする若林氏も、中小の場合、業績堅調でも基本給ではなくボーナス増で対応するだろう。コロナが直撃した飲食や宿泊などサービス業は余裕がないと指摘しています。ベースとなる給料が上がらなければ消費に回る分も少ないということで、足元の物価の上昇は、企業収益の増加でさらに賃金アップにつながる好循環ではなく、家計への圧迫は避けられそうにないと語っています。  来年度の税制改正で最大の焦点となっている賃上げ税制をめぐり、政府与党は制度の大枠を固め、法人税から差し引く控除率を、現在の15%から、大企業で最大30%、中小企業で最大40%に引き上げる方向で最終調整を進めています。  政府与党が税制改正大綱をまとめました。今年の目玉は賃上げ税制。だが、この税制で本当に給料が上がるのだろうか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれました。給料を上げず設備投資もしない大企業には、研究対策費などの減税を外す罰則規定も導入しました。今、雇われて働く方の平均給与は約433万円であります。これは、2020年度ベースであります。97年の約467万円からずっと下がったままですが、経営者の皆さんは、給料は一度上げるとなかなか下げられないと考える方が多いもの。一時的に法人税が下がっても、この先ずっと上げた給料を維持できるのか、不安を感じる方が多いのでしょう。
     加えて、そもそも日本の企業は65.4%は赤字で、法人税を納めていません。法人税を払わない企業に法人税を下げると言っても何の影響もないでしょう。一方、自動車メーカーのマツダは、期間労働者を約350人増やし、基本給も9%引き上げると発表。また、11月のフード系のアルバイト、パートの募集時平均時給、これは三大都市圏でありますが、前年同月より3%アップの1,062円になっております。人手が必要になれば給料は自然と上がります。政府は、賃上げ税制より、景気をどう回復させるかに注力してほしいと説明をしています。  そこで、企業に積極的な賃上げを促すためには、国が進める法人税の減税措置、いわゆる賃上げ税制だけでは不十分と考えます。県としてどのように賃上げ支援に取り組んでいくのか、産業労働部長にお伺いいたします。  我が国における労働移動の特徴についてです。  まず、失業を通じた労働移動について、我が国の度合いを諸外国と比較してみると、我が国では、失業確率、就業確率ともにOECD諸国の中では低いほうに位置しています。失業確率が低いことは、我が国の失業率を低くする要因となりますが、一方で、就業確率が低いことは平均的な失業期間を長くする要因ともなっています。  OECDの諸国について両者の関係を確認してみると、失業確率が低い国ほど平均失業期間が長くなる傾向があります。この要因の一つとしては、企業にとって雇用調整コストが高くなり、採用の抑制につながっていることも考えられ、したがって、我が国は失業するリスクは低いものの、一度失業するとそれが長期化しやすい構造であると言われています。  生産年齢人口が減少傾向にある中で、限りある労働力を効率的に配置していくことが求められていますが、このためには、円滑な労働移動と平均失業期間の短期化をともに実現すること、すなわち、失業なき労働移動を促進していくことが重要であります。マッチング機能の強化や産業構造等の変化に適応した職業能力の形成に向けた体制づくりを進めていくことが求められていると思います。  当面の重要課題は、人材育成を通じた雇用と賃上げの好循環の実現、緊急事態宣言下にある1月から3月期の厳しい経済状況の中、失業期間が徐々に長期化し、希望どおりに働けていない人が多く存在することや、孤立や生活困難などといった課題が顕在化しており、こういった課題の早期解消や支援強化が不可欠だと思います。  同時に、コロナ後の構造転換も見据えた対応も必要ではないでしょうか。雇用創出、職業訓練の要件緩和を盛り込んだ今般策定の新たな雇用・訓練パッケージは時宜を得たもの、実効性を高め、非正規の離職者も含めてより多くの人が教育訓練や就職支援を受けられるよう推進することや、コロナの影響が大きい部門の雇用の維持と円滑な人材移動に向けたマッチング強化を図るとともに、中小企業への同一労働同一賃金の適用を通じて、中小企業の生産性向上や従事している非正規雇用者等の待遇改善等が期待されますが、円滑な移行が進むよう中小企業への支援に万全を期すコロナ後の構造転換を見据えた対応策など、人口減少、高齢化の我が国では、コロナ下にあっても、当然、人は宝であります。自分の能力を生かし、適材適所で活躍できる人材の円滑な移動を図るためにも、デジタル時代にふさわしい教育訓練やリカレント教育の機会を拡大し、教育訓練の利用の障害となっている制度や課題を克服していくべきではないでしょうか。  テレワークとジョブ型雇用は親和性が高いわけで、働き方改革をさらに進め、こうした取組の定着、企業収益の向上の必要があります。若者や失業が増えつつある中高年等が厳しい環境に陥っている原因について、制度の縦割りやインセンティブ設計に問題がないか、本来受けられるべき支援が適切に受けられているのか、丁寧な対応をする必要があります。  生産年齢人口が減少傾向にある中、限りある労働力を効率的に配置していくことが求められていますが、成長産業や人手不足産業への労働移動をどのように促進していくのか、県の取組につきまして産業労働部長に重ねてお伺いいたします。  続いて、災害に強い県づくりというテーマについて質問させていただきます。防災・減災、県土強靱化及び未来に向けた県土づくりについて質問をさせていただきます。  本県では、千曲川が決壊するなど東日本を中心に大きな被害をもたらした令和元年東日本台風災害、県の南部を中心とし、全国的にも大きな被害をもたらした令和2年7月豪雨災害、そして、昨年8月、9月の豪雨災害と、3年連続して豪雨による自然災害に見舞われました。犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈りをするとともに、被災した方々に御見舞いを申し上げます。  さて、昨年の8月、9月の豪雨災害により、私の地元選挙区、茅野市宮川高部においても下馬沢川における大規模な土石流により甚大な被害が広範囲で発生し、家屋の全壊、半壊、一部損壊、床上浸水などの被害がありました。地元住民の日頃からの防災に対する備え、声かけの避難などにより、死者、行方不明者がなかったことは不幸中の幸いでありました。  災害発生後、現地では、建設業協会をはじめ、国土交通省、県、茅野市など関係者の方々が一丸となり、24時間体制で復旧作業に取り組んでいる姿には頭が下がる思いでした。改めて建設業界の皆様は地域防災の要であることを痛感したところであり、敬意を表するとともに、心から感謝を申し上げたいと思います。まだまだ被災地でお住まいの皆様は大変な不便を強いられています。県には一日も早い復旧を目指して対応していただきたいと思います。  この3年連続で発生した深刻な自然災害は、我々に事前の防災・減災対策や社会基盤の機能維持の重要性などを改めて教えてくれたのではないでしょうか。昨今の気候変動の影響により、気象災害が激甚化、頻発化しており、いつどこで深刻な災害が発生してもおかしくない状況にあります。  また、本県では、風水害のほかに糸魚川静岡構造線断層帯や南海トラフ地震等など大地震の発生も懸念されることに加え、高度成長期以降に集中的に整備された多くのインフラの老朽化もどんどん進んでおります。  これまで整備されてきたインフラは、県民からのニーズや重要性が高いことから優先的に整備されたことを考えますと、万が一こういった施設が機能しなくなった場合、影響は計り知れません。  災害が発生するたびに復旧・復興を図るという事後対応の繰り返しから、平時より大規模な自然災害に対する備えを行う事前防災が重要であるという考え方が必要であり、県民の皆様の安全、安心、人命や財産を守るためには、災害はいつ起きてもおかしくないという心構えで、事前の防災対策やインフラ施設の適正な維持管理に加え、有事の際にしっかりと機能する緊急輸送道路等のネットワーク整備など、国の5か年加速化対策などを活用して防災・減災対策を確実に進めていかなくてはならないわけです。  このように、風水害や大地震に備えるために、国の5か年加速化対策を活用するなどして防災・減災対策を進めることはもちろん重要でありますが、一方で、明るい未来への投資となる社会資本整備もこれと並び極めて重要であると考えます。  広大な県土を有する本県の社会資本整備はいまだ十分とは言えません。ふだん私たちが当たり前のように安全に利用できる道路や橋、水辺の空間、コロナ禍でも住民の憩いの場となる公園、町なかの快適性を向上する自転車、歩行空間などのインフラ整備は、県土の景観をつくり、豊かな生活を送るために重要で必要不可欠な社会資本であり、地方創生、地方への移住を促進させ、魅力ある元気な長野県らしい県土づくりに欠かせない明るい未来に向けた投資であります。  そのような中、建設部の令和4年度当初予算では、公共事業費が対前年度比101.1%と伸びていることに加え、1月臨時議会で成立した1月補正予算を含めた15か月予算として、今年度と同様に積極的に公共事業の投資を行う予算案は大いに評価できるわけであります。  コロナ禍にあって県の税収が落ち込む中で、予算の確保は難しい状況にあると思いますが、人命や財産を守る防災・減災対策などは待ったなしの状況であり、様々な知恵を出し、工夫しながら戦略的な予算確保に努め、今後の県土づくりを進めていく必要があると思います。  そこで、知事にお伺いをいたします。  3年連続で甚大な豪雨災害が発生しており、災害に強い県土づくりは県の最重要課題であります。また、広大な県土を有する本県の社会資本整備はいまだ十分とは言えず、明るい未来に向けた長野県らしい県土づくりも引き続き必要であると考えます。災害に対する防災・減災対策及び未来への投資となる社会資本整備の今後の展開について知事の決意をお伺いしたいと思います。  また、これらの防災・減災対策や未来への投資となる社会資本整備を推進し、魅力ある元気な長野県をつくるためには、これらを担う建設産業の活躍が不可欠であります。また、建設産業の皆様には、災害発生時には真っ先に現場に駆けつけ、災害の応急復旧対応に当たっていただいており、地域を守り支える地域防災の要でもあり、地域の建設産業の役割は極めて大きなものとなっています。  しかしながら、それらを担う人材の確保育成は非常に厳しい状況にあり、受発注者双方の共通の課題と聞いており、建設産業の持続的な発展が危惧されている状況であります。気候変動を緩和するため、ゼロカーボンの取組も進められておりますが、気候変動はすぐに改善されず、今後も気象災害は激甚化、頻発化することと考えます。このままでは災害発生時にすぐ応急対応する手だてがなくなってしまうことが危惧されます。  そこで、建設産業が将来にわたって持続的に発展し、県民の安全、安心を守る役割を担っていけるよう、県として建設産業の皆さんとどう連携して取り組むのか、建設部長にお伺いいたします。  新たなニーズに対応した長野県らしい観光についてお伺いいたします。  時間がゆったり流れ、四季折々の魅力がある信州の旅は、心も体も癒やしてくれます。一人でキャンプする「ぼっちキャンプ」や気軽に豪華で快適に過ごせるグランピング、日頃のストレスからの解放を求め、星空を見るだけの女性の一人旅、華美ではなく風土に寄り添った素朴な旅、ウィズコロナで観光のトレンドはより多様化し、このトレンドはアフターコロナでも続いていくと思われます。時代のトレンドは変わり、密にならない自然の中で楽しむ観光スタイルの人気が一層高まるなど、観光の質が変わってきています。  こうした中、雄大な自然の中で楽しむサイクルツーリズムや、年齢や障害の有無にかかわらず誰もが楽しめるユニバーサルツーリズムは、今後、市場拡大が期待できる分野であり、春夏秋冬、様々なアクティビティーが楽しめる長野県の強みにもなると考えています。私の地元、富士見高原などでも積極的に取り組んでいますが、県として今後どのように取り組んでいくのか、観光部長にお伺いいたします。  水田の畑地化についてお伺いいたします。  日本の食料自給率は37%、国民は食料の6割を輸入に頼っている危機感をもっと意識してもらいたいと思います。その中で、日本の主食の米はほぼ100%の自給。しかしながら、消費の減退、さらにはコロナ禍による業務用需要の減少等により、米の在庫量は積み上がり、米価も下落し、米単作の生産農家は厳しい経営状況となっています。このため、国は水田農業の高収益化に向け、水田における高収益作物への転換、水田の畑地化、汎用化のための基盤整備、販路拡大などの取組を一体的に推進することとしています。  今後、水田農業の体質強化を図るため、県として園芸品目など高収益作物の導入をどう拡大していくのか。水田の畑地化、汎用化等の基盤整備への取組を含め農政部長にお伺いいたします。  我が国の食料・農林水産業は、大規模自然災害、地球温暖化、生産者の減少等の生産基盤の脆弱化、地域コミュニティーの衰退、新型コロナを契機とした生産、消費の変化などの政策課題に直面しており、将来にわたって食料の安定供給を図るためには、災害や温暖化に強く、生産者の減少やポストコロナも見据えた農林水産行政を推進していく必要があります。  このような中、健康な食生活や持続的な生産、消費の活発化やESG投資市場の拡大に加え、諸外国でも環境や健康に関する戦略を策定するなどの動きが見られます。今後、このようなSDGsや環境を重視する国内外の動きが加速していくと見込まれる中、我が国の食料・農林水産業においても、これらに的確に対応し、持続可能な食料システムを構築することが急務となっています。  このため、国は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現するみどりの食料システム戦略を策定し、現在国会においてこの戦略を推進するための法整備も進められているところであります。国は、みどりの食料システム戦略において、農薬や化学肥料の使用量の大幅な削減や有機農業の拡大を図るとしていますが、県の環境にやさしい農業に係る取組の現状と今後の進め方について農政部長にお伺いいたします。  次に、環境政策についてお尋ねいたします。  地球温暖化に起因する異常気象や気象災害は世界各地で頻発しており、気候変動は、今や人類共通の課題であります。  世界の科学者で構成される国連の気候変動に関する政府間パネルIPCCは、温室効果ガスの継続的な排出はさらなる温暖化と気候システムの変化をもたらすことや、人間の影響が大気、海洋及び陸域を温暖化させてきたことは疑う余地がないことなど、科学的な知見に基づく報告書を公表しております。  国においては、2030年度までに温室効果ガスを2013年度比で46%削減、2050年カーボンニュートラルを目標に掲げ、岸田総理は、炭素中立型に経済社会全体を改革するための経済社会変革の全体像を示すと言明しています。  本県では、長野県脱炭素社会づくり条例の行動計画として策定された長野県ゼロカーボン戦略において、温室効果ガス正味排出量を、2030年度、2010年度比6割削減との目標が掲げられ、交通、建物、産業、再エネなどの分野における新年度の取組については知事から説明があったところであります。  この中では、ゼロカーボンに取り組む県内企業への様々な支援策が盛り込まれており、大いに評価するところでありますが、県内企業への視点にとどまることなく、日本の経済界を巻き込んで経済社会全体の構造を大きく変えていくことが肝要と考えます。  知事におかれましては、全国知事会脱炭素・地球温暖化対策本部の本部長に就任され、全都道府県知事がメンバーとなるこの本部において日本の脱炭素化を地域から牽引するリーダーシップを期待されているところでありますが、日本全体のゼロカーボン実現には経済界との連携が極めて重要となります。全国知事会の脱炭素・地球温暖化対策本部長であり、全国でも高い目標を掲げてゼロカーボンを先導する知事として、経済界とどのように連携していくのか、お伺いいたします。  続いて、「誰一人取り残さない公正な社会づくり」というテーマについて伺います。  誰一人取り残さない公正な社会づくりを目指し、障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例案が今議会に提出されておりますが、ぜひとも心の通う条例としていただきたいと思います。この条例に込めた思いと、今後この条例を基にどのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。  産後鬱病とは、出産後数か月以内に発症する鬱病のことで、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自己評価の低下などの症状が2週間以上の長期にわたって持続する病気であります。出産後の女性が一時的に情緒が不安定になることをマタニティーブルーズといいますが、マタニティーブルーズがあった場合は、産後鬱病の発症リスクが高まると言われており、そのほか、パートナーからのサポート不足などといった育児環境による影響も大きいとされています。産後鬱病は、日本においては出産を経験した女性の10%が発症するとされており、決して珍しい病気ではなく、発病した場合には母親と子供の双方に深刻な影響を及ぼす可能性があるため、出産後に見逃してはならない病気の一つであります。そこで、本県における産後鬱病が疑われる産婦の現状について健康福祉部長にお伺いいたします。また、産後鬱病を防ぐためには、産後のメンタルヘルスケアが大変重要と考えますが、その対策につきましても併せてお伺いいたします。  高齢者が介護施設に入所する際、身元保証人がいない場合は受入れを拒否する施設が少なからずあると平成30年3月の国の調査で明らかにされております。単身者や身寄りのない人らが保証人を用意できないケースが増える中、国は入所を拒否しないよう求めておりますが、一方で、施設側には、費用の支払いや死亡時の引取り、または入院時判断の役割を保証人に求めざるを得ないといった実態がございます。  厚生労働省は、介護施設の運営基準に基づき、身元保証人がいないことは拒否の理由にならず、拒否した施設は指導対象になるとしていますが、県としてどのように対応されているのか、健康福祉部長にお伺いいたします。  有料老人ホームは、費用が比較的高額であることから、誰でも入居できるわけではなく、公的な機関により運営されている特別養護老人ホームも、入居待機者が数百人を超える地域があるなど、介護保険サービスも福祉として正常に機能しているとは言い難い側面もあります。このような場合、自宅で共に暮らす家族がケアをする在宅介護を選ばざるを得なくなり、満足に介護サービスを受けられず、やがて家族介護の負担が増大していくと、今度はケアに当たる家族の社会的孤立が浮き彫りとなってきます。  先の見えない介護に対し、不安や疲労から介護者自身が鬱状態や病気になってしまうケースや、介護のために仕事を辞めなくてはいけなくなるケースなど様々な問題が起こるようになりました。介護に割かれる時間が増えれば増えるほど大切な社会とのつながりが持てなくなってしまいます。  母親に代わり、子供が祖父母の介護に当たるケースも考えられますが、高齢出産した家庭では、実の親の介護を未成年の子供が行うケースも考えられます。また、核家族化や少子化によって一人っ子が年老いた両親の面倒を同時に見るという非常に負担の大きい介護を強いられるケースも増えてきています。こうなると、介護に時間を割くために学校を休んだり早退したりする日数が増え、学業に悪影響を及ぼします。部活動などを辞めなくてはならず、放課後や休日に友達と遊ぶ大切な時間も削られてしまいます。そればかりでなく、経済的な事情も重なり、進学を諦めなくてはいけなくなることも考えられ、今後の長い人生に大きく影を落とすことも十分に考えられます。このように、若年代ケアラーに対する社会の無理解も意識改革していかなくてはなりません。  2020年3月、埼玉県では、日本初となるケアラー支援条例が成立されました。条例には、ケアラーに対する支援の意思表示と同時に、不当な差別を受けることなく、安心かつ健康に生活していくための権利保障を明文化した内容が記されております。  特に注目したいのが、若年代の中でも18歳未満の人たち、条例ではヤングケアラーと記載しておりますが、ヤングケアラーに対する配慮であります。介護を理由に進学や部活動などを諦め、社会とのつながりがなくなってしまうのを防ぐために教育機会を確保するなどの声明が盛り込まれているわけであります。  未来ある若者に対し平等に教育の機会が与えられるのは、当然の権利であります。現在のところ、47都道府県ある中でわずか一つの条例にすぎませんが、今回の埼玉県の条例可決を皮切りに、ケアラーに対する理解が深まる取組が全国に広がっていってもらいたいと思います。  そこで、伺います。ケアラーの中でも、とりわけヤングケアラーへの対応は、本人の将来に与える影響の大きさを考えると早急に対応が必要な喫緊の課題であると考えますが、本県ではこれまでにどのような取組が行われてきたのでしょうか。また、今後どのようにヤングケアラーへの取組を進めていくのか、その対応についてこども若者局長にお伺いいたします。  昨年4月、岐阜市に開校した東海3県で初の公立不登校特例校、市立草潤中学校で、10月末、学校説明会がありました。  令和2年度の文部科学省の調査によると、長野県の不登校児童生徒数は過去最多となりました。増加の背景として、休養の必要性やコロナ禍における生活環境の変化などで登校意欲が湧きにくい状況があったとしています。しかしながら、いまだに、不登校は困ったものだ、学校に行きたくないなんて甘えているなどという声を聞くことがあり、不登校は、子供によっては次のステップへの踊り場であり、学校へ行かないという選択を尊重することも重要であると考えます。  岐阜市では、昨年3月に開校した「学校らしくない学校」不登校特例校の学校説明会を開催したところ、市内外から126組380人が参加したという報道がありましたが、特例校だけでは不登校児童生徒の一部しか受け入れることはできない。また、DX化の推進、コロナ禍でオンライン授業が進むなど、学びを取り巻く状況は変化しています。  そこで、学校に行きたくとも行くことができない不登校児童生徒に対し、学校だけでなく学校以外でも学ぶことができる仕組みを構築することが必要であると考えますが、教育長にお伺いいたします。  明治時代から今日まで約140年間、日本での成年年齢は20歳と民法で定められていました。この民法が改正され、2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に変わります。民法が定めている成年年齢は、一人で契約をすることができる年齢という意味と、父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。成年に達すると、親の同意を得なくても、自分の意思で様々な契約ができるようになるということです。  成年に達すると、親の同意がなくても自分で契約ができるようになりますが、未成年者取消権は行使できなくなります。つまり、契約を結ぶかどうかを決めるのも自分なら、その契約に対して責任を負うのも自分自身になります。  契約には様々なルールがあり、そうした知識がないまま安易に契約を交わすとトラブルに巻き込まれる可能性があります。社会経験に乏しく、保護がなくなったばかりの成年を狙い撃ちにする悪質な業者もいます。そうした消費者トラブルに遭わないためには、未成年のうちから契約に関する知識を学び、様々なルールを知った上で、その契約が必要かよく検討する力を身につけておくことが重要であります。  審議会の答申や学習指導要領は、生徒たちの将来の生きる力を養うための一環として金融教育を位置づけているようであります。人生をうまくやるためのスキルセットを生きる力としています。  高校生あたりまでを含む子供にとって、金融教育は明らかに必要であると思います。しかし、高校の家庭科で金銭計画の作り方や資産形成のための投資について教えられるのだとすると、大きく言って2点、大きな不安があります。  1点目は、生きる力の中の重要な具体的構成要素であるお金の扱い方を家庭科という科目の中の家計管理の話に押し込めることが適当なのかという点であります。高校の各教科の内容は、数学にせよ、英語にせよ、いずれも生徒の将来の生きる力を養成するためにあるはずであります。  率直に言って、金融教育は家庭科の範疇に収めて生徒に教えることに無理があると思いますが、金融的な意思決定にあって重要なことは二つあり、一つ目は、正確に損得の判断をすることであり、そのための基礎は数学です。もう一つは、金融ビジネスや金融商品の仕組みであり、それを理解した上で個人や家計がどうしたらいいかを理解する必要もあります。  適切な金融教育の一部は、数学の応用問題の中で取り上げてほしいと思います。例えば、大学入試に金融商品を比較する損得計算の問題が出るようになれば、将来、より選択肢も広がると思います。  このように、成年年齢の引下げに伴い、消費者トラブルに遭わないために、金融教育などの重要性は一層増すことになると考えます。  そこで、3点お伺いいたします。  金融教育は、家庭科ではどのように学ぶのか。また、家庭科のみでなく、数学などの他教科でも学ぶ必要があると考えるが、いかがか。教育長に伺います。  生徒が将来を見据えた資産形成を行うためにも金融教育の充実が欠かせないと考えますが、教育長に見解を伺います。  さらに、高等学校における金融教育に加えて、高校を卒業した若い世代に対しても消費者としての教育、啓発が必要と考えますが、どのような対策を講じているのか、県民文化部長にお伺いいたします。  最後に、人事委員会の取組についてお伺いいたします。  ここまで私が質問してきたように、新型コロナウイルス感染症への対応や災害に強い県づくり、脱炭素社会の構築など、本県が直面する行政課題はますます高度化、複雑化しています。こうした課題に対応していくためには、有能な職員を確保し、その能力を十分発揮させることが重要と考えるわけであります。この1月に就任された青木人事委員会委員長は、下諏訪町町長として4期16年の豊富な行政経験をお持ちであります。その経験を生かして、公正、中立な人事行政の専門機関として、本県の人事行政の運営にどのように取り組んでいくのか、委員長の所信をお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)小池議員の御質問に順次お答え申し上げます。  まず、新型コロナの関連であります。これまでを振り返っての国と地方の役割分担も含めた対策の課題という御質問であります。  今まさに新型コロナ対応を進めているところでありますので、現在進行形という状況です。国と地方の関係も含めた課題については、新型コロナが落ち着いた段階で国も含めてしっかり整理していくということが重要だと思いますが、私としては、国と地方が問題意識を共有して協力して取り組むということがまず一義的に重要だというふうに思っています。  全国知事会との対話で、政府もかなり配慮していただいている状況ではありますが、しかしながら、そういう中でも何点か課題があるのではないかというふうに思っています。  例えば、都道府県でできる限りの対策はしっかりやっていきたいと思いますけれども、都道府県をまたいだ人の移動については、これはやはり国においてしっかり対策、対応をしてもらいたいというふうに思っております。また、様々な物資の調達、これは都道府県で取り合いになってもいけませんので、やはり国がしっかり確保して供給の調整をしてもらうということが非常に重要だと思います。防護服等は一時不足ぎみになったこともありますし、検査キット等も足りない時期がありました。そういう意味では、物資の全国的な供給調整といったようなことをしっかり行っていただくことが重要だと思っています。  加えて、まん延防止等重点措置をはじめとする様々な感染拡大防止については、できるだけ我々都道府県、市町村、現場での対応に委ねてもらいたいというふうに思います。ただ、必要なデータ、エビデンスに基づくデータについては、しっかりと分析、共有をしてもらい、そうしたものに基づいて我々が各地域の実情に応じて対策、対応をしていくということが重要だというふうに考えています。  例えば、基本的対処方針についても、もう少し見直しをしていただく余地があるんじゃないかというふうに思いますので、こういうものについては、国と地方の関係や今後の感染症対応ということを考える中で、知事会の中でもしっかり議論していきたいというふうに思っております。  それから、大規模イベントの実施に当たっての県の考え方という御質問であります。  県としては、参加者が5,000人を超える大規模なものにつきましては、主催者の方から感染防止安全計画を事前に提出していただき、適切な感染対策を講じていただくよう必要な助言等を行ってきているところでございます。  善光寺の御開帳や諏訪大社の御柱祭については、開催期間が長期で、観光客や参加者が密集する場所や場面も想定されることから、きめ細かで継続的な感染対策が必要であるというふうに考えています。このため、県としては、まず、開催に当たって、主催者が独自に作成する感染対策の目安、基準について検討の段階からアドバイスを行ってまいります。また、開催期間中もその時々の感染状況に応じた対策を行っていただくことができるよう連絡協力体制をしいているところでございます。  長野県にとって、この春は大型催事がめじろ押しの重要な季節になります。そういう意味では、感染拡大防止対策を徹底しながら、できる限り経済活動を回していただくことができるような環境づくりに努めていきたいと考えております。  続きまして、ワクチンについての御質問であります。  まず、進捗状況でありますが、県内のワクチン追加接種は、2月20日現在、県人口全体の約14%という状況であります。そのうち高齢者については、約20万人の方が追加接種を既に受けていただいておりまして、高齢者の方で2回目接種を受けた方の約3分の1は追加接種を終わっているという状況であります。  本県では、2月をワクチン接種推進月間として位置づけて、市町村の皆様方とともに様々な取組を進めております。市町村の皆様方には、接種券の早期発送、接種券なし接種の推進、接種対象者の拡大、対応の前倒し、こうしたことをお願いしてきております。また、県としても、接種会場を設けて市町村の接種の補完をさせていただいておりますし、医師会等に御協力いただく中で医療人材の派遣等も行わせていただいているところでございます。  また、第6波においては、高齢者施設等での集団感染が多数発生しております。こうした高齢者施設での接種が進むことが大変重要だということで、県としても巡回で接種を行うなど、とりわけ力を入れて取組を進めているところでございます。こうした高齢者施設については、極力2月中に完了できるように市町村と個別に調整しながら進めているところでございます。  引き続き、ワクチン接種の意義や副反応についてもしっかり広報しながら、市町村と連携して、必要な方、希望される方に対する追加接種が進むように取り組んでいきたいと考えております。  続きまして、災害に強い県づくりと未来への投資となる社会資本整備の展開についての決意という御質問でございます。  まず、本県は、急峻な地形の中で、令和元年東日本台風災害から3年連続甚大な豪雨災害が発生しています。こうした災害への備えを強化していくということは、多くの県民の皆様方の願いであるというふうに考えております。  また、御質問にもありましたように、長野県は広い県土の中でそれぞれの地域の特色を生かして発展してきています。そうした地域の発展を支えるための道路をはじめとするインフラの整備も非常に重要だというふうに考えております。そういう観点で、長野県に暮らす皆様方の安心、安全のためにも、そして未来に向けて地域が発展していく上でも、この社会資本整備は大変重要だというふうに考えております。そうした意識をしっかり持って、多くの県民の皆様方の期待を受けながら全力で社会資本整備の推進に当たっていきたいというふうに考えております。  続きまして、ゼロカーボン実現に向けた経済界との連携についてという御質問であります。  ゼロカーボン社会の実現については、これは、国、地方という行政だけではなく、社会経済システム全般の変革が必要でありますので、とりわけ産業界、経済界の皆様方のお取組と協力が大変重要だというふうに考えております。県としても、先月産業イノベーション推進本部会議を開催いたしました。産業界におけるゼロカーボンの推進についても問題意識を共有させていただき、重要性を確認したところでございます。  また、全国知事会の脱炭素・地球温暖化対策本部長として、経団連をはじめとする経済界と全国知事会との対話の場にもこれまで何度か参加して意見交換させていただいているところであります。  先ほど小林議員の御質問にもお答えしたように、経団連との間では、サステーナブルな資本主義の実現ということで、方向性を同じくしている部分が非常に多いというふうに考えておりますので、今後とも、知事会と経済団体、特に経団連との間の関係性についてはしっかりと構築していきたいというふうに考えております。その上で、国に対する政策提言や規制緩和を一体となって行っていきたいというふうに思っております。  他方で、中小企業の皆さん、いわゆるエネルギー関連産業の皆様方にとっては、この脱炭素化、ゼロカーボンの動きは非常にマイナスの影響を受ける場合がある、また、どのような取組をすればいいかなかなか分からないという状況でございまして、県としては、こうした中小企業者の皆様方に対する支援や配慮ということも行っていくことが重要だというふうに考えております。  こうしたプラスの側面、それから社会経済の変革に伴う負の側面、両面をしっかり見据えながら経済界の皆様方と協力連携を図り、ゼロカーボン社会の実現に向けた取組を進めていきたいというふうに考えております。
     それから、最後でございますけれども、障がいのある人もない人も共に生きる長野県づくり条例案に込めた思いと今後の取組という御質問であります。  私は、県知事に就任してから幾つか心に留めて取り組んでいることがあります。その一つが、光が当たりにくい分野、光が当たりにくい方々にもしっかり光を当てていくということが重要だというふうに考えております。障害者の皆様方への支援というのは非常に重要な行政としてのテーマであると思います。とかくマジョリティー側の人たちの考え方で社会システムはつくり上げられてしまいますので、様々な障害をお持ちの方にとっては、どうしても生きづらい、住みづらい、そうした社会になってしまう可能性が強いというふうに考えております。  この条例策定に当たりましても、障害当事者の皆様方と意見交換させていただきました。例えば、最近いろいろなところで障害者用の駐車場が大分整備されています。県の施設でも整備していますが、車椅子の方からすると、それだけでは不十分で、雨が降ったときには屋根がないととても使えないというようなお話も伺っています。思いに寄り添うということはなかなか難しいということを痛感しておりますけれども、引き続き当事者の皆様方のお気持ちをしっかり踏まえ、対話をしながら施策を進めていきたいというふうに思っています。  そうした総合的な施策を県としても進めていくために今回の条例案を提出させていただいたところでございます。今回の条例案は、障害者の皆様方が差別と感じていることについて合理的な対応を促す仕組みづくり、そして、多様性を認め合いマイノリティーの立場にいる方々の権利を守っていく仕組みづくり、そして、一人一人が個人として最大限に尊重される社会を目指していこうというものであります。可決いただければ、その後の具体的な取組としては、優良事業者の認定制度の創設や県民の皆様方の意識を高めるためのフォーラム、国内最大規模のボッチャ競技大会の開催、共生社会について学ぶ「パラ学」の充実、障がい者芸術文化活動支援センターや医療的ケア児等支援センターの新設を進めていくほか、10月1日からは条例の完全施行となりますので、紛争解決のための第三者機関の設置も行っていきたいというふうに考えております。  また、全庁挙げてこの障害者に寄り添った施策を進めるために、庁内の連絡会議、庁内連携会議も立ち上げさせていただいて、県庁外の機関とも連携しながら、条例案に定める11分野の基本的施策を進めていきたいというふうに考えております。こうしたことを通じて、誰もが暮らしやすい、住みやすい、そうした共生社会づくりを進めていきたいと考えております。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には合計7点御質問を頂戴しております。順次お答えを申し上げます。  まず、新型コロナウイルス感染症対策に関する御質問でございます。  最初に、実効再生産数についての御質問を頂戴いたしました。  実効再生産数につきましては、数値が高いほど感染が急速に拡大していることを示しており、逆に1未満の期間が続けば感染が収束しつつあるというふうにされているところでございます。  国立感染症研究所が公表している簡易な計算式によりまして県内の実効再生産数を算出いたしますと、大きく1を超えていたものが、2月10日頃から1を割る状況となっております。なお、最新のデータでは0.93となっております。1月の頃と比較いたしますと、2月に入ってから数値は減少傾向にございますけれども、まだ1に近い数値でございまして、予断を許さない状況でございます。感染状況の把握に当たって他の指標と併せて注視してまいります。  次に、自宅療養者に対する健康観察体制についての御質問でございます。  当県は、令和3年7月に長野県健康観察センターを設置いたしまして、専任の看護師が健康観察業務を担い、遠隔健康管理システムや電話を通じて症状の確認を行っております。  今般の自宅療養者の急増に対しては、センターの看護師と事務スタッフを大幅に増員して体制強化を図るとともに、保健所の事務スタッフを増員し、迅速なパルスオキシメーターなどの配付を行っているところでございます。  患者等の症状が増悪する兆候を把握したときは、センターから迅速に保健所に連絡し、酸素投与や投薬治療が必要な患者等については、受入れ医療機関での受診や入院の調整を行っております。また、症状を抑える薬の処方が必要な患者の方については、保健所から登録医療機関に依頼し、電話診療等を実施する仕組みを構築したところでございます。  今後とも、このような丁寧な対応を自宅療養者に行うことによりまして、自宅で安心して療養生活を送ることができるよう必要な健康観察、医療提供等を行ってまいりたいと考えております。  次に、濃厚接触者となったエッセンシャルワーカーの自宅待機期間についての御質問でございます。  本県におきましては、専門家懇談会の委員の皆様の御意見を伺った上で取扱いを定めておりますが、具体的には、御質問の中にもございましたとおり、最終接触日から7日間経過後、8日目の解除を原則とした上で、その短縮につきましては、本県では国の基本的対処方針別添の「事業の継続が求められる事業者」に記載されている業種に従事する方を広く対象としております。そうした方々について、最終接触日から4日目及び5日目に抗原定性検査キットを用いた検査で陰性が確認された方について最短5日目の解除を可能としております。この取扱いにつきましては、県のホームページに掲載するとともに、県庁の所管部局を通じて関係団体に広く周知させていただいたところでございます。  次に、検査を実施せずに診断することができる取扱いについての御質問でございます。  御指摘のとおり、医療機関の負担軽減のため、感染者の同居家族など濃厚接触者が有症状となった場合には、自治体の判断で、診察した医師の判断で検査を行わなくとも診断することが可能とされたところでございます。しかし、本県では、外来診療についてはそうした取扱いを必要とするほど逼迫した状況にないため、現在のところこの対応は行っておりません。この対応を行った場合、こうした患者には重症化リスクがある方に投与できる経口薬や中和抗体薬による治療が適応にならないなどの課題がございます。こうしたことを踏まえまして、今後の対応につきましても、県内の感染者発生動向や外来診療の状況を見極めて慎重に判断してまいります。  次に、小児へのワクチン接種についてでございます。  小児接種の進め方については、知事と市長会、町村会の皆様との意見交換会で方向性を共有させていただいております。重症化リスクの高い基礎疾患のあるお子さんたちには速やかな接種機会を提供すること、また、それ以外のお子さんについても、希望される方はできるだけ早期に接種を受けられる体制を構築すること、この二つを申合せさせていただいているところでございます。  小児用のワクチンにつきましては、2月21日からの週、つまり今週から順次配送される予定でございまして、3月からの接種開始に向けて各市町村において準備が進められております。最初に配分される400人分のワクチンは、小児中核病院でございます信州大学医学部附属病院と長野県立こども病院へ配分いたしまして、こちらに入院、通院されているお子さんに3月上旬から接種を行うこととしております。また、各市町村における接種についても3月上旬以降順次開始されていく予定でございます。  なお、小児への接種は保護者の同意を要することから、御理解をいただくため、丁寧な情報提供が必要であると考えております。現在、国に対しても、全国知事会を通じ、分かりやすく丁寧な情報発信を行うよう求めているところでございます。県といたしましては、市町村や関係団体と連携しながら、小児接種が円滑に進みますよう体制の整備を引き続き進めてまいります。  次に、産後鬱病について現状とメンタルヘルスケア対策という点についての御質問を頂戴しております。  産後鬱病は、早期発見と適切な支援が重要でございます。県内全ての産婦に対して、出産後1か月までに実施される産婦健康診査におきまして専門の質問票を用いたスクリーニング検査が行われております。その結果によりますと、令和2年度の数値でございますが、産後鬱病が疑われる産婦の割合は、本県では8.4%、なお、全国平均は9.7%となっております。これらの産婦に対する身体の回復や心理的な安定を図るため、各市町村において保健師による家庭訪問や助産所等への宿泊及び通所等による個別支援が行われており、必要に応じて精神科等の医療につなぐ体制となっております。  県におきましては、市町村支援として、今年度新たに信州大学医学部との連携により母子保健担当者を対象とした周産期のメンタルヘルスに関する研修会を開催したほか、信州母子保健推進センターの母子保健推進員が市町村からの相談に対して助言等の支援を行っております。引き続き市町村、関係機関と連携いたしまして、産婦に寄り添った支援を行い、安心して子育てできる環境づくりを進めてまいりたいと考えております。  それから、身寄りのない高齢者への対応についての御質問がございました。  これも、御指摘のとおり、介護施設の運営基準では、利用者が入所する際に、身元保証人がいないことをもって入所拒否をしてはならないとされているところでございます。  県では、これまでも、施設の集団指導及び実地指導におきまして身元保証人がいない利用申込者を拒否しないよう指導してまいりました。今後とも、ケアマネジメントを行う介護支援専門員からの情報もいただきながら、不適切な対応と思われるケースがあれば注意、指導を引き続き行ってまいります。  ただし、施設側が身元保証のない利用者を受け入れるに当たっては、利用料などが滞納となった場合の対応や手術をする際に誰に同意を求めたらいいかといったような課題がございます。こうした課題に対応するためには、例えば、成年後見人の活用や、地域で支えるシステムを構築するなど抜本的な対策が講じられることがより望ましいというふうに考えております。今後、県でも研究してまいりますし、必要に応じて国に要望してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)私には3点御質問いただきました。  初めに、中小企業・小規模事業者のBCP策定支援の状況でございます。  近年の台風災害やコロナ禍での状況を踏まえますと、BCPの策定は、策定事業者のみならず、取引先や利用者などステークホルダー全体に影響が及ぶ重要な取組と認識しております。  県では、事業者のBCP策定を支援するため、東京海上日動火災保険株式会社と県内の経済4団体との連携による長野県BCP策定支援プロジェクトを実施しており、これまでに253社の策定を支援してまいりました。また、中小企業・小規模事業者への対応につきましては、簡易版BCPに当たる事業継続力強化計画の策定を経済産業省が推進しておりまして、本県では727件が認定されているところであります。  さらに、小規模事業者の円滑な計画策定を推進するため、昨年度から商工会または商工会議所が市町村と共同して取り組む事業継続力強化支援計画の認定が始まり、既に8団体が県知事の認定を受け、支援を始めていただいております。今後は、さらに平時からのマネジメントプロセスであるBCM(事業継続管理)の視点も折り込みながら経営支援に当たるなど、災害等に強い産業づくりを推進してまいります。  次に、賃上げに対する県の支援についてでございます。  企業が賃金を上げるためには、新たな需要開拓による売上げの向上や付加価値創造のほか、働き方改革や設備投資による業務の効率化などを通じて生産性と労働分配率の向上を図ることが必要と考えております。  現在、国においては、働き方改革や設備投資等を行い生産性向上に取り組む中小・小規模事業者に対して、業務改善助成金や働き方改革推進支援助成金による支援を行っており、県としても長野労働局と連携して県内企業の積極的な活用を働きかけてまいります。  また、県の支援策としては、国の事業再構築補助金やものづくり補助金への上乗せを行う長野県プラス補助金を実施することとしており、特に、業況が厳しい中にあっても従業員の最低賃金の引上げに取り組む事業者が生産性向上のために設備投資を行う事業等に対して、国と県合わせて最大8割の支援となるよう補助してまいります。  さらに、稼ぐ力を高める支援として、国内外の展示会、商談会への出展支援や、昨年9月に本格稼働したテクノリーチナガノによる工業製品のオンライン発信など、販路開拓等の支援をしてまいります。  最後に、人口減少にある中での成長産業や人手不足産業への労働移動についてのお尋ねであります。  人手不足の業種への対応や獲得競争が激しいIT人材などの確保には業種を超えた労働移動の促進が必要であり、リカレント教育等の推進とマッチング機能の充実が求められるところであります。  既に、国の補正予算により、ハローワークが無料の職業訓練を行う求職者支援制度の拡充や、コロナ禍での非正規雇用労働者等に対する500億円規模の労働移動支援事業がスタートしたところであり、県としても労働局やハローワークと連携して支援に努めてまいります。  また、県の令和4年度予算案には、県が独自に実施する求職者向けの委託訓練106コース、約1,500人規模の計画を盛り込んでおり、国のポリテクセンターの求職者支援訓練の1,800人と合わせて、県内における学ぶ機会の充実を図ってまいります。  さらに、コロナ禍に創設したJobサポを継続し、求職者のニーズや適性等を踏まえた丁寧なキャリアコンサルティングやマッチング支援を行うほか、Jobサポと産業雇用安定センター等との連携による事業者間の在籍型出向支援など失業なき労働移動をサポートしてまいります。  以上でございます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)建設産業の持続的な発展に向けた企業と連携した取組についてでございます。  県としましては、従来から建設産業の皆様と連携し、週休2日の推進、ICTの活用などの就労環境の整備や、就業促進として高校生を対象とした実践教育の取組を行ってきたところでございます。特に、より若い年代から建設産業を身近な職業として理解していただくため、今年度からは新たに対象を中学生に広げて出前講座を実施しております。  今後は、若手技術者が関心を抱くBIM/CIMや遠隔臨場等、建設分野におけるDXの拡大を図り、就労環境を整えていくほか、学生に対する就業を促進するため企業の皆様と積極的な情報発信に努めてまいります。  引き続き企業の皆様や県建設業協会青年部会、女性部会等との対話を通じ新たな取組を検討し、より効果的な施策を実施してまいります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私にはサイクルツーリズムとユニバーサルツーリズムの今後の取組についてのお尋ねをいただきました。  まず、サイクルツーリズムにつきましては、これまで、県内一周ルート、ジャパンアルプスサイクリングロードの設定、建設部との連携による案内看板や路面標示等の整備などを実施してきたところでございます。  引き続き受入れ環境整備を進めるとともに、イーバイクの普及等に伴います周遊、アクティビティー利用に向けたサイクリングガイドの育成や、モニターツアーによる商品造成などに取り組んでまいります。  ユニバーサルツーリズムについては、これまで、アウトドア用車椅子等の導入支援や、こうした機材を扱うことのできる人材育成、富士見高原をはじめとした先進地におけるモデルコースの設定などを実施してまいりました。今後は、モデルコースを活用した学習旅行での実証事業の実施、フォーラム開催等によるPRやツアー誘致など本県のユニバーサルツーリズムのさらなる磨き上げを図ってまいります。さらには、来月から募集予定の信州の観光地魅力向上実践事業においても、両ツーリズムを生かした具体的な観光地域づくりの取組創出を支援してまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には2点御質問をいただきました。  初めに、水田への高収益作物の導入についてですが、米の需要が減少する中、稲作農家の収益を確保するため、園芸品目など高収益作物の導入は水田活用の観点からも重要と認識しております。  このため、農業農村支援センターが高収益作物の導入に向けた経営シミュレーションを実施し、個々の経営内容に応じた最適な品目の提案や相談指導を行うほか、国庫や県単事業の活用により必要な機械、施設の導入支援に取り組んでいるところです。また、野菜等の高収益作物は湿害を受けやすいことから、県試験場において機械で簡便に水田の排水性を改善できる技術を実証し、普及を進めているところです。さらに、水田の畑地化、汎用化については、暗渠排水や客土など、導入する品目に合わせた基盤整備により、大規模に高収益作物を導入する取組も推進してまいります。今後とも、稲作農家の意向を確認しながら、ソフト、ハードの両面から水田農業の体質強化を図ってまいります。  次に、環境にやさしい農業の取組の現状と今後の進め方についてでございます。  県では、有機農業を含む環境にやさしい農業を推進するため、県独自の農産物認証制度を設けるとともに、環境保全型農業直接支払交付金により農家を支援し、これらの取組面積は、平成29年度の2,348ヘクタールから、令和3年度は2,555ヘクタールへと増加しております。さらに、みどりの食料システム戦略を踏まえて、次年度からは、国庫補助金等を活用し、産地が取り組む農薬によらない病害虫防除体系の導入や、果樹剪定枝を炭化して土壌に還元する炭素貯留の取組を推進してまいります。また、市町村が主体となって行う有機農業の産地づくりを進めるため、その計画策定や有機給食の試行等の取組を支援してまいります。これらの取組により、地域全体に環境にやさしい農業の取組が定着、拡大するよう、市町村、JA等関係機関と連携して推進してまいります。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には、ヤングケアラー支援のこれまでの取組と今後の取組について御質問いただきました。  県では、昨年6月に庁内にプロジェクトチームを立ち上げ、これまでに、高校生を対象とした実態調査、スクールソーシャルワーカーを対象とした研修、相談窓口を示したポータルサイトの開設などに取り組んでまいりました。  来年度は、まだ認知度の低いヤングケアラーについて、子供自身や周りの大人に気づいてもらい、子供の望む支援に結びつけられるよう、認知度向上に向けた集中的な周知、広報を実施するとともに、より幅広い年齢層での実態把握のための小学生、中学生、大学生を対象とした実態調査、ヤングケアラーと接する機会の多い教育や福祉分野の関係者における対応力向上に向けた研修を実施してまいります。  また、具体的な支援として、ヤングケアラーがいる家庭に対する訪問家事支援事業を行う市町村に対する補助や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーを増員して子供の悩みにきめ細かに対応できる体制整備なども行うこととしております。  ヤングケアラーの方々が望まれる場合にしっかりと支援につなげていけるよう、スピード感を持って対策を進めてまいります。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、不登校児童生徒の学びの仕組みづくりについてのお尋ねでございます。  令和2年度不登校となった長野県の小中学生は3,802人でありましたが、このうち市町村が設置する教育支援センターでは563人、フリースクール等民間施設では255人が利用し、相談支援を受けているところでございます。  不登校児童生徒には様々な背景や状況があり、その子が自分らしく学ぶためには、向き合う全ての大人が協働して多様な学びの機会を保障していくことが求められております。県教育委員会では、県民文化部と連携し、不登校児童生徒に対する学びの継続支援事業を実施しているところでございます。不登校支援コーディネーターを市町村の教育支援センター等に配置し、学校だけでは支援が難しい子供の学びが継続できるよう家庭訪問により状況を把握し、ICT等を活用した相談支援やフリースクールと連携した支援、地域資源を活用した体験等、その子に合った学びをコーディネートする取組を進めております。  現在、この事業の成果を盛り込んだ不登校児童生徒の学びのサポートガイドを作成しているところでございます。今後、県内全ての市町村を対象とした研修会において活用するとともに、フリースクール等民間施設とも共有し、それぞれの地域に合った仕組みづくりを支援してまいりたいというふうに考えております。  次に、金融教育のお尋ねでございます。  まず、家庭科での金融教育の学びについてでございます。  来年度から実施される新しい家庭科の高等学校学習指導要領では、家計の構造や生活における経済と社会の関わり、家計管理について理解することと明記されました。そして、この中では、預貯金、民間保険、株式、債権、投資信託等の基本的な金融商品のメリットとデメリット、資産形成の視点にも触れるようにするとされているところでございます。家庭科において金融商品等の専門的な内容を学ぶ際には、教員が教えるだけでなく、専門家を授業に招くなど外部の力も活用していくことが学び方として重要だというふうに思っております。  他教科で学ぶ必要性についてでありますが、教科学習は、それぞれの専門的な知識が現実社会の中でどのように活用されるかを学ぶことも大事なことでございます。金融教育においても、家庭科以外の教科で得た専門的な知識を活用して、実社会で遭遇するであろう諸課題を解決する力を養うことが必要です。  例えば、数学では、指数関数に係る総合問題として、預金等の複利計算や各種ローンの返済計画を算出する等の問題が扱われます。また、公民科でも、金融経済の仕組みにおけるキャッシュレス決済、クラウドファンディングなどの役割と活用方法を学ぶことになっております。このように、様々な教科での多角的な金融に関する学習によって、自分の暮らしや社会についての理解を深められるというふうに考えているところでございます。  金融教育の充実についてでございます。  まずは家庭科をはじめとした各教科での学びを充実させることが必要でありますが、各教科の学びだけでは生きた金融の世界を生徒が実感する授業は難しいというふうに思っております。そこで、金融教育を担う教員の力量を高めるとともに、外部の人材を有効に活用していくことが必須だと考えております。現在、金融教育を支援するファイナンシャルプランナー等の専門人材が増え、外部の力を借りられる環境が整ってきているところでございます。  県教育委員会としては、専門の金融教育プログラムを各校へ提供するとともに、教員と外部の専門家が協働する授業カリキュラムを研究し、その成果を全県で共有するなど、金融教育の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。       〔県民文化部長中坪成海君登壇〕 ◎県民文化部長(中坪成海 君)高校を卒業した若い世代に対する消費者教育についてのお尋ねでございます。  若者が消費者として必要な知識を学び、身につけていくことは、社会生活を送る上で大変重要であると認識しております。このため、県や財務事務所、県内金融機関等で構成しております長野県金融広報委員会が主体となりまして、今年度は短大、専修学校など11校において青少年生活設計講座を開催しまして、悪質商法の手口や対処法などを学んでいただいております。また、県内5大学、約400名の学生を対象に金融リテラシー講座を開催しまして、金融・経済知識や判断力を身につけられるよう取り組んでおります。  一方、こうした取組にもかかわらず、若者を狙った消費者トラブルに巻き込まれる事例もございます。新年度は、相談窓口である消費生活センターをより広く若者に知っていただけるよう、若者が目にしやすいウェブ広告や公共交通機関の車内広告を実施しまして、速やかな相談支援につなげてまいります。  以上でございます。       〔人事委員会委員長青木悟君登壇〕 ◎人事委員会委員長(青木悟 君)私には、人事委員会の今後の取組について御質問をいただきました。  初めに、私の16年間の下諏訪町での行政運営の中で、約20名ほどの県からの交流職員、また派遣職員をお送りいただきました。その多くの県の職員が、豊富な知識と卓越した技術を持って当町の行政運営に大きな力となっていただきました。前例にとらわれない改革の精神を持った人材は、市町村職員にとってとてもよい刺激になっていたと思います。同時に、県職員にとっては、日頃あまり接触する機会のない住民との直接的な関わりは、県民目線で仕事をすることの大切さを感じるよい機会であったのではないかと考えております。  さて、地方の時代と言われる今、地域課題に果敢に取り組む意欲にあふれた多様で有能な人材を確保することが県においても重要であると認識しております。このため、就職活動に臨む学生、移住や転職を考える社会人の動向等にも留意をしつつ、より多くの皆様方に採用試験を受験していただけるよう試験制度の見直しを行うとともに、長野県職員として働く魅力や仕事のやりがいを効果的に発信してまいりたいと考えております。  また、小池議員御指摘のとおり、高度化、複雑化する行政課題に対応していく上で、県行政を担う県職員が安心して職務に専念ができ、十分に力を発揮できるような環境整備、職場環境や勤務条件を整えていくことも重要なことと認識しております。  このため、職員給与につきましては、国及び他の地方公共団体、民間従業員の給与等との均衡を図り、社会一般の情勢を的確に反映させるよう引き続き適正な勧告を行ってまいりたいと思います。  中立的かつ専門的な人事機関としての責務を果たし、各任命権者と連携しまして、県職員が高い志と意欲を持ってその能力を十分に発揮することができるよう委員会及び事務局職員と共に力を尽くす所存でございます。
     以上です。       〔30番小池久長君登壇〕 ◆30番(小池久長 君)羽生結弦選手は、順位確定後、インタビューに立ちました。羽生選手は、「全部出し切ったというのが正直な気持ち。あれが僕の全てかな。」などと演技を振り返りました。その上で、これまでの挑戦を問われ、「正直、これ以上ないくらい頑張ったと思います。報われない努力だったかもしれないけど。むしろ、うまくいかないことしかなかったけれども、一生懸命頑張りました。」と自分を褒めました。この「報われない努力」のコメントに、国境を越えた反響が寄せられたわけであります。  北京オリンピックでは、県勢の活躍も含め数々のドラマがありました。それを支えるのは、国の代表という使命感と、国境を越えた友情という側面もあります。きっとパラリンピックでもたくさんの感動を与えてくれるのだと思います。  SDGsという世界共通の取組の中で、しあわせ信州創造プラン2.0は、本年度最終年度を迎えますが、目標達成のためにぜひとも全力を注いでいただき、知事の思いが籠もりました「誰一人取り残さない」、また、平和という二文字を世界に発信する長野県であってほしいとの期待を込めまして、一切の質問を終わりといたします。 ○議長(宮本衡司 君)以上で各党派代表質問は終了いたしました。          ────────────────── ○議長(宮本衡司 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、来る2月24日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後5時58分延会...